富士通が展開する女性向けPC「Floral Kiss(フローラルキス)」の第2世代となる「LIFEBOOK CH75/R」が5月下旬、発売された。
2012年11月に発売した第1世代Floral Kissユーザーの声をもとに、女性が求めるスペックを盛り込んでさらに進化を遂げた第2世代のFloral Kissは、機能面での強化とともに、大胆なバイカラーを採用することで、エレガントさとカッコよさの両立を追求した。
また、20~30代の働く女性が強い関心を持つ「美容」、「旅行」、「ファッション」、「スキルアップ」の4点にフォーカスしたアプリサービスを用意。第1世代同様に、女性ならではの視点から、新たな利用スタイルの提案を行うPCというポジションも健在だ。
第2世代のFloral Kissは、どんな背景から、どんな進化を遂げたのだろうか。
「買い」の土俵にあがれるスペックを
開発を担当した富士通ユビキタスビジネス戦略本部 パーソナルプロダクト統括部の鬼澤美穂氏は、「第1世代以上にこだわったのがスペック。PCとして、欲しい機能を搭載していないと思われた時点で土俵にあがれない。取り逃すことがない製品にした」と切り出す。
女性向けという観点からは、スペックは後回しとの印象もあるが、むしろそれは逆だった。
実は、社内向けの企画書で「最後のページにスペックを表示する」という異例の方法は、第1世代のFloral Kissから継承している。だが、これはスペックをないがしろにしているというわけではない。スペック以外にも訴えるところが多いのが、「女性向け」と謳うFloral Kissの特徴。スペックで勝負する製品ではないということは誰もがわかっている。だからこそ、企画書では最後のページにスペックを記載する。
しかし、鬼澤氏は「これを買っておけば、長年安心して使えるようにしたかった。ターゲットとしている20~30代の女性の利用シーンからすると、ここまでのスペックはいらない。だが安心感を優先し、必要だと感じる人が多い機能であれば、極端な話、5年に一度しか使わない機能でも搭載した」と語る。細かい機能の高性能化は第1世代からのこだわりだったが、第2世代ではそれに加え、PCとしての基本機能の広がりにこだわった。
新たなFloral Kiss では、CPUには第4世代のCore i5を採用したほか、ストレージには約500GBの大容量HDDを搭載している。「PCは大きな買い物であるため、スペックに詳しくない人でも吟味する人が多い。見劣りしないスペックであること、やりたいことができるオールインワン仕様であることを目指した」と鬼澤氏は語る。
Floral Kiss LIFEBOOK CH75/Rのスペック概要 | |
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OS / CPU | Windows 8.1 Update 64bit / Intel Core i5-4200U(1.6GHz) |
メモリ / ストレージ | 4GB / 約500GB SATA HDD |
光学ドライブ / ディスプレイ | DVDスーパーマルチ / 13.3型ワイド(1,920×1,080ドット) |
ネットワーク | 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T/対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0+HS |
インタフェース | USB 3.0×4、HDMI×1、SDHC/SDXC対応カードスロットなど |
サイズ/重量 | W319×D220.9×H10.9~22.5mm / 約1.72kg |
バッテリ駆動時間 | 約9.1時間(JEITA 2.0) / 約17.8時間(JEITA 1.0) |
その代表例が、ODD(Optical Disk Drive、光学ドライブ)の搭載であり、Microsoft Office Home and Business 2013の搭載だ。
同社の調査によると、女性ユーザーが個人所有するPCでODDやOfficeを使っている人はそれほど多いわけではない。しかし、第1世代のFloral Kissにおける振り返り調査では、約8割の女性が「ODDを搭載していないPCは購入しない」と回答した。
利用実態から作り上げたスペックではODDは不要でも、購入理由から必要とされるスペックではODDは必要となる。これに基づいて作り上げたのが、第2世代のFloral Kissとなる。ODDの搭載を前提としたため、製品企画の段階でいち早く、第1世代で採用したUltrabook仕様にはこだわらないことも決定した。
「第1世代はターゲットを絞り込むため割り切った部分もあったが、PCとして必要とされる機能を搭載していないと選ばれないこともわかった。そこで、第2世代のFloral Kissでは、ODDを標準搭載した。だが、そうした機能を搭載したからには、それが無駄にならないような利用提案も行っていく。『しっかりと選んでもらえ、しっかりと使ってもらえる』。それが第2世代で目指したFloral Kiss」と語る。