ヤクザとゾンビが離島で激突する公開中の映画『Zアイランド』。哀川翔、芸能生活30周年記念作品として公開される本作で、メガホンをとったのはこれが長編監督作4本目となる品川ヒロシ。哀川ほか、鈴木砂羽や木村祐一、宮川大輔、湘南乃風のRED RICE、風間俊介、窪塚洋介、シシド・カフカ、鶴見辰吾といった豪華キャストをまとめ、さらに一段上がったアクションでエンターテインメントを作り上げた品川監督が、本作におけるゾンビのこだわりに始まり出演者の素顔から、芸人として監督としての自身についてまで語った。

品川ヒロシ監督

――今回、哀川翔さんから監督依頼のお話が来たとか。

そうなんですよ。前作の『サンブンノイチ』にカメオ出演していただいたんですが、そのときに「品川、撮ってくんない?」って言われて。ぜひ!と。もともとヤクザとゾンビが戦う作品は撮りたいと思っていました。でもなかなか通りにくい企画ですし、じゃあ、翔さんにも合うし、言葉は悪いですけど、翔さんの30周年に乗っかって、自分の好きなことをやらせてもらおうと。翔さんも「ヤクザ対ゾンビ。いいね、それ!」って喜んでくれましたし。しめた!っと(笑)。

――完成した作品ですが、ゾンビが新しかったですね。特に宮川大輔さんが演じられたゾンビ第1号のハイブリッドゾンビは最高でした。エリマキトカゲの動きをイメージされたと。

はい。ゾンビって手を前に出して歩いてくるというよりも、喰いたいから口から行くんじゃないのかなと思ったんです。それでトカゲとかって本能でそうなのかなって。昔、CMで見たエリマキトカゲがば~って立って走ってるのがありましたけど、おもしろいし、怖いしかわいかった。で、宮川さんに、ちょっとそれをやってみてくださいと。

――ジャンプして飛びかかってくるところもすごかったです。

あれも横からガブリとかではなくて、正面から飛んでくるというか。ナショナルジオグラフィックの映像とかを見ていて、爬虫類系の動物が飛ぶときの頭からいく感じをイメージしました。

――殺陣やカーアクションなど、アクションも進化していました。撮影で苦労された点、工夫されたことを教えてください。

大変だったのはとにかく撮影日数がなかったこと。女子高校生のアクションシーンは半日で撮っていますが、本当は2、3日かけたかったですね。あとはカーアクション。後半に大がかりなシーンがありますが、例えばあの大型トラックは借り物なので傷つけちゃいけなかったんです。

――えぇ!?

傷つけちゃいけない車でカーアクションするって相当ですよ(笑)。乗用車も1台だけでしたしね。ただそのおかげでというか、車を傷つけないまま派手に見せるという小技なんかは、今回でいろいろ浮かぶようになりました。

――出演者についてもお聞かせください。まずは元ヤクザの組長・宗形役で主演の哀川さん。

僕にはこだわりがあって、毎回、全員が主役のように、みんなにおいしいところがあるように撮りたいんです。今回もある種、群像劇的なところがあります。翔さんの30周年企画だから、THE哀川翔映画にしたほうがいいんじゃないかという意見もあると思いますが、翔さんが「いいんだよ。映画っていうのは、みんながおもしろいほどいいものになる。そしたら結果、俺に返ってくるんだからお前の好きなようにやれ」って言ってくれて。

それがまさに哀川翔だし、哀川さんが演じている宗形という男なので。それにみんなを主役のようにしたら翔さんが主役に見えないかといったら、そうじゃない。ちゃんと最後にバンっと重しとなって映る人なんですよね。映画に対する居方とか、座長としてもすごく男気があって、みんなが付いていきたいと思う人だし、まさに宗形にシンクロしていました。