年が明け、今月からマイナンバー制度が始まりました。まだまだ制度が周知されておらず、うわさや憶測で混乱している方も多いかと思われます。今回はそんなみなさんが感じているであろう疑問を労務管理のプロである社会保険労務士の塚本泰久さん(しゃろパカさん)に伺いました。

マイナンバー制度のメリットって?

マイナンバー制度が始まったといっても、「何がどう変わるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。同制度は行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現することを目的としています。

マイナンバー制度により、今まで面倒だった役所での手続きが簡単になる(例えば戸籍登録されているのが遠隔地の場合、戸籍謄本を受け取るには郵送で送ってもらう手続きが必要ですが、利用範囲拡大によりその手間を省くことができる等)、個人番号カードで住民票、印鑑登録証明書等の公的な証明の取得をコンビニで受け取ることが可能になる等、今後様々なサービスが受けられるようになると予想されています。

しかしながら、今はまだ制度が始まったばかりで体制が整っていないため、メリットを感じづらいかもしれません。

なお、2017年1月から運用開始予定の「マイナポータル(政府によるネットサービス)」を使うことで、将来的にはネット上から自分の特定個人情報や行政機関の保有する各種情報を簡単に確認できるようになる等、時代にあったサービスの準備が進められています。

マイナンバー制度には、ポイントカードとの一本化、なんて話も出ています。私見としましては、個人番号カードを普及させるためには有効な手段かもしれませんが、個人番号カードを頻繁に使用することによる個人情報(マイナンバー)流出、個人番号カード自体の紛失増加の恐れ、ポイントに対しても監視され課税対象にされるのではないかという懸念等、実現には課題は多そうです。マイナンバー制度自体が、今年から始まったばかりなので、今後の動向に期待しましょう。

マイナンバーって会社に提出しないといけないの?

自分の個人情報がたくさん詰まっているマイナンバーですが、それを他人に見られるというのはとても不安ですね。しかし、働いている企業ではそのマイナンバーの提出を求めてきます。まだの方は将来的には提出を求められるはずです。

社員のマイナンバーを預かる企業側には守秘義務があります。提出する際にもガイドラインによって、厳格な本人確認が定められているので安心してください。

日本に住んでいない人はどうなるの?

マイナンバーは日本に住民票がある方に配布されるものなので、2015年10月の時点で海外に転出届を出している人はマイナンバーが発行されていません。

ですが帰国後に転入届を提出し、住民票が作成された時点でマイナンバーが発行されます。後日、通知カードが送付されますのでご安心ください。

終わりに

まだまだ始まったばかりの制度で具体的なメリットも感じづらいため、「本当に必要なの?」という疑念の声をよく聞きます。その都度入ってくる情報には不確定なものもあるでしょうが、不安に思うことはありません。

会社勤めの方は、経営者や経理担当者がセミナーを受講することにより情報収集をしたり、社労士や税理士等に指導を受けたりしている企業も多いかと思います。心配であれば一度、会社から選任されている事務取扱担当者に相談してみてはどうでしょうか。うわさや憶測に振り回されず、正しい情報を選別し把握することが1番大切だと思います。

【お話を聞いた人】
塚本泰久さん(しゃろパカさん)
ツカモト労務管理事務所 代表社会保険労務士。関西地区を中心に、地域に密着した事務所を目指しております。会計事務所出身であるという視点から、企業の宝である人財と企業会計のバランスに重点を置くことで、より強い企業の体制作りをサポートしております。「ツカモト労務管理事務所


おはぎ
断捨離を通して物と丁寧につきあい、ミニマリストを目指すアラサーのパンダ。マイナビニュース連載「断捨離パンダのミニマルライフ」
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