昨秋には、中国経済が失速しはじめ、もう日本での爆買い光景は見られないのではないか…という向きもありましたが、実際に歩いて、見て、聞いたところ、まだまだありました。

Case1 家電量販店

店舗の外に、福袋の見本が大量に積み上げられています。近くに寄ってみても、日本語の説明はありません。そう、これは春節で日本へ来た中国人向けの福袋。実際の売り場内でも、品定めをする中国人家族が多く見受けられました。

店頭に積み上げられた福袋の見本

しかし、かつてと変わったなと思ったのが、美容家電売り場。そこには、カゴいっぱいにドライヤーや、美容機器を詰め込んだカップルや女性2人組の姿がそこかしこに見られます。どうやら家電量販店では、一時もてはやされた温水便座や炊飯器ではなく、最近は美容家電が人気のよう。先ほどまで2組同時に接客をしていた店員さんに声をかけてみました。

Q:売り場で中国からの旅行客に人気の商品はどれですか?

A:「マイナスイオンのでるドライヤーですね。髪がサラサラになるって、皆さんよく調べていて買いに来られます。あとヤーマンの美容機器も人気ですよ。お土産にするなら、今こちらのマイナスイオンドライヤーがお買い得ですよ」

中国へのお土産を探している人と思われたようで、危うく売りつけられそうに…。少し前までは、富裕層のキレイな女性が求めに来るイメージだった商品が、今は一般の中国人旅行客にも購入されているようです。

Case2 ドラッグストア

家電量販店を後にして、人気スポットのドラッグストアへ向かいます。こちらのドラッグストアの人気は相変わらず。スマホやメモ書きを真剣に見ながら、同じ商品を5個、10個とカゴへ入れていきます。何人かのカゴの中身をコッソリ教えましょう。

中年夫婦のカゴの中身は、大量のヘアカラー。同じメーカー(ビゲン)の各色が無造作に詰められています。女性1人でスマホを見ながら吟味中のカゴの中身は大量のダイエットサプリ。スマホで調べては、片手で持てるだけ棚から持って、がさっとカゴに追加しています。

スマホ片手に見ていて気持ちがいいくらい次々とカゴへ放り込みます。1月27日にオープンした銀座三越の空港型市中免税店にも行ってきたのか、手には三越の紙袋が

家族連れのママのカゴには、5枚入りのシートマスクが山盛りに。旦那さんのカゴにも追加で5個…ここで棚の商品がなくなり、店員さんを呼びに行きました。ちょっと人波がはけたので、店員さんに声をかけて、話を聞いてみました。

Q:すごい勢いでしたね…
A:「春節だからね、人気の商品は出してもすぐになくなるんです。でも、お客さんに波があるので、空いた時間にすぐに補充できます」

Q:何が人気なんですか?
A:「5枚入りの箱に入ったシートマスクは女性の皆さんが買っていかれますね。もっとないの? とよく言われるので、2か所に出してあります。あと、目薬。これ(サンテボーティエ)は2個に個数制限しています。普通のよりちょっと高い商品なのに、2個必ず買っていかれます」

ボトルが香水ボトルのような、ピンク色の目薬。中国のメディアで「日本に行ったら必買」と紹介されたことで、一気に人気が出た商品。

1滴の量が少なく、メイクを崩さずに目へさせるところも人気(写真はライター私物)

Q:さっきヘアカラーいっぱい買っている人もいましたよね
A:「そう、日本の商品は臭いも刺激も少ないと人気なんです。中国は美容室のレベルが低く、しかも使っている薬剤もよくないといって、皆さん自分でやられるみたいですよ」

Q:化粧品も売れていますか?
A:「前のような、資生堂一本ではなく、チープなDSコスメ系もよく出るようになりました。CANMAKEとか、パッケージの可愛いものが人気で、みんなスマホで画像見て、『コレ! コレ!!』って買っていきます」

先ほどの家電量販店に続き、ドラックストアでも、今は美容系のものがよく売れているよう。どうやら2016年のインバウンド消費は美容系に注目のようです。