主婦向け雑誌『サンキュ!』が20代から30代の専業主婦に行った「主婦の労働に関する調査」によると、専業主婦層の88.4%が「働く意向あり」と回答。2009年と比較すると16.7ポイント増加し、結婚後の主婦の労働意向が高まっていることがわかった。さらに、「すぐにでも働きたい」「2~3カ月から半年以内に働きたい」と答えた人の割合も合わせて12.3ポイント増加し、より具体的に労働現場への復帰を検討している主婦も増えている様子だ。

一方、総務省の2013年の就業構造基本調査によると、25歳から39歳の女性労働者は過去最高の約70%の割合に。共働き世帯数も過去最高の1,065万世帯となり、仕事と家庭を両立する女性が着実に増えていることが分かった。

カジテツグッズ

こうした中、主婦層の消費傾向にも変化が見られている。仕事と家庭の両立で時間のない主婦の間で“カジテツグッズ”と呼ばれる商品が人気だ。

“カジテツ”とは家事手伝いの略。つまり、時間のない主婦の家事をサポートしてくれるグッズ。いわゆる働く主婦にとっての“三種の神器”と言われるものだが、現代はロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機、食洗機(食器洗い乾燥機)が代表的な製品。そしてこれら白物家電製品に限らず、より日用的な時短に便利な商品も含めた総称が“カジテツ”グッズということなのだ。

テレビや講演会などで活躍する家事・節約アドバイザーの矢野きくのさんは、カジテツグッズについて次のように語る。「それまで専業主婦として家事に取り組んでいたため、夫のサポートも期待できないという声が多く聞かれ、せっかく良い仕事に巡り合えても、挫折してしまう懸念があります。そこでこうした家事を少しでも効率化できる商品の需要がますます主婦の間で高まっています」

そこで矢野さん流のカジテツグッズを3つコメント付きで紹介したい。

・ロボット掃除機
これは言わずと知れた家事のアシスト家電のいまや王道的商品。iRobot社のルンバが有名ですが、留守中にでも掃除機が自走して部屋を掃除してくれ、いまや主婦が欲しいものとして、圧倒的な支持を受けている家電です。

・カット野菜
働きだしたからと言って惣菜を買ってくるだけでは気がが引けるという主婦にうってつけ。本当は自分でカットして小分けにして冷凍するのが一番ですが、時間のないワーキングマザーにとってはこうした調理済みの食材が大変役立ちます。

・ジェルボール型の洗濯洗剤
粉末でも液体でもない「第3の洗剤」として人気のジェルボール型洗剤。お洗濯の最初に、ポンっと洗濯機に投入するだけの洗剤は、計ったりする手間もなく、慌てて入れてもこぼす心配もなし。投入口の手入れをする必要もなく、すすぎも1回で済むので、洗濯にかかっていたちょっとした手間を短縮。「一度使うと戻れない」という声も。

ミセカジグッズ

また、カジテツアイテムに加えて、主婦の間で最近トレンドとなっているのが“ミセカジ”グッズだという。一般の人にはまだ聞き慣れない言葉かもしれないが、いわゆるちょっと高価な“高付加価値商品”。暮らしに少しこだわり、家事を“魅せる”ことに重点を置いたアイテムとのこと。例えば高級なべや調理器具、インテリアなど、家事周りの日常的な商品に少しプレミアムな要素を取り入れることで、家事に充実感をもたらしたい、気分を上げたいといった主婦の願望をかなえるものとして人気となっているようだ。働いて経済的に少し余裕のある主婦だからこそ、実現可能な日常のこだわりとも言える。

主婦のこうした消費動向について矢野さんは「最近の主婦の間では、家事を義務感としてこなす人と、楽しむ人に二極化してきています。そして、いまや主婦の2人に1人がスマートフォンを利用し、気軽に自分の暮らしぶりをカメラで撮影してブログやSNSなどに気軽にアップしてお披露目する時代でもあり、家事を楽しむ層は人に“見せる”“共感する”ための日用品を購入する傾向にあるのだと思います」と分析。代表的なものとして次の3商品を紹介した。

・鋳物の鍋
中でも代表的なのがフランスの“ルクルーゼ”。熱伝導、耐久性、保温力に優れた実用度の高さに加えて、カラフルなバリエーションとインテリアとしてキッチンに飾っておいても様になるオシャレなデザインが主婦の間で大人気。所有欲はもちろん、ちょっとお高い鍋を買ったという意識で料理に対するモチベーションも上がるという声も多いようです。

・オシャレなゴム手袋
一般的なものに比べると割高だが、オシャレでファッショナブルなデザインで生活感がなく、キッチンに置きっぱなしにしておいても華になるとアメリカのブランド・グローバブルズのものなど外国製のものが人気です。

・高級な柔軟剤
もともとは海外製の華やかな香りの柔軟剤が人気の火付け役となり、国内のメーカーでも“香り”を積極的に打ち出した商品が続々と発売されています。最近では、パリのホテルでも使われていた香りとして話題となった“ファブリックトリートメント”という新発想のプレミアム柔軟剤「レノアオードリュクス」など、洗面所の目の触れるところに置いておいてもインテリアとして溶け込む、オシャレなボトルデザインの商品が人気。

最後に矢野さんは、「なんでもかんでも買えばいい、お金をかければいいというわけではありませんが、自分の生活に合わせて品物を選ぶことで、純粋に物理的に時間を短縮してくれたり、気分的な変化をもたらせてくれたりとそれなりの効果を発揮してくれるものです。自分自身のライフスタイルにどんなアイテムが合っているのかを見つけ、見極める目を持ち、マンネリ化した日常から脱却して、家事を楽しめるように思い切って取り入れてみてほしいです」と、カジテツ&ミセカジグッズの“ススメ”を語ってくれた。