子供が生まれてすぐに、毎月3万円程度の保険料負担が可能であれば、大学入学時には500万円の教育資金を用意することができます。しかし、一般的には、子供が生まれてすぐは、妻は休職して収入が減少したり、復職しても保育園代やベビーシッター代がかかったりするなど家計は厳しい状況になります。また、住宅取得を予定しているなら、同時に頭金づくりもしなくてはいけません。

こうした家庭の場合は、最初から全力で子供の教育資金だけのために貯蓄をしてしまうと、不意の出費に対応できなくなったり、保険料負担が重いため、保険契約を継続できなくなってしまうことも。

そこで、まずは、最低限の資金のみ学資保険やこども保険で確保する、と考えてみてはいかがでしょう。2番目の試算にある、基準保険金額200万円のケースでは、毎月の保険料は1万円強。これなら無理なく払い込みを継続していくことができるのではないでしょうか。

住宅購入が終わったら、教育資金に振り替えを

まずは、ベースの教育資金を確保する。これができれば、ある程度の目途もたちますので、漠然とした不安に悩まされることもなくなります。その上で、不足する分を随時上乗せで貯蓄していくことが大事です。住宅取得が終われば、頭金づくりに回していた分を、教育資金に振り替える、普通預金に残したままのお金があれば定期預金に預け替える、というように小まめな工夫が必要です。

学資保険やこども保険は、何も生まれてすぐに加入しなくてもいいのです。加入時の子供の年齢に上限がありますが、家計に余裕ができたら、追加で加入することも可能です。また、まとまった資金ができたときに、一時払いで加入するという方法もあります。ただし、一時払いの場合は、本来保険がもっている保障性が薄まります。例えば、契約者である父親に万一のことがあった場合、それ以降の保険料負担はなくなり、契約時の保障は継続されるといった最大のメリットがなくなります。

教育費は保険で、と思いがちですが、教育資金の貯蓄方法は他にもありますので、十分な検討をして商品選びをすることも大事です。100万円などまとまった資金があれば、高金利の定期預金を活用することもできますし、今年からはじまった「ジュニアNISA」で非課税メリットを享受しながら、運用するという方法もあります。子供が大学に入学するまでの時間を上手に活用した教育費準備プランを今のうちに検討してみてください。


伊藤加奈子
マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。