「保留児童」の解消に挑む横浜市の取り組みとは

「神奈川県横浜市の保育の実態 - 課題は待機児童ではなく『保留児童』だった」と題した前編では、「待機児童」には含まれなかったものの、申し込みをしたにも関わらず認可保育園に入園できなかったいわゆる「保留児童」の実態について触れた。今年の4月時点で、2,534人にものぼった「保留児童」を解消するため、横浜市はどのようなことに取り組んでいるのか。後編となる今回は、市の施策についてご紹介する。

目標は3,337人の定員確保

まず、第1の対策としてあげられるのが受け入れ枠の拡大だ。市は、大規模な宅地開発などにより就学前児童数が増えている地域を、重点的に保育施設の整備を行う「整備が望ましい地域」に指定。今年度中に3,337人の受け入れ枠拡大を図っていくという。さらに方策は施設の新設にとどまらない。幼稚園の預かり保育を充実させたり、入所者が少ない4・5歳児のスペースを使い、期間限定で1・2歳児を受け入れたりするなど、既存施設を最大限に活用。「やれることはすべてやる」という姿勢だ。

加えて、保育サービスの相談や案内を行う「保育・教育コンシェルジュ」を配置して、保護者のさまざまなニーズに対応。フルタイム勤務でない保護者に対しても、市が補助している一時預かりの施設などを紹介するなど、きめ細やかなアドバイスを徹底したいとしている。

家賃補助などの保育士確保策も充実

また喫緊の課題となっている保育士不足の解消にも力を入れている。ほかの自治体に比べて家賃が高い横浜市では、保育所が保育士のための宿舎を借り上げる際に補助金を支給する「宿舎借り上げ支援」を実施。潜在保育士などを対象にした就職面接会を充実させたり、保育施設の人材確保策の相談に応じたりするなどの取り組みも引き続き進めていくという。

正確な集計は出ていないものの、市の担当者によれば「今年も保育園などの利用申込者数は増えるという実感がある」という。そんな中でも取材の最後には、「すべての人が子育てしやすい市を目指したい」と熱い思いを語ってくださった。「待機児童」にとどまらず、新たな課題となった「保留児童」の解消にも全力で取り組む横浜市の今後が注目される。

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