12年ぶりにフルモデルチェンジし、このほど発売されたトヨタの新型「シエンタ」。7月9日に都内で報道発表会も行われ、新たにハイブリッドモデルも加わった「トヨタ最小ミニバン」がお披露目となった。

報道発表会にて披露されたトヨタ新型「シエンタ」

12年間支持されてきた特徴はそのままにフルモデルチェンジ

「シエンタ」は2003年、「ミニ(サイズの)ミニバン」としてデビュー。今回、じつに12年ぶりのフルモデルチェンジとなる。長年にわたり支持され続けてきた、5ナンバーサイズのコンパクトなボディに7人乗れるミニバンという初代の特徴はそのままに、新たにハイブリッドシステム搭載モデルを設定し、27.2km/リットル(JC08モード)というクラストップレベルの低燃費を引っ提げての登場となった。

「Active & Fun」がキーワードというデザインは、先代モデルからがらりと変わった印象だ。丸目で女性的なイメージだった初代「シエンタ」、角目で男性的なイメージに振ったバリエーションの「シエンタ ダイス」と比べて、ユニセックスと表現したくなるスポーティなテイストが際立っている。

報道発表会にて、トヨタ自動車デザイン本部プロジェクトチーフデザイナーの郷武志氏は、「スポーツバックのように、自由に気軽に、多くの物を入れることができて、アクティブに使えるクルマであることを表現した。また、カジュアルで肩ひじ張らないかっこよさをめざした」と説明した。

5ナンバーサイズのコンパクトなミニバンに

内装も「Active & Fun」がキーワードに

ガソリン車の他にハイブリッド車も設定

報道発表会では、ゲストに新CMキャラクターの滝川クリステルさん、サッカーコロンビア代表でレアル・マドリード(スペイン)所属のハメス・ロドリゲス選手も登場。本人たちを前に上映されたCMでは、ハメス選手とおそろいのサッカーユニフォームを着た子供たちが「シエンタ」にぞろぞろと乗り込むシーンが印象的だった。

そこで思い出したのが、アメリカで使われる「サッカーマム バン」という俗語。サッカーなどの練習に子供を送迎する母親のクルマ(ミニバン)を意味する。からかうような意味合いで使われたりもする言葉だが……、そんなニュアンスはさておき。文字通り、ママさんドライバーに新型「シエンタ」にはぴったりだと感じたのだ。その理由は、普段から使い勝手の良さそうな設計にあるだろう。

「シエンタ」の新CMキャラクターに起用されたハメス・ロドリゲス選手(写真右)

新型「シエンタ」では両側にスライドドアを採用し、乗り込み口も低い

ファミリー層に人気のミニバンは、たしかに休日のレジャーでの使い勝手は良いかもしれないが、普段使いではそうでもないように見える。筆者の近所のスーパーマーケットでは、買い物にやって来たママさんドライバーが狭い駐車場にミニバンを入れようと苦労する様子をよく目撃するからだ。その点、5ナンバーサイズの「シエンタ」なら、ミニバンのメリットはそのままに、普段から楽に使えるのではないだろうか? そのサイズ感は、ほとんどコンパクトカーと同一視していいように思えた。

さらに、新型「シエンタ」では両側にスライドドアを採用しているので、やんちゃな子供がドアを勢いよく開けて、隣のクルマにぶつける心配もなさそう。乗り込み口が地上から330mmと低く、子供が乗り降りしやすい設計にもなっているのも安心ポイントだ。若い子育て世代の毎日に便利な1台だと感じた。

新型「シエンタ」は全国のトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店を通じて発売され、価格はガソリン車が168万9,709~228万円、ハイブリッド車が222万6,753~232万9,855円(ともに税込)。7月18~20日に店頭発表会も予定されている。