11月19日から、千葉県幕張の幕張メッセで開催された放送関連展示会「Inter BEE 2014」のキヤノンブースにおいて、VAIO株式会社が開発したタブレットPC「VAIO Prototype Tablet PC」が参考展示された。

キヤノンが開発する現像ソフトウェア「Cinema RAW Development」とともに行われたデモンストレーションやタッチ&トライに、多くの放送関係者などが高い関心を寄せ、終日、人が途絶えないほどの注目ぶりとなった。

そして、この展示を通じて、「VAIO Prototype Tablet PC」および「Cinema RAW Development」の進化にも新たな方向性が加わったと両社では語る。Inter BEE 2014での展示を通じて、2つの製品はどんな進化を遂げるのか。

VAIO 商品ユニット3・宮入専部長、VAIO 商品企画の伊藤好文ダイレクター、キヤノン イメージコミュニケーション事業本部ICP第四事業企画部・恩田能成担当課長に話を聞いた。

左からVAIO 商品プロデューサー/商品企画担当ダイレクターの伊藤好文氏、キヤノン イメージコミュニケーション事業本部ICP第四事業企画部・恩田能成担当課長、VAIO 商品ユニット3・宮入専部長。手にするのは「Cinema RAW Development」が表示されたVAIO Prototype Tablet PCだ

放送業界での利用は「想定外」だった

VAIOが開発中のVAIO Prototype Tablet PCは、クリエイターを主要ターゲットに数々の機能を盛り込んだ「モンスタータブレット」である。

2014年10月に、米サンフランシスコで開催されたAdobe MAX 2014で初公開。その後、国内のソニーストアでの特別イベントや、アドビシステムズ日本法人が主催したAdobe CREATE NOWなどに参考展示。実際に試作品に触れてもらい、意見を収集し、それを製品化に生かすといった取り組みを行ってきた。

その一連の取り組みのなかで、VAIOは、11月19日から開催された放送関連展示会「Inter BEE」でも試作品の展示を行ったのだが、この展示会でのお披露目は、それまでの公開とは、意味合いが少し違っていたようだ。

Inter BEE 2014でのキヤノンブースの様子。VAIOの伊藤氏やキヤノンの恩田氏は、それぞれの立場から映像事業におけるVAIO Prototype Tablet PCやCinema RAW Developmentの優位性を説明した

米サンフランシスコのAdobe MAXおよび国内のAdobe CREATE NOWでは、主にイラストレーターや漫画家、フォトグラファーを対象に意見を聞く場とし、ソニーストアでのイベントはVAIOのコアユーザーから意見を聞く場だったともいえる。それに対して、今回のInter BEEの展示は、放送関係者が対象のイベント。4Kへのシフトが表面化してきた放送業界において、その流れを支援するデバイスとして、VAIO Prototype Tablet PCが位置づけられたといえる。

米国で開催されたAdobe MAX 2014では、PhotoShopのアーティストとして著名なレイス・バード氏がVAIO Prototype Tablet PCのデモンストレーションを行った

VAIO Prototype Tablet PCの開発に携わるVAIO株式会社 商品ユニット3・宮入専部長は、「VAIO Prototype Tablet PCの開発においては、正直なところ、放送業界での利用は想定していなかった。だが、ここにもビジネスチャンスがあること、それに向けてVAIO Prototype Tablet PCの進化の余地があることを改めて理解できた。このイベントを通じて、新たな課題を見つけだすことができた」と語る。

VAIO株式会社 商品ユニット3・宮入専部長