沖縄の生活で踊りは切っても切れないもの

食べ物や言葉、習慣、服装などなど、ところ変われば文化はそれぞれ。上京して「スーパーに○○がない!!」や「××って言わないの!?」などと、今まで常識だと思っていたことが通じず、ちょっとしたカルチャーショックを感じた人もいるのではないだろうか。文化としての興味深さで言えば沖縄は随一! 聞いてみたところ、冠婚葬祭でも"沖縄らしさ"が見られるそうだ。

来場した人から自由に飲食

まずは結婚式から。今日の結婚式には、レストランで行うようなフランクなものから数百名のゲストを迎えての披露宴など、様々なスタイルがある。そのため一概には言えないが、沖縄での一般的な感覚として、交通費や宿泊費は自費、ご祝儀は1万円程度ということが多いよう。

披露宴ではコース料理を楽しみながら新郎・新婦を祝福、という流れをイメージするだろうが、それも沖縄ではちょっと違う。高校まで沖縄で過ごしたという沖縄出身者によると、受付を済ませて披露宴会場に向かうと、刺し身からメイン、デザートまで全てそろったオードブルが、すでに会場で待ち構えていることが普通だという。これらの料理は来た人から飲食OKというところに、あらためて沖縄らしいカジュアルさを感じてしまう。

新郎もかりゆしウエア!?

カジュアルという点で興味深いのが、沖縄ではかりゆしウエアが正装として認識・普及されているため、結婚式でもかりゆしウエアを見かけることが多いこと。かりゆしウエア=正装は、2000年の九州・沖縄サミットで各国首脳が着用したことがきっかけになっているようで、沖縄出身者によると「県庁の職員もみ~んなかりゆしウエア」という。

かりゆしウエアには様々なデザインがあり、鮮やか色彩はリゾート気分をさらに盛り上げてくれる。そもそも”かりゆし”には"めでたい"という意味があるため、ハレの日を彩るのにぴったりだ。男女問わずかりゆしウエアで出席する人も多く、かりゆしウエアにあわせるスカートやズボンも特に形式はない。さらに言うと、新郎も白く輝くかりゆしウエアということもある。

披露宴の最後には、沖縄の調べにあわせてみんなが沖縄の踊り"カチャーシー"を踊る。「とにかく、沖縄の人は踊るのが大好き! どんな時だって踊っている」とのこと。カチャーシー初体験の人も、門出のお祝いも兼ねて大いに踊っていただきたい。

喪服用かりゆしウエアも一般的

かりゆしウエアは葬儀の場でも活用されている。かりゆしウエアには喪服用にデザインされたものがあり、黒色にシンプルなデザインが基本。スタンドカラータイプのほか開襟タイプもあり、下は黒色のスカートやズボンを合わせるのが一般的なよう。かりゆしウエアはバリエーションが豊かで、値段も数千円の手頃なものから10万円以上するものまである。ちょっとした普段着にはもちろん、正装として活躍できるものもあるため、沖縄の人はTPOにあわせてかりゆしウエアを使い分けているようだ。

正月よりも大事な盆

また、沖縄の盆もちょっと独特である。そもそも沖縄は歴史的に中国との関わりが深かったため、盆は中国同様に旧暦で行う。"ウンケー(お迎え)"から"ナカヌヒー(中の日)"、そして最終日に先祖を送る"ウークイ(お送り)"というのが流れだ。「正月は帰れなくても盆には帰っておいで」と言われるほどの一大イベントになっている。そのため、この時期は買い出しに料理にと大忙しで、スーパーはどこも激込みするようだ。

沖縄の踊りとして知られている"エイサー"は、もともと盆に祖先の霊を送り出すためにできた芸能らしく、旧盆にはエイサーをしながら各地区を練り歩く"道ジュネー"というのがある。エイサーを踊る人同士が行き会うと、演舞を競う"ガーエー"が始まる。

オバーの優しさが詰まった"カメーカメー攻撃"

人が集まれば料理やお酒は欠かせない。この時に本領発揮されるのが"カメーカメー攻撃"である。 沖縄では"食べなさい"を"カメー"と呼び、この攻撃は「これも食べなさい、あれも食べなさい、それも……」 と、ご馳走をたくさん振る舞ってくれる温かいおもてなしのことである。盆ではこの"カメーカメー攻撃"もよくある風景のようだ。

盆の最後のウークイでは、「先祖があの世でお金に困りませんように」と願いを込めて、あの世のお金に見立てた紙"ウチカビ"を、銀のたらい"カニバーキ"の中に入れて燃やす儀式を行う。その煙を眺めながら、「オジー、これで大金持ちだね」などと言いつつ先祖を見送るそうで、盆に帰省できなかった時は「ちゃんとそっちでやったかね?」と家族に言われることもあるよう。

2014年の旧盆は8月8日~10日。この時に沖縄へ行かれる人はぜひ、"カメーカメー攻撃"でおなか一杯になりながら、沖縄ならではの一大イベントを肌で感じていただきたい。

※本文と写真は関係ありません。なお、本文中の風習・言い回しは地域や世代によっても事情が変わります