日本航空では、「指令基地」と呼ばれるオペレーションコントロールセンター(以下、OCC)という部署がある。ここでは、定時発着のための運航・機材・乗員スケジュール管理から、イレギュラー時の初動対応まで行う。こうした業務の結論は、最高責任者であるミッション・ディレクターの判断に任されるのだとか。そこで、今回はミッション・ディレクター兼OCC部長の甲斐 莊一氏に、知られざるOCCの仕事やこれまで立ち向かってきた"判断"についてお話を伺った。

ミッション・ディレクター兼オペレーションコントロールセンター部長 甲斐 莊一氏

甲斐氏は、1982年4月に日本航空に入社し、社歴は33年。代理店営業、国内営業等を12年経験した後、上海空港の所長など空港関係の仕事に従事した後、2013年4月からOCCのミッション・ディレクターとして、運航統制責任者を務めている。統制措置に最終承認を与える機能・権限を持ち、日常運航における部署全体の統括などを担っているという。

JALの"運航責任者"の仕事とは

――ミッション・ディレクターは何名いらっしゃるんですか?

メンバーは、合計8名です。整備出身、人事出身の方からフライトプランを作成するディスパーチャー出身の方、現役パイロットまで幅広い人財が集まっています。

――こうした様々な部署出身の人が集まった構成の部署って他にあるのでしょうか

同じポストに色々な経験をしたメンバーが集まっているというのは、あまり他にはないと思います。

――OCCに集められる人の共通点や素質はありますか

トータルの判断ができるかという点だと思います。そして、その判断力を適切に使えるかが、ポイントです。色々な人が集まって構成されているので、日々の会話で互いに状況を共有し判断材料にしています。

――それぞれ専門分野があるのでしょうか

ありますね。例えば、私の場合は、OCCに着任する前に上海空港の所長を務めるなど、顧客に近い現場を経験してきています。ですから、場面に応じたお客様への対応に関しては、今のミッション・ディレクターの中で一番わかっていると思います。一方で、整備やフライトなど他の分野になると、細かい部分まで詳しくないこともあります。だからこそ、それぞれの専門分野の人から情報を聞き出して判断材料にできることは、大きな意味があると思っています。

――チームとして何か気をつけていることはありますか

ミッション・ディレクターは基本的に交代制で稼働しているのですが、人によって判断基準が異なっていては、会社として成り立ちません。月に1回のミーティングで情報交換を行っています。また、我々は8時~17時と15時半~翌朝9時のシフト制で、業務中は1人で働いています。ですから、シフトを交代する時にも、その日に起こったこと、その日の判断についての意見など情報を共有しています。