なぜ、Mozillaがこのデータプライバシーデーと関わることになったのか。まずは、Mozilla Manifesto(Mozillaのマニフェスト)をご覧いただきたい。

「原則」として10の項目がある。このうち、プライバシーに関わるものは、4と5だ。特に、注目すべきは4の「個人のセキュリティとプライバシーは必須のものであり」という点。つまり、Mozillaは、何よりも個人のセキュリティやプライバシーを重んじるという姿勢だという。データプライバシーに関しては、さらに5つの原則を定めている。

図4 データプライバシーの原則 (https://www.mozilla.org/ja/privacy/principles/)

では、実際のインターネットの世界を見てみよう。多くのサイトで、トラッキング(行動追跡)、ターゲッティング広告などが行われている。それらへの対策として、Firefoxでは、さまざまな機能を実装する。プライベートブラウジングは、その一例である。

図5 Firefoxのプライベートブラウジング

検索や表示の履歴をいっさい記録しない。ここで重要なのは、ユーザーがその選択を行えること。すべてのトラッキングやターゲッティング広告をブロックするのではない。ターゲッティング広告が便利だと思えば、使うことも選択できる。その選択権がユーザーの手にあることが重要なのである(Manifestoの5)。これを、Mozillaでは、チョイス&コントロールと呼ぶ。

合わせて、インターネットでは商業的な利益と公共の利益とのバランスを取ることが重要だとした、Manifestoの9も重要だ。広告などを全否定しては、今のインターネットの世界は成立しない。

ここまでくれば、データプライバシーデーにMozillaが積極的に関わる理由はわかってもらえたと思う。この日をきっかけに、さらなるオンラインプライバシー意識の向上を目指す活動を盛り上げようということだ。