ソニー「α7R II」は、フルサイズの裏面照射型センサーを搭載したミラーレスカメラだ。α7シリーズ第2世代の高解像モデルとして、2013年に発売された第1世代の高解像モデル「α7R」の基本コンセプトを継承。新センサーの採用や5軸手ブレ補正の内蔵、AFの高速化、撮影機能の強化などを図っている。その実写レビューをお伝えしよう。

ソニー「α7R II」。実勢価格は税込474,000円前後(2015年9月28日時点)

圧倒的なディテール表現力と滑らかな階調性

α7R IIにおける最大の注目ポイントは、新たに搭載した有効4,240万画素の裏面照射型CMOSセンサーだ。先代α7Rの有効3,640万画素からさらに高画素化し、ディテールの表現力が一段と高まっている。1枚目の写真は、単焦点の標準レンズ「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を使用し、絞り値をF8まで絞り込んで撮影したもの。建物の外壁や葉っぱの1枚1枚までがシャープに解像していることがわかる。

絞り優先AE(F8 1/160秒) ISO100 WB:オート 焦点距離:55mm レンズ:Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

次も同じくSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAを使って絞り込んで撮影したもの。1/1000秒の高速シャッターに設定することで、激しい波しぶきを写し止め、その迫力ある造形を際立たせた。PCのディスプレイ上で写真を等倍表示にすれば、まるで目の前に実物があると錯覚するくらい、波と水面、岩肌のそれぞれの質感がリアルに再現されている (写真をクリックして拡大すると、「原寸大画像を見る」ボタンが現れます)。

マニュアル(F8 1/1000秒) ISO200 WB:太陽光 焦点距離:55mm レンズ:Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

次は、標準ズーム「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」で撮影したもの。こちらも奥行きを感じる立体的な描写となった。単焦点レンズで撮った写真に比べると画像周辺部のシャープネスはやや見劣りするが、それでも情報量の多さは圧倒的であり、階調の表現力は非常に豊かだ。

絞り優先AE(F8 1/250秒) ISO100 WB:太陽光 焦点距離:26mm レンズ:Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS

試しにAdobe Photoshopのようなレタッチソフトを使って、この写真に補正を加えると、階調の豊かさがよりわかるはずだ。例えば、駅舎の内部など一見黒くつぶれているように見える部分でも、実際にはディテールがしっかりと残っているため、明るく補正しても画質はほとんど破綻しない。逆に、雲や強い日差しが当たった明るい部分を暗く補正してもやはり問題はない。

クローズアップで花を写した写真でも、クリアな発色と滑らかな階調表現を確認できる。被写体を問わず、精細感と階調性を重視する人にとってはメリットのある画質といっていい。

マニュアル(F14 1/200秒) ISO100 WB:太陽光 焦点距離:62mm レンズ:FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS

さらに、有効4,240万画素の利点には、部分を切り取っても十分なサイズを維持できるという面もある。下の写真はカスタム設定メニューから「APS-C」モードを選んで撮影したもの。画像サイズは、通常の7,952×5,304ピクセルから、APS-Cモードでは5,168×3,448ピクセル(約1800万画素相当)に減るが、それでもA4印刷には十分な画素数といえる。

絞り優先AE(F5.6 1/400秒) ISO100 WB:太陽光 焦点距離:70mm レンズ:Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS