Apple Store 銀座では5月3日から5日までの期間、「ゴールデンウィーク キッズワークショップ」が開催された。これはアップルが毎年開催している、子どものためイベントだ。記者が取材した4日は、5歳から13歳までの子ども9人が参加。会場となったApple Store 銀座の一室は、終始にぎやかな声に包まれていた。

Apple Store, Ginzaで開催された、ゴールデンウィーク恒例のキッズワークショップ

デジタル・ネイティブの子どもたち

その冒頭、Apple Storeのスタッフが「iPadを使ったことある人!」と呼びかけると、大勢の子どもたちが勢いよく手を挙げた。続けて「いつもどんな使い方しているの?」と聞くと、「カメラで写真を撮っている」「ゲームで遊んでいる」「YouTubeを見ている」など、様々な反応が返ってくる。見れば、小学校に入りたての男の子が軽快にiPadを使いこなしている。普段から能動的にiPadを使っているのだろう。自分が6歳だった頃、何をして遊んでいただろうか。咄嗟に記憶をたどってみたが、近所の空き地で落とし穴を作って喜んでいたことしか思い出せなかった。現代の子どもたちとは大きな差を感じる。

幼い頃からiPadなどのデジタル機器に親しんでいる現代の子どもたち。毎年開催しているだけあり、スタッフは子どもを集中させる手腕にも長けていた

iMovieで、目指せ映画監督!

今年のテーマは、iOS向けのビデオ編集アプリ『iMovie』を使って"映画の予告編"のような家族の紹介ムービーを作ること。子どもたちには、あらかじめ幾つかの短い動画を撮影してくることが義務付けられていた。当日は、それらの素材を使いiMovieで編集することに主眼が置かれた。

はじめに迫力のあるサンプルムービーを再生し、子どもたちの反応を確認するスタッフ。「できそう?難しそう?」と話しかけると、6歳の男の子が「ちょっとだけならできそう」と自信なさ気に答えた。言うまでもなく、動画の編集というのは大変な作業だ。ちょっとだけであれ「できそう」と答えるあたり、やはり現代の子どもは違う。

動画編集アプリiMovieで、"映画の予告編"のような家族の紹介ムービーを作ることが今年のテーマだった

iMovieの予告編テーマには「ロマンス」「おとぎ話」「ホラー」など、いくつものテンプレートが用意されている。作りたい予告編のテイストによって自由に選べる趣向だ。この日のワークショップには「スーパーヒーロー」が使われた。スタッフがムービーのタイトルとキャスト(出演者の名前)の入力方法を紹介すると、子どもたちは部分的に保護者に頼りつつも、時間をかけて文字を入力していった。

スタッフの指示に従い、まずはムービーのタイトルとキャストを文字入力していく子どもたち

次に、いよいよ動画を当てはめていく。iMovieの予告編テーマにはあらかじめ絵コンテが用意されており、これを参考にできる。スタッフは「まずは用意された絵コンテの空白を、動画ですべて埋めていくことを目標にしてください。同じような動画が続くとつまらないので、色々な動画を組み合わせて変化をつけると良い」とアドバイスしていた。

ワークショップは、いよいよ動画を当てはめる工程へ。テーマに用意されている絵コンテが、動画編集の際の参考になる

どの動画をどこに配置するか思案する子どもたち。スタッフは「悩みながら編集するのが醍醐味。それが映画監督の一番面白いところです」と話す。5分間の作業時間はあっという間に過ぎていった。ここで一旦、作業の手を休めて、動画を初めから再生させる方法が紹介される。スタッフは、その狙いについて「全体を通して再生させることで、まだ埋まっていない部分のイメージが浮かびやすくなります」と説明した。

悩みつつ、動画を編集していく子どもたち。付き添いで来場した保護者が、適宜後ろからアドバイスする

"デジタル・ネイティブ"と呼ばれる世代は、やはり適応力が高い。この時点で早くも「面白い」「今度、友だちと一緒に作ろうかな」などと話しており、手応えを感じ始めている様子が見てとれた。予告編では、出演者の紹介が行われる。このシーンに使う写真を、この場で撮影する方法も紹介された。iPadの背面カメラを使い、父母の撮影を行う子どもたち。スタッフからは「(逆光で)顔が暗く写ってしまうときは、画面に映ったお父さんお母さんをタップすると(露光が調節され)明るく撮れます」とアドバイスしていた。この後、インカメラによる自分撮りの方法も紹介された。

予告編の出演者紹介に使う写真を撮るため、iPadの背面カメラを使い、父母の撮影を行う

最後に、iMovieで製作した予告編を汎用の動画ファイルに書き出す方法が紹介された。スタッフが「びっくりするくらい、スムーズに進んだ」と話す通り、予定された時間を余らせて全工程は終了。会場では、立候補による3名の"ちびっ子映画監督"の作品が上映された。スタッフは「みんな素質がある。もっと他の子の作品も見たかった。動画を1つ作れば、次のアイデアが浮かんでくる。撮影の仕方も工夫できるようになる。最終的には、YouTubeに載せられるような動画を作って監督デビューしてほしいと思います」と話し、このキッズワークショップを締めくくった。

5月3日から5日までの期間、ゴールデンウィーク キッズワークショップが開催されたApple Store 銀座の様子