いよいよ本格的な春の行楽シーズン到来! 日に日に暖かくなるこの時期、鉄道を利用しての旅行に出たいと考える人も多いのではないでしょうか?

「青春18きっぷ」は1枚で5回分まで利用可能

そんな鉄道の旅をよりお得に楽しめるきっぷとして、必ず話題にのぼるのが「青春18きっぷ」。全国のJR線の快速・普通列車などに乗り放題で、1枚につき5回分まで利用でき、価格は1万1,500円(おとな・こども同額)。4泊5日の一人旅や5人グループでの日帰り旅行など、さまざまな用途で使えるきっぷです。

鉄道ファンの間でも相変わらずの人気で、快速・普通列車だけで長距離を移動する人もいれば、飛行機や新幹線などで目的地へ移動した後、「青春18きっぷ」でのんびり鈍行列車の旅を楽しむ人も。

先のダイヤ改正で新型車両や個性的な列車がデビューし、春休み期間に「ムーンライトながら」「ムーンライトえちご」をはじめ臨時の夜行快速も運転されるなど、いまは「青春18きっぷ」での鉄道旅行にぴったりな時期。今回は「青春18きっぷ」で行くローカル線の旅を想定し、この春注目される3路線を紹介しましょう。

四万十川流域を「新幹線」が走る!?

まず紹介したいのが、「しまんとグリーンライン」の愛称を持つJR四国の予土線。一部区間で四万十川流域を走るなど、もともと人気の高い路線ですが、今回のダイヤ改正でひときわ個性的な列車がデビューしました。

キハ32形気動車を改造した「鉄道ホビートレイン」(写真は高徳線走行時のもの)

その名も「鉄道ホビートレイン」。JR四国のキハ32形気動車を改造した同列車は、とくに新幹線0系を模した外観が話題となっています。デビュー前に発表されたイメージ画像も衝撃的でしたが、実際の車両も、「おもちゃの新幹線」を思わせるかわいらしい雰囲気。エンジン音を響かせながら走る姿に、思わず笑みがこぼれてしまいます。

予土線では、「鉄道ホビートレイン」の他にも、「海洋堂ホビートレイン」や臨時列車「しまんトロッコ」が運転されており、鉄道ファンならずとも一度は乗ってみたいローカル線です。なお、予土線の列車はおもに宇和島~窪川間を走っていますが、このうち若井~窪川間は土佐くろしお鉄道(第3セクター鉄道)の路線で、「青春18きっぷ」は利用できず別料金となりますのでご注意を。

非電化路線を「電車」が走る!?

栃木県の宝積寺~烏山間を結び、一部列車は宇都宮駅まで運転されるJR烏山線。これまでは国鉄形気動車キハ40形が主役の非電化路線でしたが、ダイヤ改正で新たに「電車」が投入されることになりました。

烏山線の新型車両EV-E301系「ACCUM」

烏山線オリジナルカラーのキハ40形

……といっても、烏山線が電化されたわけではありません。このたびデビューした新型車両EV-E301系「ACCUM」(アキュム)は、営業運転を行う車両としては国内初の「蓄電池駆動電車システム」を採用。大容量の蓄電池を搭載し、電化区間(宇都宮~宝積寺間)では架線からの電力で走るのと同時に充電も行います。非電化区間(宝積寺~烏山間)は蓄電池の電力で走り、烏山駅に設置された専用の設備で充電も行われるそうです。

「ACCUM」を使用する普通列車は計3往復(宇都宮~烏山間2往復、宝積寺~烏山間1往復)。鉄道ファンの間では、列車番号の末尾に電車を示す「M」が付いたことも話題です。烏山線は将来、すべての気動車を新型車両で置き換える予定とのことで、「ACCUM」と国鉄形気動車を両方楽しめるいまが訪れる絶好のチャンスといえるかもしれません。

この春を最後に、列車が走らなくなる…

最後に紹介するのはJR江差線。五稜郭~江差間を結ぶ路線ですが、途中の木古内駅までは電化され、特急「スーパー白鳥」「白鳥」などの優等列車が走行しています。

江差線木古内~江差間は5月で廃止に(写真はイメージ)

一方、木古内~江差間は非電化で、1日6往復の普通列車が走るだけのローカル線と化しています。そして、利用者の減少や鉄道施設の老朽化などを理由に、5月11日の運転をもって廃止される予定。この春が列車に乗れる最後のチャンスとなりそうです。

普通列車は1時間以上かけて木古内~江差間を走行します。車窓の風景は変化に富んでいて、上ノ国町内を流れる天の川も見所のひとつ。湯ノ岱~宮越間には通称「天ノ川駅」(江差線天の川モニュメント、今年の公開日は4月末以降の予定)もあるとか。上ノ国~江差間では日本海沿いを走り、この区間の象徴的な風景となっています。

江差線では、五稜郭~木古内間も北海道新幹線新青森~新函館(仮)間の開通と同時に、JR北海道から経営分離される予定とされています。江差線の現在の姿を記憶に残すべく、全線乗り通してみるのも良さそうです。

ちなみに、青函トンネルを経由する蟹田~木古内間は「青春18きっぷ」の特例区間とされ、区間内での利用に限り、特急・急行列車の普通車自由席に乗車可能です。この特例を利用し、本州側のJR津軽線とセットで、青森~函館間を1日かけて「青春18きっぷ」で楽しむ旅行プランを組んでみるのもいいかもしれません。

快速・普通列車が走行しない蟹田~木古内間では、区間での利用に限り、特急「スーパー白鳥」「白鳥」の普通車自由席に乗車できる

「青春18きっぷ」2014年春季用の発売期間は3月31日まで、利用期間は4月10日まで。全国のJRのおもな駅、JRの旅行センターおよびおもな旅行会社にて発売中です。この春の鉄道旅行に、「青春18きっぷ」の利用を検討してみてはいかがでしょうか?