3月に入ってから、次期Windows OSの「Threshold」に関する話題は沈黙気味だが、「Windows 8.1 Update 1」に関しては、さまざまな噂が駆けめぐっている。

Windows 8.1 Update 1はRTMの提供段階に

まず、Windows OS系のリーク情報に強いロシアの「WZor.Net」が3月4日(ロシア時間)に「Windows 8.1 Spring Update 2014がサインオフ(開発終了)し、RTM(※)に達した」とツイートした。 ※Release To Manufacturing version/製造工程版

WZor.Netのブログによると最終ビルド番号は2014年2月21日にビルディングした「6.3.9600.17031」となる。スペイン・バルセロナで2月下旬に開催されたMobile World Congress 2014において、MicrosoftのJoe Belfiore氏がWindows 8.1 Update 1に関する説明を行ったことを踏まえても信憑性は高い (図01)。

図01 「WZor.Net」に掲載されたWindows 8.1 Update 1 RTMの情報

同じく3月4日(米国時間)にはMicrosoftウォッチャーとして著名なMary Jo Foley氏が、同様の内容をZDNetに寄稿した。記事でFoley氏は「自身の情報源などから、Windows 8.1 Update 1が一般出荷に向かっている」と述べている。その他にも「2月26日にサインオフし、新しいOEM用PCにRTMコードの提供を始めた」「まだマイルストーンに組み込まれていないが、Windows 8.1向けアップデートの年内提供を予定している」という新たな情報も伝えている。

Foley氏は自身と同じく著名なMicrosoftウォッチャー、Paul Thurrott氏のツイートを引用。Thurrott氏はMicrosoftが「Windows 8.1 Update 1をMSDNサブスクライバー向けとして4月2日にリリースし、4月8日からWindows Update経由でリリースする」との2月28日(米国時間)につぶやいている。タイミングが前後するため判断が難しいが、Windows 8.1 Update 1のサインオフ以降のツイートであることと、Build 2014の開催時期から、このタイミングでリリースされる可能性は高いだろう (図02)。

図02 Paul Thurrott氏のツイート。Windows 8.1 Update 1は4月2日からMSDNサブスクライバーに、4月8日からWindows Update経由で配布されると発言した

2014年初頭から多数のリーク情報が流れたWindows 8.1 Update 1だが、Escrow build(リリース直前バージョン)からISO形式ではなく、拡張子「.msu」を持つスタンドアロンパッケージでリークされるようになった。そもそも、Windows 8.1 Update 1における変更は小規模である。そのため同社が、スタンドアロンパッケージをWindows Update経由でリリースするという方法を選択することは十分に考えられる。

さて、Windows 8.1 Update 1の呼称はWindows 8.1 Spring 2014 Updateなど、いまだ定まっていない。だが、正式名称が「Windows Feature Pack」となる可能性が出てきた。海外の某フォーラムにリンクが張られていた、中国のithome.comの記事には、Windows 8.1 Update 1を構成するKB2932046およびKB2937592が「Windows Feature Pack」と呼ばれているとの記述がある。

無料版の「Windows 8.1 with Bing」が登場!?

いずれにせよ、あと半月程度で明らかになるので名称云々は重要な問題ではない。興味深いのはWindows 8.1を構成するバージョンである。あらためて述べるまでもなくWindows 8.1は無印版/Professional/Enterpriseと3つのエディションで構成されているが、ここに無料版と言われる「Windows 8.1 with Bing」が加わる計画があるという。

前述したWZor.Netの記事には、スクリーンショットも掲載されている。さらにライセンス契約画面には、製品名が記述されていた。画像がフェイクでなければ、同製品の存在を裏付けるものとなる (図03)。

図03 「WZor.Net」に掲載されたWindows 8.1 for BINGの情報

さらに、Mary Jo Foley氏は2月27日(米国時間)の寄稿記事で、Windows 8.1 EnterpriseをSA(Software Assurance)ライセンスユーザー以外にも提供する可能性があると伝えている。「Enterpriseエディションの提供範囲を広げ、顧客数の拡大を目指すために変更するとMicrosoft広報担当者は語った」という。

これらの情報はコンシューマー市場とエンタープライズ市場における異なるアプローチのように見える。だが、共通するのはユーザー数の拡大だ。Windows 8.1のユーザー数を増やすのが主題ではなく、Microsoftが提供するクラウドサービスの利用者数増加を目指しているのだろう。

日本国内のリリースタイミングはいまだ不明ながらも、クラウドサービスの拡大はWindows Phoneへの誘導にもつながり、"デバイス&サービス"の一翼を担うクラウドサービスにMicrosoftが注力するのは火を見るより明らかだ。ビジネスモデルが変革する中で、その役割を変えつつあるWindows OSに愁いを感じるのは筆者だけだろうか。

Skypeの元CEOが退職など、そのほかの話題

先週はWindows 8.1 Update 1関連以外にも、Microsoftに関する話題が盛りだくさんだった。

同社はビジネス デベロップメント&エバンジェリズム担当EVP(エグゼクティブ バイスプレジデント)のTony Bates氏と、マーケティング担当EVPのTami Reller氏が退職することを発表した。Bates氏はSkypeの元CEO(最高経営責任者)であり、同社買収後もSkype部門を率いていたが、その役割はアドバンスト ストラテジー&リサーチ担当EVPのEric Rudder氏が担うという。このほか、DirectX 12が3月中に発表される可能性が出ている。

阿久津良和(Cactus)