定番のミドルタワー・デスクトップからノートまで、ユーザーのニーズに合わせた多彩な製品をラインナップしている、マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」。このG-Tuneブランドの最高峰に位置するシリーズが「MASTERPIECE」だ。さらに、その中で何よりも性能を重視して設計されたプレミアムモデルが「OverClock MASTERPIECE」シリーズとなる。本シリーズにのみ搭載された「オーバークロックスイッチ」こそ、設計思想の表れといえるだろう。今回は「OverClock MASTERPIECE」シリーズから、Z97 ExpressとCore i7-4790Kを搭載した「MASTERPIECE i1460PA2-DOC-CL」を紹介しよう。

オーバークロックスイッチを搭載したG-Tuneハイエンドモデル「MASTERPIECE i1460PA2-DOC-CL」

オーバークロックスイッチの挙動を確認しよう

MASTERPIECE i1460PA2-DOC-CLは、CPUコアとヒートスプレッダの間に充てんされたサーマルグリスにポリマーベース素材を使用し、Haswell Refreshよりも高いクロックを実現した"Devil's Canyon"ことCore i7-4790Kを搭載したゲーミングPCだ。その定格動作クロックは4.0GHzとなり、発熱に余裕があればターボ・ブースト機能(以下TB)によって、2コアでは最大4.4GHz,3コアで最大4.3GHz,4コアで最大4.2GHzまでクロックが引き上げられる。同時にZ97 Expressチップセットと組み合わせることでオーバークロックを行うことができ、定格以上の動作クロックを狙うことも可能だ。

だがオーバークロック動作はあくまで自己責任で行うこととなるうえ、安定した動作のためには知識と経験が必要。またオーバークロックによる発熱を抑えるため、適切なパーツの選択が必要ということもあり、初心者には敷居が高い。そのオーバークロックをスイッチ一つで実現できるようにしたのが、本機に搭載されたオーバークロックスイッチというわけだ。

ONにするだけで定格以上の動作クロックを可能にするオーバークロックスイッチ

実際に本機の動作クロックを確認してみると、オーバークロックスイッチがOFFの状態では負荷に応じて0.8~4.0GHzの範囲で可変していた。通常動作では、定格クロックまでの動作となり、TBは動作しない。そしてオーバークロックスイッチをONにすると、動作クロックは4.6GHzまで上昇した。こちらは完全に4.6GHz固定動作となり、低負荷時でも4.6GHzを維持し続ける。またTB時と違い、4コアすべてが4.6GHzで動作していることが確認できた。電源が入っていてもいなくても、スイッチ一つで全コアを4.6GHzまで引き上げられるというのは非常に頼もしい。

オーバークロックスイッチOFFの状態では、Core i7-4790Kは0.8~4.0GHzの範囲で動作する

オーバークロックスイッチONの状態では、Core i7-4790Kの4コアすべての動作クロックが4.6GHzに固定される

さらに本機には、2014年12月現在、ゲーム向けとして最強の3D処理能力を誇るNVIDIA GeForce GTX 980が搭載されている。オーバークロックスイッチは、このGTX 980のクロックをも上昇させてくれるのだ。その上がり幅はベースクロックを1126MHzから1153MHzに(今回の試用機では公式値より高い数値となった)、ブーストクロックを1216MHzから1242MHzにとわずかではあるが、ゲームへの影響が強いグラフィックスカードの動作クロックが上昇するのはうれしい点だ。ちなみにオーバークロックスイッチON/OFF時には、G-TuneのマスコットキャラであるTuneちゃんの音声がオーディオ出力される、なんていうギミックも備えている。

GeForce GTX 980はオーバークロックスイッチOFFの状態では、デフォルトのベースクロック1127MHz、ブーストクロック1216MHzで動作する

オーバークロックスイッチをONにすると、GeForce GTX 980がベースクロック1153MHz、ブーストクロック1242MHzに引き上げられる

オーバークロックスイッチON/OFF時には、オーディオ出力からTuneちゃんの声で起動・終了を伝えてくれる

Abeeとのコラボによって生まれたオリジナルケース

このようなオーバークロック設定に対応できるのは、本機が高い冷却性能を備えているからだろう。その高い冷却性能を支えているのが、アルミケースで有名なAbeeとのコラボレーションで生まれたオリジナルケース。赤いラインが施された美しいブラックケースは、サイズに余裕があり本体寸法はW219×D471×H499mm。重量も約14.5kgと弩級だ。効率のいいエアフローを実現するために、フロント、リアはもちろん、トップや左右サイドパネルなどの絶妙な箇所にエアホールが設けられている。

ケースのフロント(左)およびリア(右)の様子。美しい仕上げと赤いラインが印象的だ。リアにはコラボモデルであることを示す、金属プレートが取り付けられている

ケース両サイドの様子。左側面(左)はグラフィックスカードの位置に多数のエアホールが設けられている。右側面(右)のエアホールは12cmファンの部分のみだ

電源ボタンおよびオーバークロックスイッチ、そしてアクセスランプはフロントパネルの中央部に設けられている。高い質感を備えた金属製の電源ボタンは、所有者に高級感を感じさせてくれるだろう。オーバークロックスイッチは押し込み式で、押し込むと赤いLEDによって"OC"の文字が輝く。電源投入時のみならず、電源が切れていても押せるのが特徴だ。ヘッドフォン出力・マイク入力やUSB端子はフロントパネルの最上段に配置されている。SDXCやメモリースティックなどに対応したマルチカードリーダーを初めから備えているのもありがたい。本体天面にはCouger製の14cmファンが設置されており、煙突効果によって高いエアフローを生み出してくれるだろう。

電源ボタンはフロント中央部に配置。オーバークロックスイッチやアクセスランプもこの位置にある

フロントパネル最上部には音声入出力やUSB 2.0/3.0端子、そしてマルチカードリーダーを備えている

トップに設けられたエアホールの内部には、排気用となるオレンジ色のファンが見える

天板を開けると、Couger製の14cmファンが確認できる。煙突効果を利用した効率のいいエアフローが期待できる

バックパネルI/Oは、USB 2.0×2、USB 3.0×4、PS/2ポート、ギガビットLAN、HDオーディオという構成だ。CPU内蔵グラフィックス用として映像出力端子も確認できるが、別途グラフィックスカードを搭載しているため、こちらは使用しないようカバーが取り付けられている。グラフィックスカードであるGeForce GTX 980の出力端子はDVI-I×1、HDMI×1、Displayport×3の5系統。マルチディスプレイ環境を構築する際は、Displayportを備えたモデルを選択しておいたほうが接続の柔軟性は上がるだろう。

USB 3.0端子やギガビットLAN端子などが並ぶバックパネルの様子。グラフィックスカードの映像出力は5系統と非常に豊富だ

いよいよ次ページでは、お待ちかねのベンチマークでオーバークロックの実力を検証してみたい。