日本マイクロソフトの12型Windows 8.1タブレット「Surface Pro 3」は、2014年7月17日から国内販売が始まり、ノートPCとしても使える2-in-1 PCとして脚光を浴びている。OEM PCベンダーのように特筆する特徴は控え気味ながらも、個人市場だけではなく法人市場へのアピールも強化してきた。

先ごろ発表した、レアル・マドリードCFのデジタル変革を推進する合意締結もその1つである。とかくPC市場の縮小が取り沙汰される状況下でも、比較的好調なSurface Pro 3について日本マイクロソフトは、販売パートナーの拡大や年末商戦に向けた取り組みを説明する記者会見を開催した。今回はコンシューマーユーザーが気になるポイントを中心に、会見の様子をレポートする。

法人市場で拡大するSurface Pro 3のシェア

藤本恭史氏に代わってWindows本部長の席に着いた日本マイクロソフトの三上智子氏

最初に登壇したWindows本部長の三上智子氏は、冒頭から法人向け市場における好調さをアピールした。Surface Pro 2の発売直後と比べると11倍の注文を受け、現在では法人2,500社がSurface Pro 3を導入している。自社ハンズオンラボでSurface Pro 3のタッチ&トライを開催したところ、86パーセントのユーザーが満足と回答したそうだ。

初代Surface Proは2013年2月(国内は同年6月)にリリースし、さらにCPUなどをパワーアップしたSurface Pro 2を2013年10月にリリースしたのは周知のとおりである。この2年間でSurface Proが持つ能力や利便性が高く評価された結果として、法人市場に反映されたのだろう。

法人市場におけるSurface Pro 3の好調さを数字でアピールした

三上氏はSurface Pro 3の導入事例として、前述したレアル・マドリードCFとの提携や、NFLオフィシャルタブレットに採用された点を紹介した。アメフトは非常に頭脳的なプレイが必要だが、MicrosoftおよびNFLは専用のアプリケーションを用意して、プレイヤーのアクションを撮影。数十秒後には監督やコーチの手元にデータが届き、次の指示や采配に役立てているという。今や試合をトラッキングしてデータ分析に役立てるのは珍しい話ではないが、このような現場でもSurface Pro 3は活躍しているそうだ。

Microsoftとレアル・マドリードCFによる提携や、NFLオフィシャルタブレットといった場面でもSurface Pro 3は活躍している

興味深いのは地方議会の導入事例だ。北海道の上士幌町議会はペーパレス化を進めるため、数年前から紙からデジタルデバイスへの移行を検討していたらしい。その際、iPadやAndroidタブレットも検討材料に上ったが、アウトプット面で不満が残り、最終的にSurface Pro 3に落ち着いたという。

国内非企業での導入事例。大学や地方議会、農業協同組合などでも積極的に導入されているそうだ

このように法人市場にリーチしてきた日本マイクロソフトだが、2013年11月時点でのリセラーは8社だった。その理由として三上氏は、日本マイクロソフトがPCハードウェアビジネスへの初参入だったことと、法人ユーザーのニーズに応える体制が万全ではなかったと回答。そして今回から、法人向け認定リセラーが約700社まで拡大したことをアピールした。当初、Microsoft/日本マイクロソフトのハードウェアに首をかしげていた方にとっては、予想外の結果につながったことを知る一例だろう。

法人向けにSurface Pro 3を販売する「法人向け認定リセラー」を約700社まで拡大させた