AMDが2013年4月に発売した新プラットフォーム「AM1」と、デスクトップ向けのエントリーAPU「Athlon」と「Sempron」。プロセッサや対応マザーボードが入手しやすい価格帯ということもあり、堅調に売れているようだ。発売からしばらく経過しているが、ここであらためてパフォーマンスを確認したい。
まずはおさらいから
「Athlon」と「Sempron」はどちらも"Kabini"の開発コード名で知られるAPUをベースとしている。Kabiniは「Jaguar」アーキテクチャによるCPUコアと、「Graphics Core Next」(GCN)ベースのGPUコア、そしてチップセットを統合したSoC(System on Chip)で、2-in-1 PCや薄型ノートPCをターゲットとしたモバイル向けAPUとして、本稿のちょうど1年前である2013年5月に発表されている。
■発表時の記事はこちら
米AMD、Jaguarコア採用のモバイル向けAPU「Kabini」と「Temash」を発表
■「Kabini」のレビュー記事はこちら
【レビュー】"Kabini"こと「AMD A4-5000」を試す - Jaguarコア採用のモバイル向けAPUの実力に迫る
CPUとGPUがともに世代交代し、旧世代製品を大きく上回るパフォーマンスを実現したという。
Kaveri(開発コード名)に採用するCPUコア「Steamroller」とJaguarの比較。AESやSSE4.2、AVXといった命令をサポートする点は共通。また、Jaguarでは4つのコアが2MBのL2キャッシュを共有する。ちなみにSteamroller2コアとJaguar4コアは同等の面積だという |
このKabiniをデスクトップ向けにソケット化し、搭載を可能としたのがAM1プラットフォームである。プロセッサの名称として、長らく姿を消していた「Athlon」と「Sempron」のブランドを再度立ち上げた。ソケットは「Socket FS1b」だが、マザーボードベンダによっては「Socket AM1」と呼んでいるところもある。
「Athlon」と「Sempron」の発売記念イベントでは、AMDは新興国を中心に「ローコスト」かつ「場所を選ばないデスクトップデバイス」を実現するプラットフォームとしてSoCの重要性が高まると見込んでおり、価格が手ごろなKabiniこの市場を狙っていくとの説明があった。
■イベントのレポート記事はこちら
【レポート】日本AMD、秋葉原で新生AthlonとSempronの発売記念イベント - DQ10とのバンドルキャンペーンへの言及も
「Athlon」と「Sempron」のSKUと主な仕様は以下の通り。
■表1 スペック比較 | |||||
製品名 | Athlon 5350 | Athlon 5150 | Sempron 3850 | Sempron 2650 | |
---|---|---|---|---|---|
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 | 2 | |
コアクロック | 2.05GHz | 1.6GHz | 1.3GHz | 1.45GHz | |
Radeonコア | 128基 | 128基 | 128基 | 128基 | |
GPUクロック | 600MHz | 600MHz | 450MHz | 400MHz | |
メモリクロック | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz | 1333MHz | |
キャッシュ | 2MB | 2MB | 2MB | 1MB | |
TDP | 25W | 25W | 25W | 25W |
どのモデルもTDPは25Wで、CPUコアはエントリーのSempron 2650以外は4コアとなっている。統合GPUは前述の通りGCNベースで、2基のCompute Unitを備える。また、名称に関しては、モバイル向けのAシリーズのときはRadeon HD 8000番台だったが、「Athlon」と「Sempron」ではデスクトップ向け製品と合わせる形で、「Radeon R3」に変更となった。
メモリはシングルチャネルで、Sempron 2650はDDR3-1333、そのほかのモデルはDDR3-1600に対応する。このほかインタフェースとして、インタフェースとしてUSB 3.0×2、USB 2.0×8、SATA 6Gbps×2をサポートする。画面出力HDMI、D-sub、DisplayPortに加えてeDP(embedded DisplayPort)も備える。
対応OSはWindows XP / 7 / 8 / 8.1で、いずれも32bitと64bitに対応する。