スーパーを見ればその国の人々の生活が分かる。海外旅行中、スーパーで地元の人々の食卓を想像しつつ、お土産探しをする人も多いのでは? 同じ買うなら、英国らしいアイテムを試してみたいもの。そこで、英国内のどのスーパーに行ってもたいてい置いている、英国定番のお菓子やドリンクを紹介しよう。

オレンジ風味を視覚で訴えるジャファ・ケーキのパッケージ。最近は大きいものや筒に入っているモノなどバリエーションも

サッカー、イングランド・チームも愛する「ジャファ・ケーキ」

日韓共催W杯の際、イングランド・チームが大量に日韓へ持ち込んだのが「ジャファ・ケーキ」。ケーキという名前ではあるが、直径5cmほどのソフトなビスケットにオレンジゼリーをのせ、さらにチョコレートでコーティングした庶民のお菓子。オレンジのほのかな酸味とチョコレートが意外な相性で、ついつい手が伸びる。さらにうれしいのは、チョコレート・ダイジェスティブ・ビスケットに比べても、1枚当たりのカロリーは半分強、脂肪分は4分の1以下なのだそう。午後の紅茶と一緒にどうぞ。

オレンジゼリーがしっとり系のビスケットとチョコレートの間に隠れている

英国産オーガニック・チョコレートの旗手「グリーン&ブラックス」

まだ現在ほどオーガニックがメジャーではなかった90年代に、オーガニック・チョコレート会社として起業した「グリーン&ブラックス」。当時、英国産のチョコレートバーと言えば、植物油をたっぷり使ったものが主流だった中で、しっかり濃厚なカカオの味がする同社のチョコレートは大ヒット。現在では板チョコだけでも、ダーク、ミルク、ホワイトといった定番から、シーソルトやチリといったちょっと変わり種まで、約20種類がずらりとそろう。チョコレート好きへのお土産には最適の一品だ。

フェアトレードを表すロゴが左下に、オーガニックを証明するソイル・アソシエーションのマークは裏側に入っている

ビールのおつまみにもぴったりなスナックたち

英国で「チップス」といえばポテトフライのこと。では、ポテトチップスはなんと呼ぶかというと「クリスプス」が正解。ここ10年くらいの間に、大量生産ではない厚切りの手作り風ポテトチップスの会社が英国内にいくつか登場したが、その中でも人気なのが「ティレルス」。塩すらかかっていないプレーンな「ネイキッド」から「ロブスター・チリ&ガーリック」まで10種類ほどのバリエーションのなかで、英国ならではの味が「シーソルト&サイダー・ビネガー」だ。

袋を開けた時にツーンとくる、ビネガー味のポテトチップスは英国では定番中の定番。なんといっても、「フィッシュ&チップス」のポテトフライにも、バシャバシャとビネガーを振って食べる(これが意外とおいしい!)習慣があるくらいだから、ポテトチップスに合わないわけがない。好き嫌いは分かれるところだろうが、英国に来た際にはぜひ一度、まずは小袋で試してほしい。

ソルト&ビネガーのポテトチップス。ティレルスのパケッケージは各フレーバーとも素朴なパッケージ。ティレルスのものは厚切りで食べ応えがあり、ビールのおつまみにも◎

もうひとつ、英国定番のビールのおつまみスナックと言えば、豚の皮を油で揚げた「ポーク・スクラッチング」だろう。レストランなどで供される揚げたてが最高なのだが、スーパーマーケットで袋入りのものを買うこともできる。さまざまな小さなブランドから独自の商品が販売されているので、物珍しいおつまみとしてお土産にするのもいい。

袋入りの「ポーク・スクラッチング」は、お菓子のコーナーではなくビールのコーナーにあることも。揚げたての味にはもちろんかなわないが、英国らしいスナックとして試してみたいところ

若き起業家たちの逸話が有名な「スムージー」

オーガニック・自然派・健康志向がキーワードの昨今の英国で、見事に流れに乗って人気商品となったのが、フレッシュなフルーツだけを使用したイノセント社の「スムージー」だ。ケンブリッジ大学卒の仲良し3人組が、副業として音楽フェスなどでスムージーを売り出したところ大ヒットした。

ある音楽フェスで、飲み終わったビンを「本業をやめて、スムージー販売に専念すべきか」を問う、YesかNoのゴミ箱への投票で問いかけたところ、Yesのゴミ箱がいっぱいになったため、3人は翌日会社を辞めてスムージー会社を設立するに至ったという逸話がある。どのフレーバーも、まるごとフルーツを食べているような素直な味。野菜・フルーツ不足になりがちな旅行中のビタミン補給にもおすすめだ。

イノセント社は、小さな毛糸の手作り帽子を一般から募り、スムージーのキャップに載せて25ペンス増しで販売している。その収益をチャリティ団体に寄付する活動「the Big Knit」はラベルでもアピールしている

オマケ編、市民権を得た「わさびピー」

そのほかに、オマケの番外編として、英国でいま人気なのが「わさびピー」だ。パブでもおつまみとして供している店も多く、スーパーマーケットでも売られるようになった。味は日本のわさびピーそのまま。英国ではとにかくわさびが人気。日本人としては考えられないくらい、たっぷりとわさびを刺し身にのせて食べる英国人を見かけることもある。あの鼻につーんとくる刺激は、意外にもグローバルだったよう。逆に日本から英国にお土産を考える際には、わさび味のスナックはウケがいいかもしれない。

英国人は日本人が思っているよりもずっと、わさびが大好きなのである

筆者プロフィール : 安田和代(やすだかずよ)

編集者、ライター。1995年からロンドン在住。日本の雑誌、ウェブサイトにロンドン情報、ライフスタイル記事、人物インタビューなどを寄稿。著書は『ロンドンのアンティーク』(日経BP企画)ほか。あまり役には立たないけれど「おもしろいモノ」をクンクンと感知しつつ、Facebookブログなどもゆるゆると更新中。