ハイアールアジアは1月14日、「Haier ASIA Innovation Trip! 2015」と題した戦略発表会を開催した。同社が2015年内に発売を予定している新製品を披露したほか、今後展開する新事業について明らかにした。

記者発表会には、2014年6月から戦略的パートナーとして組むamadanaの熊本浩志代表取締役社長も駆け付けた(左から、ハイアールアジア 代表取締役社長兼CEOの伊藤嘉明氏、amadana 代表取締役社長 熊本浩志氏)

発表会に登壇したのは、2014年2月に同社の代表取締役社長兼CEOに就任した伊藤嘉明氏。2014年6月には、日本発のデザイン家電ブランド・amadanaと戦略的パートナーシップ契約を締結し、2015年春には共同開発した家電製品を発売すると発表していた。今回の発表会では、amadanaブランドの製品群第1弾のほか、開発中のプロダクトを紹介。伊藤氏は「家電業界の"新参者"として革命を起こす」と力強く宣言し、3つの戦略について説明した。

「家電業界に革命を起こす!」と語る伊藤氏

発表会で提示された3つの戦略

新しいビジネスモデルの構築

白物家電メーカーとして、これまでの方向性とはまったく異なる戦略として掲げたのが、"家電を利用した新しいビジネスモデルの構築"だ。白物家電の買い替えサイクルは通常8~10年で、物によっては15年、20年の長い寿命を持つ。そのため、製品を1度売ったらおしまいのいわば"売り切り型"のビジネスモデルが基本だ。

「この常識を変えたい」と意気込む伊藤社長は、白物家電をハブとした新たなビジネスモデルを提唱した。1つは、「DIGI」という仮称が付けられた液晶ディスプレイ搭載の冷蔵庫。画面にペットの映像を表示したり、水槽に見立てて泳ぐ魚を表示させたりすることで、冷蔵庫がただの"食べ物を冷やすためのハコ"ではなくなる。

DIGIはオンラインで購入したコンテンツを表示するデバイスとしても展開していく予定で、白物家電の枠組みを越えた黒物家電のような特徴も持つ製品だ。まさに昨今のネットワーク業界のトレンドである"IoT"(Internet of Things、モノのインターネット化)を冷蔵庫で具体化したものといえる。

伊藤氏によれば「冷蔵庫をインターネットデバイスとして考えることで今後の可能性が広がる。例えば、冷蔵庫の中の食材をスキャンして賞味期限を知らせたり、足りない食材をオンラインで購入したりできる」とのことだ。

冷蔵庫はインターネットに接続することで単なる"食べ物を冷やすためのハコ"ではなくなる

課金することで水槽(液晶ディスプレイ)に魚を飼える。左は魚がいない水槽、右は魚を追加した水槽

また、無料でハイアール製の冷蔵庫を貸し出し、高級アイスやスムージーなどの高付加価値商品を提供する「off ice(オフアイス)」という企業向けの食品販売サービスを展開していく。伊藤氏は「ただ商品を売るだけでなく、冷蔵庫を通して新商品の宣伝広告やテストマーケティングも可能」と今後の可能性について触れた。ちなみに、2014年12月からすでに都内のとある企業で試験導入されているそうだ。

伊藤氏は「ハードウェアはソフトウェアの乗り物に過ぎない」とし、コンテンツプラットフォームとしてintergalleryを推進していく

off iceは企業向けのサービス。冷蔵庫が広告媒体になる可能性もある

そのほか、コンテンツ配信事業「intergallery」も行う。まず液晶ディスプレイなどハードウェアの普及に注力して分母を拡大した後に、多様なソフトウェア(コンテンツ)を配信していくという課金制のビジネスモデルだ。