既報のとおりジャストシステムは12月3日、2016年2月5日から発売する「一太郎 2016」および「ATOK 2016」に関する発表会を開催した。自社のオンラインショップ「Just MyShop」では、12月3日から各製品やWindowsタブレットをセットにした商品の予約を開始する。

ジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏は、「これからも一太郎やATOKを使い続けて頂きたい、という気持ちで社員一体となって取り組んできた」と語った。ここでは発表会の様子や各製品の注目ポイントを紹介する。

「一太郎 2016」と「ATOK 2016」のパッケージ

ジャストシステムの福良伴昭氏

文書活用の場を広げる「一太郎 2016」

前バージョンで30周年を迎えた一太郎とATOKだが、その次にあたる「一太郎 2016」および「ATOK 2016」の開発にはさまざまな思いがあっただろう。

ジャストシステム「一太郎」開発担当者の吉住康弘氏

一太郎シリーズの開発責任者であるジャストシステム CPL事業部開発部の吉住康弘氏は、「『一太郎がなかったら仕事にならない』という声も多数寄せられている。この声に応え続けることが我々の使命だ」と、新バージョンの開発姿勢を振り返る。

一太郎 2016の新ポイントは、「新しい環境への対応」「表現力の強化」「文章の洗練、効率アップ」にまとめられる。「新しい環境への対応」に含まれる新機能では、高DPIへの対応、スマートフォン用アプリケーション「一太郎モバイルビューイング」、「タブレットビューア」が重要だ。

最近は4Kディスプレイも手が届く価格帯となり、既に導入している方も少なくないだろう。前バージョンの一太郎 2015もある程度は高DPIに対応していたが、一太郎 2016はさらに幅を広げて、アイコンや文字サイズなど各所が適切なサイズで表示されるようになった。大画面で一太郎シリーズを使ってきたユーザーには朗報といえよう。

「一太郎 2016」は高DPIに対応し、ボタンやメニューの文字が正しく表示される

フォント周りも対応し、文字も正しく表示されるようになった

「タブレットビューア」は、一太郎 2016をインストールした2-in-1 PCで、ビューア機能を提供するというものである。吉住氏の説明によればタブレットビューアへの切り替えは、Windows 10が供えるContinuumから情報を受け取り、モード変更を実行しているという。

「タブレットビューア」はWindows 10のContinuumと連動して動作する

タブレットをランドスケープモードで使用する際は表示方向も変化する

「一太郎モバイルビューイング」は、一太郎 2016で作成した文書ファイルを専用サーバーにアップロードし、iOS用/Android用アプリケーションを導入したスマートフォンで閲覧するというもの。編集機能は持たせないのか、という質問に対して吉住氏は「閲覧機能を欲する要望が多かった。あくまでも編集作業はPCが主体と考えている」と回答した。

一太郎文書を専用サーバーにアップロードし、スマホアプリで閲覧する「モバイルビューイング」

スマートフォンで一太郎文章を持ち歩くことで、移動先や外出先での文章チェックや情報共有が可能になる

iOS/Android用アプリケーションは2016年2月5日から提供を開始

「表現力の強化」では、一字ずつの文字サイズや配置を自動レイアウトできる「モジグラフィ」や、写真切り抜き機能を披露。前者は、さまざまなレイアウトをテンプレートとして用意し(100個)、好みに応じたタイトルを作成するという新機能だ。テンプレートから作成した後も、文字のサイズや配色、位置なども自由に変更できる。後者は一太郎 2016上で写真の切り抜きを可能にする新機能。4種類の切り抜きツール写真を切り抜き、文書に絵図を挿入したいとき便利に使えそうだ。

テンプレートからタイトルロゴやアオリ文字を作成する「モジグラフィ」

文字サイズや位置、配色といったアレンジ機能も備える

形状や近似色で写真を切り抜く「写真切り抜き」機能。一太郎 2016だけで完結させる場合は有用な機能となりそうだ

「文章の洗練、効率アップ」では、同社がリリースしている校正ソフト「Just Right! 5 Pro」のエンジンを一太郎 2016に搭載し、これまで以上に適切な文章校正を可能にしたと説明する。「と」や「を」など、助詞の誤用を正しく検出し、文章のクオリティアップにつながることを強調。「まとめて改行削除」は他のアプリケーションから一太郎 2016に文章をコピー&ペーストする際の改行を、あらかじめ指定した条件で削除する機能だ。例えば、「句読点の後の改行は残す」「空行は2行以上ある場合削除する」といった指定が行える。

「Just Right! 5 Pro」の校正エンジンを一太郎 2016に搭載し、さらに助詞誤りの指摘機能が加わっている

不要な改行だけを指定した条件で削除する「まとめて改行削除」機能も搭載した

そのほか、EPUB編集ツールパレットの追加や表紙ギャラリー、新聞やスポーツ紙のようなレイアウトを使用できる「らくらく新聞テンプレート」、新聞などで使われている「モトヤUP新聞明朝 Otf W2」と「モトヤUP新聞ゴシック Otf W3」の2書体を付属といった点が挙げられる。また、新聞らしさを引き立てる「新聞タイトル背景」も30種類のテンプレートを用意した。

EPUB編集を容易に行うための「EPUB編集ツールパレット」が追加された

EPUB出版時に適切な表紙をつけるための「表紙ギャラリー」。デザインサンプルは40点収録

会報や学級だよりなどに最適な「らくらく新聞テンプレート」。こちらは20点収録

「モトヤUP新聞明朝 Otf W2」と「モトヤUP新聞ゴシック Otf W3」の2書体が付属

「一太郎 2016 プレミアム」「一太郎 2016 スーパープレミアム」では、「モトヤJ04明朝N2」「モトヤJ04明朝N5」「モトヤJ04ゴシックN2」「モトヤJ04ゴシックN5」「モトヤJ04アポロN3」「モトヤJ04アポロN5」「モトヤJ04マルベリN2」「モトヤJ04シーダN3」という、5ファミリー8書体を搭載(すべてTrueTypeフォント)。音声読み上げソフト「詠太6」はこれまでの日本語音声エンジン3タイプに加えて、英語音声エンジン「JULIE」を搭載し、日本語と英語が混じった文書ではエンジンを切り替えて読み上げる。

「一太郎 2016プレミアム」「同スーパープレミアム」に付属するモトヤフォント

新たに英語音声エンジンを加えた「詠太6」

そのほかにも「花子2016」「Shuriken 2016」「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2016」を収録し、さらに個人契約できない「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」利用権3年分も付属する。各エディションの相違点は下図を参照して欲しい。吉住氏は一太郎 2016のアピールポイントとして「Windows 10など現在の最新IT環境に対応した点だが、これまでの一太郎ユーザーに愛されるように設計した」と語る。

特定の図形だけ並べる機能を加えた「花子2016」

2年ぶりのバージョンアップとなる「Shuriken 2016」はメール送信時のチェック機能を強化

一太郎 2016スーパープレミアムの目玉となる「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2016」

「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」利用権3年分が付属する

逆引きガイドブック「とことん一太郎」が付属する

その他の付属アプリケーション群。新たにプレゼンテーションツール「JUST Focus 3」が加わった

一太郎 2016各エディションの機能差