自分のレベルやプランに合ったルートを考えよう

日本一高い頂を目指す富士登山。頂はひとつだが、そこに至るまでのルートは4つ整備されている。それぞれのルートは個性的。道のりの難易度、混雑具合、景色などが異なり、登る度に新しい発見があることが、リピーターを生む要因ともなっている。

実際に登頂する場合、1合目から登ることもできるが、一般的には5合目までクルマで上がり、そこで高度順応と装備を調えて頂を目指すことになる。2013年から5合目まで自家用車で上がる登山客に対して、マイカー規制が行われている。各ルートの規制日程についてはこちらを参考に。

人気No.1! 施設が充実した「吉田ルート」

富士スバルラインの終点、5合目から登るのが吉田ルート。5合目には土産物やレストランが並び、準備拠点にしやすく、さらにルート上には26棟の山小屋がある。お金さえ持っていけば、途中の山小屋で水や食料を調達しつつ休憩もできる。荷物が少なくて済むため、初心者向けのルートとして人気だ。

ただ、人気があるがゆえに、時期によってはご来光を目指して登る登山客で渋滞も起こりやすく、「自然」の中を歩く雰囲気を感じにくい場合もある。

おおよその所要時間
登り: 約6時間
下り: 約3時間
登山開始標高(5合目): 2,305m

爽快な下りと緑を楽しむ「須走ルート」

山頂を目指す登山道の景色の多くは、標高が高いゆえに岩と砂ばかり。色鮮やかな緑の中を歩くような一般的なイメージの登山とは、程遠い登山道を歩くことになる。ところが須走ルートだと5~6合目までは森林の中を歩けるため、「緑を楽しむ登山道」として人気が高い。8合目で吉田ルートと合流するまでは、人も少なくのんびりと登山ができる。

また、下りの7合目からは「砂走り」と言われる道に入る。フカフカの砂の上を飛ぶように、1歩で2~3mも下れる人気のポイントだが、疲労度や体調を考えながら無理はしないようにしよう。

おおよその所要時間
登り: 約7時間
下り: 約3時間
登山開始標高(5合目): 1,960m

最短距離を登りたいなら「富士宮ルート」

各ルート中、登頂距離が4.3kmと最短。雄大な駿河湾を常にバックに登るため、登頂中、振り返れば常に雄大な景色が楽しめるダイナミックなルートだ。距離が短いため、初心者向けとも言われるが、ルートのほとんどが岩場と砂で占められるため、それなりのテクニックが必要。

多忙で時間が取れない人におすすめしたいが、登山と下山道が一緒になっているため、混雑時は歩きにくく思わぬ時間がかかることも。その意味では、登頂と下山の時間が見えにくいルートともいえる。また、方角の関係上、山頂に登るまでご来光を拝むことができないので、注意が必要だ。

おおよその所要時間
登り: 約5時間
下り: 約2時間50分
登山開始標高(5合目): 2,400m

いつかは登りたい! 上級者向けの「御殿場ルート」

各ルートの中でもっとも登山開始標高が低く、登頂までの距離が11kmと最長の御殿場ルート。このルートは山小屋の数が少ないため、悪天候の場合に避難がしにくい。さらに、きちんとした装備も必要となることを考えると、初心者向けとは言いがたい。ただしその分、登山客が少なく静かに山と向き合うことができるルートでもある。

他のルートで実施されているマイカー規制もなく、あらゆる意味で自己管理のできる、ベテランが登るルートと言える。

おおよその所要時間
登り:約7時間30分
下り:約3時間
登山開始標高(5合目): 1,440m

こうしてみると、ルートによって登山の準備も変わることが分かるはず。アイテムの購入・レンタルを考える前に、どのルートが自分に合っているのか考えてみるといいだろう。

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