豆腐ラーメンをイメージできても、その姿は麻婆豆腐をトッピングしたマーボラーメンだろう。ところが、埼玉県にはその名もストレートな「豆腐ラーメン」 というメニューが、ご当地グルメとして人気を博しているという。

「豆腐ラーメン」ってマーボラーメンとは別物なのだ! (写真は「とうふらぁめん蘭蘭」の「豆腐ラーメン」)

いわゆる埼玉県内のローカルB-1グランプリとでも言うべき「埼玉B級ご当地グルメ王」において、第2回、第4回で優勝、第3回で準優勝という実績を誇っていて企画商品のカップラーメンまで発売された。さて、その味はマーボラーメンとどう違うのか。現地で確かめてみた。

身体にも財布にもやさしい一杯

足を運んだのは、豆腐ラーメンの総本山ともでも言うべき「レストラン大手門」だ。豆腐ラーメンはここで生まれ、今も不動の看板メニューだという。「豆腐ラーメン」を目にしての第一印象は、「うん、これは確かに豆腐とラーメン」というもの。とても自然な様子で、ラーメンの上にあんかけの豆腐がたっぷり載っている。

食べてみると、あんかけだからあついあつい! フウフウいいながら食べると、味はあっさりしている。豆腐はマイルドと極めて口にやさしい味わいだ。あんの中にはミンチ肉が入っていて、この肉が程よいエキスを出している。ボリュームもあって満足度が高い! 鶏ガラスープのさっぱり味で、麺は中太ちぢれ麺である。

「レストラン大手門」の「豆腐ラーメン」は600円

「当店のモットーは身体と財布にやさしいことなんです」と言うのは店主の江原弘さん。豆腐は言わずもがなの健康食品で栄養価も満点だ。値段は600円とお値ごろだが、消費税前はなんと500円だったそうだ。「25年ぶりの値上げになってしまいましたが、今度10%に消費税が上がる時は、値段は据え置きになります」と神妙な面持ちの江原さん。いやいやいやいや、十分安いですよ!

ピリ辛仕上げのアツアツあんかけ

次に向かったのは、ここも「豆腐ラーメン」の名店である「幸楊」だ。青地の看板に白で「トーフラーメン」と書かれている。取りあえず食べてみよう。

「豆腐ラーメン」は650円でスープの味わいがじんわり響き舌にやさしい味わい。もちろん豆腐のあんかけはアツアツでふぅふぅいいながら食べる。一部ネット情報では「ピリ辛」とあったが、食べるとさほど辛くなかった。

店主の高木利三さんは以前「大手門」に勤務していて、そこで高木さんが考案したメニューが「豆腐ラーメン」だったという。「もともとはまかないだったんだけれど、当時の社長が気に入ってくれてメニューになったんだよ」。

つまり元をたどると、「豆腐ラーメン」考案者はいま、「幸楊」にいるということである。「幸楊」がオープンしたのは2002年。以来、「豆腐ラーメン」の2トップとして君臨しているのだ。

「幸楊」の「豆腐ラーメン」は650円

●information
トーフラーメン幸楊
さいたま市桜区田島1-21-18

中太麺と醤油風味のあっさりスープ

「豆腐ラーメン」は事実上、大手門と幸楊の2店の寡占状態にある。しかし第3の店がないわけでもない。それが「とうふらぁめん蘭蘭」だ。

この店はオープン35年と老舗なのだが、店主の斎藤好司さんは実にひょうひょうと言う。「うちは老舗だから……ということにはこだわってないよ。おいしいものを作るだけ」。ここの「豆腐ラーメン」は700円で、中太麺と醤油風味のあっさりスープが相性いい。

「夏はみんな汗だくだくで食べてるよ。うちは冷やし中華がないからね。ハッハッハ」とマイペースで大らかな大将だ。ともあれ、こんな庶民的な店で気軽に食べられるのも「豆腐ラーメン」のいいところではないだろうか。

「とうふらぁめん蘭蘭」の「豆腐ラーメン」は700円

●information
とうふらぁめん蘭蘭
埼玉県さいたま市岩槻区本町3-3-4

以上駆け足で紹介した、高い評価を誇る埼玉県の「豆腐ラーメン」。出張や旅行などでチャンスがある時は、ぜひ挑戦してみてほしい。

記事中の情報・価格は2014年4月取材時のもの。価格は税込