アユートは12月11日、Astell&Kernブランドのハイエンドネットワークオーディオプレーヤー「AK500N」の発表会を行った。AK500Nは7月に開発表明されていた、Astell&Kern初の据え置き型プレーヤーだ。2015年1月より受注開始を予定しており、1TB SSD搭載時の予価は1,600,000円前後。

上段が「AK500N」、中段がアンプ「AK500A」、下段がパワーサプライ「AK500P」

ハイエンドポータブルプレーヤー「AK240」をデスクトップ仕様に

AK500Nは、このところオーディオファンの間で普及が進んでいるネットワークオーディオプレーヤーというカテゴリーに属する製品だ。ネットワークオーディオプレーヤーは、PCやNAS(ネットワークHDD)に保存されている音楽ファイルをネットワーク経由でストリーミング再生する機器。光学ドライブやHDDを使用しないため、物理的な振動の影響を受けにくい。また、ハイレゾ音源の普及により音楽ファイルの大容量化が進んでいるが、容量面での制約を受けにくいという特徴を持っている。

AK500Nは、このネットワークプレーヤーにストレージや光学ドライブを搭載した製品だ。ストレージにはSSDを採用しており、機械的な振動を起こさない。また光学ドライブは再生機能を持たないリッピング専用となっており、やはり音楽再生時に影響を及ぼさない仕様となっている。

アユートの代表取締役社長、渡辺慎一氏

同社では、ポータブルプレーヤーのハイエンドモデル「AK240」をリリースしている。発表会の冒頭でアユートの代表取締役社長、渡辺慎一氏は、「これまでAstell&Kernはポータブルオーディオのブランドとして認知されてきた。それらで培ってきた技術をデスクトップオーディオに注ぎ込んだのが、今回のAK500N」と語っている。

デスクトップオーディオならではの機能

スイスのマッターホルンをデザインモチーフとしたAK500Nのキャビネットは、3cm厚のアルミ板からの削り出し加工で作られている。非常に堅牢なつくりだ。音楽CDのリッピングでは、リッピングエンジン「cdparanoia」をAK500N向けに最適化したものを採用。グレースノートのデータベースにより、楽曲情報などもオートインポートされる。

ネットワークプレーヤーとしては、PCやNASからの音楽再生が可能なうえ、それら接続機器の音楽ファイルをダウンロードすることも可能だ。また、AKシリーズ第2世代モデル(AK240・AK120II・AK100II)からも、ストリーミング再生とダウンロードを行える。

SSDを搭載するための拡張ベイを4基用意しており、1TB~4TBの容量を選択できる。1TBモデルの予価は1,600,000円前後とのことだが、2TBや4TBモデルの価格は後日の発表となる。

AK500Nは、ポータブル機では物理的に不可能だった豊富な入出力を持っている。デジタル入出力は、AES/EBU、同軸、光、BNC。アナログ出力はRCAとXLRだ。アナログ出力は、固定出力と可変出力用にそれぞれ別の端子を装備している。また、これらの入出力は、タッチパネルから切り替え可能だ。φ2.5mm、φ3.5mm、φ6.3mmのヘッドホン出力も装備している。

豊富な入出力端子を備える

タッチパネルから入出力を切り替え可能

USBポートは、USB DAC用のType Bポートと、外部ストレージ用のType Aポートを装備している。DACは「CS4398」を左右独立で使用したデュアル構成だ。最大384kHz/32bitの音楽信号に対応。PCM to DSD機能も搭載している。USBメモリやmicroSDカードも利用可能だ。

容量10,400mAh/7.4Vのリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、約7時間駆動する。据え置き型なのに、バッテリー駆動を採用したのは、電源ラインからのノイズ混入とスイッチングノイズからのアイソレーションを図るため。音楽を再生していないときや、内蔵バッテリーの残量が5%を切ると、ACアダプターからの充電がスタートする仕様となっている。

バッテリー駆動により、電源からのノイズを排除

内部構造

SSDを4基搭載可能

右側面にボリュームやmicroSDカードスロットなど

再生機能の一覧

AK500Nにオプションを加えたフル構成は世界初公開

iriverの副社長James Lee氏

冒頭の写真は、AK500Nにオプションのアンプ「AK500A」と、パワーサプライ「AK500P」を組み合わせたもの。AK500AとAK500Pについての詳細は現時点では明らかにされていない。

Astell&Kernブランドを擁するiriverの副社長James Lee氏は、「日本には年4回ほど、おもにポータブルオーディオのイベントで訪れているが、そのたびに、ポータブルだけでなくデスクトップもという声をいただいている。日本のオーディオファンからのフィードバックは、製品開発に重要な役割を果たしている。プレーヤー、アンプ、パワーサプライの組み合わせは世界初公開だが、日本で公開できたことを光栄に思っている」と語った。