アールストアは11月5日、東京・池袋にてホステル「BOOK AND BED TOKYO」をオープンする。このホステルは「泊まれる本屋」をコンセプトにしており、好きな本を読みながら本棚の中のベッドで眠るという、本好きにとってはたまらない非日常体験を提供してくれるという。早くも各所で話題の同施設の魅力をオープン前に体験してきたので、皆さんに紹介しよう。

「泊まれる本屋」こと「BOOK AND BED TOKYO」の魅力を徹底紹介!

"秘密の場所"に入っていくドキドキ

「BOOK AND BED TOKYO」の立地は、JR池袋駅西口から徒歩1分。ビルの7階にエレベーターで上がると、目の前には施錠された大きな扉が……。実は、同施設への入場には暗証番号式の鍵を開けるためのパスワードが必要。まずはエレベーターを出て左手のカウンターで手続きを済ませよう。受け取ったパスワードを使って自分で鍵を開け、扉を開いて中へと入っていく。秘密の場所に招待されたような演出に胸が高鳴る。

入り口は施錠されている

ガイドとパスワードを受け取って、中へ

中に入ると、目の前に広がるのは一面の本棚! そして本棚のところどころには、まるでフクロウの巣穴のようにベッドが埋め込まれている。右手奥には飲食自由の共用スペースがあり、左手奥にはトイレやシャワールームを備える。好きな本を取って自分のベッドにこもるもよし、たまたま居合わせた人々と過ごすもよし、シャワーでリフレッシュするもよしだ。

一面の本棚が広がる

ベッドは居心地満点!

まずは本棚を見て回ってみよう。同施設の選書は「本のある暮らし」を提案する本のセレクトショップ「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」が手がけており、和書と洋書を3:1程度の割合でそろえている。漫画や写真集、雑誌のバックナンバーにエッセイや評論などジャンルは多岐に渡り、どんな本があるか見て回るだけでも楽しい。

本のジャンルは多岐に渡る

気になる本を見つけたら、自分のベッドでゆっくり堪能しよう。ベッドには本棚の中に埋め込まれた「BOOK SHELF」タイプとシャワールームまでの廊下に連なる2段式の「BUNK」タイプの2種類がある。さらに、ベッドの広さも2段階用意。「STANDARDベッド」はマットレスの横に幅50cmほどのゆとりがあるタイプで、「COMPACTベッド」はシンプルに寝る空間だけを確保したような作りとなっている。

本棚に埋め込まれた「BOOK SHELF」タイプ

「BUNK」タイプは廊下に連なる2段ベッド

比較的ゆとりのある「STANDARDベッド」

シンプルイズベストな「COMPACTベッド」

外とベッドとを区切るのはカーテン1枚。ちょっと心もとなく思うかもしれないが、筆者が実際にベッドに入ってカーテンを閉めてみると、思った以上の安心感があって驚いた。ロッカー等の施錠可能な設備はないため貴重品の管理は必要となるが、ベッドの外を往来する人が気になって本に集中できない……なんてことはそうなさそうだ。

カーテンを閉めてしまえば外のことは気にならなかった

ちなみに、筆者の個人的な感想では、「BOOK SHELF」タイプは"本棚の中に潜り込んで眠る"という行為にロマンを感じる人にはぜひおすすめしたい。ひたすら自分の世界に没頭したい人には、人の行き来が少ない「BUNK」タイプがおすすめだ。

写真右が「BUNK」タイプのベッドがある廊下で、左がトイレやカウンターがある廊下。動線が区切られているため、ベッドに入ってしまえば人の行き来はそこまで気にならない

気分転換は窓際とシャワーで

本を読み疲れたら、気分転換に窓際の共用スペースへ。同スペースでのみ飲食が可能となっており、皿やコーヒーカップ、オーブントースター、湯沸かし器などの設備を備えている。飲食物やアルコールドリンクの持ち込みもOKだ。

窓際は共用スペースになっている

備え付けのソファーは、思いっきり寝転がれる大きさ。窓をのぞけば池袋の街並みが眼下に広がる。共用スペースのスツールは椅子としても机としても使えるため、食事はもちろん、書きものや作業もできる。居合わせた人と談笑するのも良いが、読書に没頭する人の邪魔にならないよう、話し声の大きさには気をつけたい。

設備も充実

スツールは机としても使える

朝のリフレッシュタイムやチェックイン直後には、シャワールームで汗を流すのも良い。3室のシャワーと5台の洗面台を備えており、ドライヤーも無料で使用できる。レンタルバスタオルやソープ類、歯ブラシなどがセットになった「シャワーパッケージ」(500円)を販売しているので、手ぶらでも安心だ。

洗面台にはドライヤーも備える

シンプルなシャワールーム

幸せな読書体験を追求

「泊まれる本屋」という、ありそうでなかったコンセプトの「BOOK AND BED TOKYO」。広報の力丸聡さんに同施設の魅力について聞くと、「『泊まる』ことは、実はそんなに重要な要素ではありません」と意外な答えが返ってきた。

力丸さんによると、「BOOK AND BED TOKYO」が大事にしているのは、あくまで「眠りに落ちる瞬間」、いわゆる「寝落ち」へのアプローチだという。同施設には、一流ホテルのような高級寝具はない。快適な眠りそのものではなく、好きな本を読み、自分の世界に没頭しながら「寝落ち」へと誘われる幸せな読書体験こそが「BOOK AND BED TOKYO」の提供するものなのだ。

ディスプレイはスタッフが手がける。並べた人の好みや感性がなんとなく見えるのも魅力だ

ターゲットには国内旅行者や外国人旅行者を想定しており、その中には当然、特別読書好きでない人も含まれる。本棚には専門書を除いた幅広いジャンルの本をとりそろえ、本好きでない人もつい手に取ってしまうような目を引くタイトルも多数。ディスプレイもスタッフが自らの感性で工夫しており、力丸さんは「友達の家に遊びに来た感覚で気軽に楽しんでほしいです」と語った。おすすめの本の持ち込みや寄贈も歓迎しているそうだ。

なお、同施設の宿泊予約は公式WEBサイトのみで受け付けている。宿泊価格は1泊3,500円~で、チェックインは16:00、チェックアウトは11:00。また、11月9日からは宿泊せずに「BOOK AND BED TOKYO」の空間を楽しめる「デイユースプラン」(1,500円~)もスタート予定となっている。旅行者ならずとも、幸せな"寝落ち体験"を味わいにぜひ利用したいスポットだ。

※記事中の情報・価格は2015年10月取材時のもの。価格は全て税別