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進撃の巨人 attack on titan

『進撃の巨人 attack on titan』諫山創(講談社)

巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた……壮大なスケールで始まるのは、コミックだけでなく、アニメ、映画などで昨年大ブレイクをした諫山創の「進撃の巨人」。

100年もの間、「ウォール・マリア」、「ウォール・ローゼ」、「ウォール・シーナ」という巨大な三重の城壁の内側に生活圏を確保し、平穏な日常を送っていた人類。突如として、その壁を軽々と乗り越える“超大型巨人”の襲来により、平穏は崩される。

“壁外の世界”を強く夢見る主人公の少年・エレン・イェーガーは母親を捕食され、幼馴染のミカサ・アッカーマンらとともに巨人と戦うべく、調査兵団への入団を目指す。

主人公エレンの謎(幼い頃にあった何かも伏線)と隠された能力、巨人を倒す方法、そして訪れる王政との対決……さまざまな複合要因が重なり、グイグイと読み進めさせられる展開は圧巻。迫力ある筆致が描く独自の世界観も必見だ。

猫絵十兵衛~御伽草紙~

『猫絵十兵衛~御伽草紙~』永尾まる(少年画報社)

人の言葉を話し、酒を呑み、タバコを喰らう怪猫・ニタと、ネズミよけの猫絵を描き、猫語を解する絵師・十兵衛が主人公の、永尾まるの「猫絵十兵衛~御伽草紙~」。

その1人+1猫と、たくさんの猫が住み着く江戸時代の“猫丁長屋”を舞台に、さまざまな人情物語が展開していく。

著者によると古今東西の猫の民話を元にして描かれており、サラリと出てくる長唄や回向院をもじった“ねこう院”、また猫好きだったという歌川国芳をモデルにした師匠など、江戸風俗の描写が随所に盛り込まれているのが魅力のひとつだ。

そして何より著者が猫好きなのだろう、猫の描写がとても秀逸で、猫好きならずとも猫のイロハを知ることができるに違いない作品。

ニタをはじめとする猫股という猫の妖怪の存在も特徴的で、化け猫などおどろおどろしい設定もあるものの、物語の大半は笑いのたえない摩訶不思議な人情話ばかり。たくさんの人に心地よい読後感を与える秀作だ。

高杉さん家のおべんとう

『高杉さん家のおべんとう』柳原望(KADOKAWA/メディアファクトリー)

博士号は取ったものの、研究職や就職にあぶれ、“フリーター”生活の高杉温巳31歳は、不慮の事故で亡くなった両親が残したマンションに一人暮らしをしている。

そんな温巳が突然、歳が離れた叔母・美哉が亡くなり、その娘・久留里を引き取ることになった。何をするにも要領の悪い温巳、そして何をするにも遠慮がちで自分を他人に開かない12歳の美少女・久留里……。

相容れない二人が、日々のお弁当を介して心を通わせていくハートフルコメディが柳原望の「高杉さん家のおべんとう」だ。

ハンバーグやきんぴらごぼう、チャーハンなど何気ない“おべんとう”のおかずの数々だが、それにまつわる“過程”が巧みに綴られる。

たびたび登場する温巳の同期である小坂りいな、香山玲子(2人はとっくにS女学園大学の准教授・特別研究員として働いている)による“助け舟”も物語の展開に一役買っている。

一見とっちらかっているようにも思える“おべんとう”以外の要素……恋の予感や温巳の就職、久留里の学校生活などもほのぼのと読める内容だ。

1位はヨシノサツキの『はんだくん』、4位もヨシノサツキの『ばらかもん』、9位はとうじたつや/ハジメの『少年Y』などがランクインしている。なお1月の少年漫画ランキングは以下の通り。

順位 作品タイトル 著者/原作者名
1位 はんだくん ヨシノサツキ
2位 聲の形 大今良時
3位 弱虫ペダル 渡辺航
4位 ばらかもん ヨシノサツキ
5位 七つの大罪 鈴木央
6位 猫絵十兵衛~御伽草紙~ 永尾まる
7位 進撃の巨人 attack on titan 諫山創
8位 妖怪アパートの幽雅な日常 香月日輪(原作)/深山和香(漫画)
9位 少年Y とうじたつや(著)/ハジメ(イラスト)
10位 月刊少女野崎くん 椿いづみ