"あたりまえ体操"で一躍有名になり、2013年には"あたりまえ体操"のインドネシア語バージョンをきっかけに同国で大ブレイクしたお笑いコンビ・COWCOW(カウカウ)。6月下旬には、7回目となるインドネシアに加え、初進出となるタイ・マレーシアの3カ国を巡るアジアツアーに挑戦した。世界へと飛び出した2人に、気になる今後の活動や、"あたりまえ体操"世界制覇に向けての夢などをインタビュー。世界を目指すと言いつつ、「特にこれっていう野望はない」とギラギラしていない。ほどよく力の抜けた感じが彼ららしい。

COWCOW(カウカウ) 1974年8月8日生まれの多田健二(左)と、1974年10月19日生まれの善し(右)のコンビ。ともに40歳。1993年4月結成、2001年に東京進出。"あたりまえ体操"でブレイクし、いまや活動は日本だけではなくインドネシアなどアジアでも人気を誇る。現在テレビのバラエティ番組、舞台、YouTubeの画像・音楽配信などで活躍中

――アジアツアーの手応えはいかがでしたか?

善し:タイでは、大学の講堂でライブをしました。"あたりまえ体操"のスタンダードバージョンと、恋愛バージョンをタイ語にしたものをやったんですよ。

多田:もちろんネタもタイ人向けに考えて。

善し:吉本の「住みますアジア芸人」でタイに住んでいるぼんちきよしくんや、日本のバラエティ番組にも出ているブンシリさんに、タイの"あたりまえ"のアイデアもらってまとめて、それを歌詞に作り直してタイ語バージョンにして。

多田:そしたら、めっちゃウケた! 例えば、「お酒とドリアン、一緒に食べたら、あぁ(苦しそうにお腹を押さえるポーズ)」とかね。それがドーンと。トークのときは、タイ語が全然できないから、しゃべらなあかんのは大きな紙に書いて。その紙をあえてお客さんに持ってもらって、そこでも笑いをとって。

善し:インドネシア語も全然できないので、同じようにカンペ持ってもらったりとか。でも、こんにちは、ありがとう、みんな愛してるよ、インドネシア最高! とかはその場で覚えていきますね。日本に来た外タレと一緒。

――今回、インドネシアには新ネタをひっさげて行ったそうですが?

善し:そうなんですよ。新曲"ドゥアドゥアドゥーア"を初披露したんです。

多田:インドネシア6回目までは"あたりまえ体操"と、僕がインドネシアのジョコウィ大統領に似ているんで、そのモノマネをしていたんですよ。そのジョコウィ大統領の選挙のときのキャッチコピーが「2番に入れてください=サラム ドゥア ジャリ」って言葉があるんですけど、インドネシア語で「ドゥア=2」でね。

善し:それを元ネタに、「ジョコウィさん、インドネシアは何度目ですか?」「ドゥア」、「何日滞在されるんですか?」「ドゥア」って、大統領に扮した彼が、何を聞かれても「ドゥア」と答えるコントで、そういうやりとりがウケて。そのうち、お客さんがわかってくると、こっちが言うタイミングで、お客さんも一緒に「ドゥア」って言って笑うんですよ。なんかこれはいいなって言ってて。

多田:一緒に「ドゥア」ってできる歌がいいんちゃう、ということがキッカケですね。それを今回のアジアツアーで披露したという。

善し:それで、今回のツアー中、インドネシアのレストランで、ご飯を食べてたとき、ウケるかどうかいきましょうか~って、向こうの小学生に"ドゥアドゥアドゥーア"を突然やってみたんですよ。

多田:たまたまステージのあるレストランに行ったら、小学生の団体がいたので、これは試してみようと。

善し:そんな予定なかったけど、子供たちに声かけて、あたりまえ体操やって、大統領のマネやって、ウケて。で、ステージがある店だったんで「あの曲かけてやってみようや~」って、新ネタの"ドゥアドゥアドゥーア"の曲をかけて。最初はあんまりやったけど、2回目にはみんな覚えだして一緒になって「ドゥア!」って歌ってくれて。

多田:またそこから店員さんも集まってきてアンコールが起きるほど盛り上がって。3回目は大盛り上がり。すごかったんですよ。日本だったらありえないですよ、何勝手にしてるのって。

善し:インドネシアの人はすごいですよ。レストランの人も、お客さんがいるのに、ほったらかしてみんな一緒に乗って楽しんじゃう。覚えやすくてノリのいい曲だからよかったのかなと。

多田:まさにゲリラライブ。大成功でした。そのあと、JKT48のライブでも"ドゥアドゥアドゥーア"をやって、JKT48のメンバーが動画をリツイートしてくれて。あたりまえ体操に続いて、果たして今後インドネシアでどうなるのか?

善し:インドネシアの人たちは、一緒にやりたい、歌いたい、という姿勢なんですよ。インドネシアの人はうずくんでしょうね。"あたりまえ体操"もこっちの動きに合わせて体を動かすし、歌も一緒に歌う。一緒にやりたくなるようなネタが受け入れられるんですよ。日本とも違いますね。

――次に狙っている国はあるんですか?

善し:吉本の社員がね「南米がいいですよ」って。南米とか面白いと思いますよって。サンババージョンとかね。曲調を変えて。

多田:そもそも、インドネシアバージョンを作ったのだって、吉本のアジア進出で、新入社員が海外研修でインドネシアにたまたま行ったのがキッカケだったし。インドネシア語に訳して、You Tubeにあげて。ウケることなんて想定外でしたからね。

善し:インドネシアで100万アクセスあったときでも、インドネシアがどこにあるか知らなかったぐらいだから。あんなにたくさんの島の集まりだとは知らなかったし。

多田:今後はね、いろいろな国を攻めてね。そのうち世界共通の体操にして、2020年の東京オリンピックの開会式で、"あたりまえ体操"をしたいと。

善し:でもインドネシアに時間かけすぎでしょ。このペースで行ったら世界中で体操してもらうのに20年ぐらいかかるし。

多田:現在、"あたりまえ体操"はインドネシア、タイ、英語、韓国、日本の5カ国語。まだアジアしかない。そうですね…。東京オリンピックの開会式で僕らが出てこなかったら、あ、間に合わなかったんだって思ってください。