福井県福井市から勝山市・坂井市を結ぶ「えちぜん鉄道」は、乗車券の販売や観光・接続案内のアナウンスなどを行うアテンダントが乗務することで有名だ。それだけではなく、自転車を輪行せずにそのまま乗せられる季節限定「サイクルトレイン」を運行するしていることをご存知だろうか。

アテンダントが乗務するえちぜん鉄道で自転車旅を!

サイクルトレインは11月30日まで

めがね橋など三國湊の歴史文化遺産のそばを走ったり、コシヒカリ発祥の地・福井の田んぼの中を走ったり。時には1両編成でコトコト走るえちぜん鉄道は旅情をそそる。また、福井市内と恐竜博物館がある勝山駅、そして、日本海に面した三国港をつなぐ路線は、地元民の足のみならず観光客にとっても便利な路線だ。

終点の「三国港駅」。こちらの駅は無人だが、隣の「三国駅」は有人駅

そんなえちぜん鉄道では毎年、期間限定でサイクルトレインを運行しており、今年は3月15日から11月30日までとなっている。期間中の土曜・日曜・祝日に8:00~18:00限定で展開し、電車運賃に加えて自転車1台につき200円(当日限り有効)を支払えば利用可能。ただし、乗り降りできる駅が限られているので、事前に駅を確認しておこう。

1台につき+200円で自転車をそのまま持ち込むことができる

また、えちぜん鉄道には無人駅があることにもご注意を。サイクルトレインといえど一般の乗客もおり、一番前の扉(2両編成の場合は1両目の扉)は一般の乗客用となる。そのため、一番前の扉しか開かない無人駅で降りる場合は、事前にアテンダントへ一声かけるようにしよう。

引退した料金箱

無人駅では先頭車両の一番前の扉しか開かない

めがね橋を通過

アテンダントがアナウンス

風景もじっくり味わいたい

電車でショートカット、観光はじっくり

自転車で福井県内をのんびりサイクリングするのもいいのだが、例えば、日本最古の天守閣を有する「丸岡城」から世界三大奇勝のひとつにも数えられる「東尋坊(とうじんぼう)」まで行くのは一苦労。効率よく各エリアを巡りたいなら、一日フリーきっぷを購入するのもありだ。なお、丸岡城に行くなら「西長田駅」から、東尋坊に行くなら「三国港駅」からサイクリングスタートとなる。

江戸時代から現存している天守閣はわずか12城であり、そのひとつが丸岡城である。その丸岡城をPRしているのがゆるキャラ「城丸くん」

豪雪にも耐えられるよう、約6,000枚の瓦は全て石でできいる。東側は「阿」、西側は「吽」の鬼の石瓦にも注目を。なお、福井震災で落下したシャチホコは天守閣登り口のそばにある(写真提供: 坂井市)

20m越えの荒波が打ち寄せる東尋坊は、国の天然記念物と名勝の指定を受けている

東尋坊に続く通りには、20店舗以上の土産屋や飲食店などが軒を連ねている

食べ歩きを楽しみたいなら、ぜひ「三国駅」で途中下車を。江戸時代から明治初期にかけて北前船交易で隆盛を極めた港町の面影が残る通りには、築100年を超える料理茶屋「魚志桜(うおしろう)」や地元の食材にこだわったジェラートを提供する「ジェラート・カルナ」など、見どころにも食べどころにも困らない店が連なっている。

三国駅周辺に広がる三國湊

料理茶屋「魚志桜(うおしろう)」の「甘えび天丼」(1,080円)

三国特産のらっきょが入った「三國湊座」の「三國バーガー」(580円)

今年のサイクルトレインもあとわずか。漁解禁を向かえた越前ガニや甘エビ天丼などの海の幸を楽しみながら、のんびりと秋の福井を巡ってみてはいかがだろうか。

※記事中の情報・価格は2014年11月取材時のもの。価格は税込