日経BP社は7日、雑誌『日経WOMAN』が主催する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」の表彰式を行い、受賞者7名を発表した。

受賞者・審査員・後援・主催者

「働く女性」のロールモデルとなる人材を表彰

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」は1999年から毎年実施しており、今年で17回目を迎える。同イベントでは、組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当て、働く女性のロールモデルを掲示し、その年に活躍した女性達を通して時代の変化の矛先を捉えることを主旨としている。

「メガヒットメーカー賞」を受賞したのは、文藝春秋『文學界』編集部の浅井茉莉子氏。お笑い芸人のピース 又吉直樹氏に小説の執筆を口説き、出版不況のなか240万部のヒットを創出したことが決め手となった。イベントでは、芥川賞受賞作品『火花』の著者であるお笑い芸人のピース又吉直樹氏からのビデオメッセージが上映された。

ピース又吉直樹氏からのビデオメッセージ

又吉氏「なぜ僕が書かなければならないのかなという気持ちはあったんですが、それを丁寧にしっかりと伝えてくれて、僕の不安を取り除いてくれました。しっかり僕の話を聞いてくれますし、丁寧で真面目でとことん、やるという感じ。こんな人はなかなかいないというのはわかりますね。浅井さんに声を掛けていただいていなかったら『火花』を書いていなかったので、感謝しています」

文藝春秋 浅井茉莉子氏

表彰された浅井氏は「小説家・小説にとって、編集者とは何かと考えると、その関わりは大きいことにも小さいことにも思います。又吉さんは私がお願いしなくてもいつか小説を書いたかと思いますし、それは素晴らしい作品になったかと思います。小説というのは、小説家が孤独で描くものなので、編集者ができることはわずかなことに過ぎません。多くの人の共通の話題として『火花』が上がることや色々な人と小説のお話ができるのは、喜び以外の何物でもありません。そこに関われたことはただただ幸運なことだと思っています」とコメントした。

大賞は「ふるさとチョイス」創立者に

大賞に選ばれたのは、トラストバンク代表取締役社長の須永珠代氏。全国初のふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を開設し、ふるさと納税ブームの牽引に貢献したとして高く評価された。サイト開設前は年間100億円未満だったふるさと納税の寄付額は、2015年度には1,000億円を達成する見込みだという。

大賞を受賞したトラストバンク代表取締役社長 須永珠代

須永氏「3年8カ月ほど前にマンションの一室で起業しました。起業して2年間は小さな企業でした。その間に出会った、地域の人達と小さな成功事例をつくっていき、その方達と出会うたびに可能性を感じました。我々が全国セミナーを開始すると、そのセミナーで出会った人達は地元地域の資源を発掘し、ふるさと納税をPRし寄付を増やそうと努力していました。その情熱を持った職員や事業者たちが大きなうねりとなって、全国に広がっていくのをひしひしと感じていた2年間でした。意思あるお金は経済的効果を生むだけでなく、それ以外の情熱や行動を生み出すと思っています」

このほか、多彩なキャリアを持つ5名が受賞された。

■「ベストマーケット賞」
カルビー マーケティング本部 フルグラ事業部 事業部長 藤原かおり氏
「フルグラ」の売上を2年で年間約100億円に拡大させた。

■「情熱経営者賞」
石坂産業 代表取締役 石坂典子氏
窮地の産廃処理会社を社員教育と環境に配慮した経営を行い、世界に注目される企業へと変革させた。

■「未来をつくるサイエンティスト賞」
理化学研究所 プロジェクトリーダー 髙橋政代氏
世界初のiPS移植を目の難病患者に施した。

カルビー 藤原かおり氏

石坂産業 石坂典子氏

理化学研究所 髙橋政代氏(※イベント欠席)

■「次世代ものづくり賞」
UPQ代表取締役の中澤優子氏
女子1人で家電メーカーを立ち上げ17種類24製品を2カ月で開発した。

■「チェンジメーカー賞」
特定非営利活動法人 虹色ダイバーシティの村木真紀氏
年に100件以上の講演やコンサルティングを実施し、企業のLGBT施策に大きな影響を与えた。

UPQ 中澤優子氏

特定非営利活動法人 虹色ダイバーシティ 村木真紀氏

表彰式が終わると、同イベントの後援である内閣府の特命担当大臣・女性活躍推進大臣を務める加藤勝信大臣が登場。

内閣府 特命担当大臣 加藤勝信大臣

今回のイベントを振り返り「表彰された7名の方は、ビジネスのなかで先んじたリーダーシップの発揮や、消費者のニーズを掴んだヒット商品の創出、これからの時代の流れの先取りをしたキャリアアップなど、社会に素晴らしいインパクトを与えてくれたと思います。その足取りが、これから後に続く特に若い女性の方々にロールモデルを示して下さいました。新たな視点やこれまでの規制の流れを乗り越えて努力をすることで日本に活力をつくっていただいたように思います」とコメントした。