2014年6月26日、多くのユーザーが待ちわびたインテルのクアッドコアCPU、Devil's Canyonこと「Core i7-4790K」が発売された。Haswell Refreshで見送られた"K"付きの倍率アンロックモデルとなり、(自己責任とはなるが)オーバークロックに対応したモデルだ。注目されている理由はその動作クロックにある。ついに4コアすべてが定格4.0GHzで動作可能となり、ターボ・ブースト機能利用時には、2コアまでだがなんと4.4GHzにまで達するのだ。"K"なしのCore i7-4790が定格3.6GHz、ターボ・ブースト機能利用時4.0GHzなので、オーバークロックをしない人にもその性能は魅力的に映るだろう。

マウスコンピューターのデスクトップPCラインナップにも、さっそくCore i7-4790Kを搭載したモデルが登場している。今回はその中から「MDV-GZ7510X-SH」と、マウスコンピューターでオススメの23型AH-IPSディスプレイ「ProLite XUB2390HS-B1」をお借りしたので、動作クロック4.0GHzの実力をチェックしてみよう。

マウスコンピューターの「MDV-GZ7510X-SH」とiiyamaの「ProLite XUB2390HS-B1」

ユーザー本位で設計された「MDV ADVANCE」シリーズ専用ケース

MDV-GZ7510X-SHは、チップセットにインテルのZ97 Expressを採用したATXマザーボードに、定格4.0GHzの動作クロックを誇るCore i7-4790Kを搭載したミドルタワーPCだ。CPUの温度に余裕があれば自動的にクロックを上げてくれるターボ・ブースト機能に対応しており、2コアまで最大4.4、3コアまで最大4.3、4コアの場合4.2GHzまで引き上げてくれる。実際に4.4GHzに達するかどうかは、次ページでの検証で確認いただくとして、まずは本機の外観から紹介しよう。

つや消しブラックのフロントパネルが印象的な「MDV ADVANCE」シリーズ専用ケースは、吸気をフロントサイドのボトムに設けたスリッドから行うことで静音にも注力された筐体だ。電源はボトムに設置されており、CPUの熱が電源に悪影響を与えないほか、ケースの重心が安定する効果も得ることが可能。サイドパネルには真横にエアホールが設けられており、熱源となるグラフィックスカードを効率的に冷却できる。ケーブルは5インチベイの後ろにしっかりと束ねられているため、ケース内の空気の流れを妨げることはないだろう。

つや消しブラックで指紋や汚れなどが目立たないフロントパネル。さらさらとした手触りも心地いい

電源はボトム配置となっており、ケース全体の重心が低いため安定性が向上している。またCPUの熱が電源にダメージを与える心配もない

サイドパネルにはエアホールが設けられており、新鮮な空気を直接グラフィックスカードに供給できる

サイドパネルを外した内部の様子。空間に余裕があるため、エアフローの問題で熱がこもることはなさそうだ

フロントパネルには、音声入出力端子、リセットボタン、USB 3.0端子×2のほか、標準でマルチカードリーダーを搭載。SDカードやメモリースティックなどの標準サイズのフラッシュメディア用スロットのほか、小型のmicroSDカードなどを直接差し込めるスロットを設けており、別途カードリーダーを用意する必要がない。ミドルタワーケースは机の下に設置されることが多いため、頻繁に使用する電源ボタンは本体の天面に配置されている。5インチベイの一番上に搭載されたDVDスーパーマルチドライブと共に、床置きでもスムーズに操作が可能だ。

各種端子やリセットボタンはフロントパネル中央部に配置。その上のくぼみには電源/アクセスランプが備えられている

床置き時に押しやすいよう、電源ボタンのみ本体天面に配置。5インチベイ最上段には光学ドライブが内蔵されている

次に本体背面を詳しく見ていこう。バックパネルにはUSB 2.0×2、USB 3.0×4、PS/2ポート、ギガビットLAN、HDオーディオなどの端子が並んでいる。映像出力用の端子も3つ備えるが、グラフィックスカードを搭載しているためこちらは使用しない。養生テープなどでふさぐといった対応をしているメーカーも多い中、それぞれ専用カバーが取り付けられており、のちにマザーボードを再利用することなどを考えると大変ありがたい。12cmファンの下には水冷用ホールも確認でき、拡張も考慮に入れられたケースであることがわかる。

水冷用ホールも備えた背面の様子。マザーボード上の映像出力端子は使用しないため、それぞれカバーが取り付けられている

マザーボードにはMSIの「Z97-S01」を採用。市販のラインナップには存在していないため、カスタマイズモデルだろう。PCI-Express x16スロットを1基、PCI-Express x4(x16形状)を1基、PCI-Express x1を4基搭載しており、拡張の自由度は高い。またインテル 9シリーズチップセットで新たに対応したM.2コネクタを備え、あとから10Gb/sに対応した高速ストレージを追加することも可能だ。

マザーボードからグラフィックスカードなどを外したところ。ストレージに高速アクセスできるM.2コネクタも確認できる

電源はAntecなどへのOEMでも有名なFSP製の500Wモデルを搭載している。電力変換効率に関する規格80PLUSプログラムのSILVER認証製品となっており、省電力に貢献してくれるだろう。さらなる電力変換効率や、より大容量の電力を求めたいなら、BTOカスタマイズでGOLD認証製品や700W電源も選択可能だ。ストレージはSSDとHDDの2台構成。脱着式のHDDホルダーによってゲージに取り付けられているため、拡張や交換も簡単に行える。

80PLUS SILVER認証のシールが輝く500Wの電源ユニット。数々の有名メーカーのOEM供給元であるFSPの製品を採用している

脱着式のHDDホルダーに対応した3.5インチベイを4つ備えており、換装は容易だ。そのうち2つにSSDとHDDが取り付けられている

CPUの実力をしっかり引き出せる各種パーツ群

続いて、搭載されている各パーツを取り外して確認してみよう。グラフィックスカードにはNVIDIAのアッパーミドルモデルGeForce GTX 760を採用。外排気型のクーラーを備えており、ケース外に直接GPUの熱を逃がしてくれる。メモリはADATA製のDDR3-1600が2枚で、それぞれの容量は8GB。計16GBものメモリ空間があれば、メモリ不足で困ることはまずないだろう。またDDR3は1.35Vで駆動するため、わずかではあるが省電力にも貢献してくれるだろう。SSDは120GB、信頼性の高さで人気の高いインテル 530を搭載している。HDDは東芝の500GBモデルだ(※現在は、期間限定の無償アップグレードにより1TBとなっている)。アプリケーションをたくさんインストールする人や、動画などのデータを大量に扱う方はBTOカスタマイズで容量を調節しよう。

グラフィックスカードはNVIDIAのGeForce GTX 760。ハイエンドに迫るパフォーマンスを備え、最新ゲームでも実力を発揮してくれる人気製品だ

メモリは1.35Vで動作するDDR3-1600。16GBもの容量を搭載しており、多数のアプリケーションを同時に動かしても余裕がある

ストレージはSSDとHDDの2台構成。SSDにはネームバリューと信頼性の高さを誇るインテル 530シリーズが採用されている