東芝は19日、Windows 8.1 with Bing搭載の10.1型タブレット「dynabook Tab S80/NG」(S80)を発表した。ワコムと共同開発した「アクティブ静電結合方式」を採用し、2,048段階の筆圧感知にも対応する、まさに"手書き"に特化した1台といえるだろう。本稿では、試作機とはなるが、新たなペン入力技術も含めた「dynabook Tab S80/NG」のファーストインプレッションを写真で紹介していく。

dynabook Tab S80/NG

まずは先に主な仕様をチェックしておこう。S80はCPUがIntel Atom Z3735F (1.33GHz)、メモリがDDR3L-1333 2GB、グラフィックスがIntel HD Graphics (CPU内蔵)の10.1型液晶タブレットだ。解像度は1,280×800ドットとなっている。

通信機能はIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LAN、Bluetooth 4.0。バッテリ駆動時間はJEITA 2.0測定法で約7.5時間。使用していた時は輝度50%・Wi-Fi接続時で、約3時間半使用してバッテリ消費が約50%だったので、実測のバッテリ駆動時間も仕様の7.5時間に近い値になりそうだ。

フラットデザインの10.1型タブ

それでは外観を見てみよう。10.1型でサイズはW258.8×D175.0×H9.1mm、重量は約565g。持ってみると重量は気にならないが、片手で持つには大きいサイズ感。ベゼルに段差がないフラットデザインを採用する。なお、カラーはサテンゴールドの1色展開だ。

液晶解像度は1,280×800ドットのWXGAで、昨今広がりをみせるフルHD以上の高解像度と比べると流石にアイコンなどの細かい文字や、拡大した文字にはギザギザ感があるが、全体的には表示の荒さは感じられない。

インタフェースはデータ通信・充電兼用のmicro USB 2.0×1、ヘッドホン出力、microSDカードスロットなど。標準サイズの端子がない部分は少々残念な点だ。ただ、オプションでmicroUSBポートと標準USBポートの2基を備えた「USBデバイス&チャージケーブル」が用意され、本体を充電しながら標準USBポートが使えるよう配慮されている。

本体前面

本体背面

上側

下側

右側

左側

端子類はmicro版。Windows搭載であれば標準サイズのポートが欲しいところ

オプションの「USBデバイス&チャージケーブル」。標準サイズのUSBポートが利用できる

充電用にUSB-ACアダプタとUSBケーブルが付属する

手書きノートアプリ「TruNote V2」を試す

本機には、手書き用のノートアプリ「TruNote V2」、ホワイトボードのメモや紙の資料を撮影後に補正・整形・テキスト化するアプリケーション「TruCapture V2」、デュアルマイクを採用した録音アプリ「TruRecorder」を搭載している。ここからは、本機で特に注目したい手書き機能を含め、メインとなるこの3種類のプリインストールアプリを簡単にチェックする。

まずは手書きノートアプリ「TruNote V2」。本機ではワコム共同開発した「アクティブ静電結合方式」の搭載で、新方式のタッチコントローラとペンを採用し、高精度なペン先検出や筆跡追従などがうたわれている。

「TruNote V2」「TruCapture V2」「TruRecorder」はスタート画面で一番アクセスしやすい場所に登録されている

新開発のペンが同梱。このペンの中にもペン先位置検出用のコントローラが内蔵されており、内蔵電池で動く。なお、本体にはペンを内蔵するスペースはない

ペン先は非常に細く、通常のボールペンと同程度の印象。2,048段階の筆圧検知機能にも対応する。手前のボタンには消しゴム機能が割り当てられている

「TruNote V2」新規入力画面。左端メニューからペン種類やペン色が選択可能で、ボールペン、鉛筆、万年筆、サインペンなどが用意される。カメラボタンをクリックすると「TruCapture」が起動し、写真や手書き文字、手書きの表などを撮影し、内容を込こむこともできる。また、手書き文字の検索が可能で、例えば重要な部分に引いた波線部分を抽出可能。手書き文字や表は自動でテキスト化もされる。データは1000冊×1000ページ分保存可能

「ページ」をまとめた「ノート」の保存は.pdf、「ページ」の保存形式は、OneNote、.png、.pptx、.docx、.pdf、.txtなど、Officeアプリケーションにも対応。背景に罫線を入れるなど、紙面テンプレートも設定できる

実際の使用では特に追従性の高さが際立った。通常の紙に書くような速度で書いても、若干崩れはするものの、ひと通り書いた線を認識する。ペン先位置の検出が良好で、このため紙面のスキマに細かく文字を書くことができた

画像補正アプリ「TruCapture V2」を試す

「TruCapture V2」は、内蔵の約800万画素カメラで撮影した画像データを自動で補正・整形するソフトウェア。従来機でも搭載していた機能だが、今回新たに雑誌などの活字を自動でテキスト変換する活字認識(OCR)機能が追加された。OCRデータはメールやOfficeアプリに貼り付けることも可能だ。

「TruCapture V2」の起動画面。画像補正は既に撮影した写真でも適用できる。また、ファイルの検索やサムネイル画像の表示も行える

東芝の秋冬デスクトップPCの記事を撮影。多少歪んで撮影してしまった場合でも自動・手動で補正できる

補正適用後の画面。ここからOCRを行うことができる

OCR認識後。通常の雑誌や本とは形態が異なるためか一部文字化けしている部分もあるが、認識精度は体感だが9割程度と良好な印象だ。ここからテキストの選択・コピー作業が行える

録音アプリ「TruRecorder」を試す

新搭載の「TruRecorder」は、内蔵のデュアルマイクにより、録音した音声から最大10人までの話し手を識別できる、録音用アプリケーション。データ再生時には話し手ごとに色分けされて表示され、視覚的に話者が判別できるようになっている。特定の話し手の発言のみの再生や、再生スピードの変更も可能。

TruRecorderの起動画面。同機能は同時発表の8型Windowsタブレット「dynabook Tab S68」にも搭載されているため、機種ごとのマイク位置の違いに注意と告知されている

今回試したS80のマイク位置は本体上面。電源ボタンの左側と、Windowsボタンの左側の2カ所に配置されている

こちらは東芝のサンプルデータを再生したところ。5人の話者が色別に表示され、誰がどの発言をしたのかわかるようになっている

編集部で試したところ、三人程度な問題なく判別した。主にデュアルマイクによる位置情報から話者を特定しているため、最大認識人数の10人を超えると判別精度は低くなると思われる