唐揚げ専門店発祥の地、宇佐市から来た「戸越銀座とりあん」

東京都品川区にある「戸越銀座商店街」は、通称「揚げ物商店街」と呼ばれる。メンチカツや天ぷら、さつま揚げなどを販売する店が軒を連ね、買い食いを楽しむ人の姿がちらほら見られるのがそのゆえんだろう。また、2009年には、地元の学生と商店街が一丸となって「戸越銀座を“コロッケのまち”にしよう」と意気込み、オリジナルコロッケを開発したこともあった。そんな商店街には、唐揚げバトルも勃発しているのだ!

唐揚げブームの発端は大分からの都市進出

唐揚げといえば何と言っても大分県。同県中津市が“唐揚げの聖地”、宇佐市が唐揚げ専門店“発祥の地”と言われている。実は、その中津と宇佐の唐揚げ専門店が至近距離に立地して、凌ぎを削っている地がここ、東京品川区の戸越銀座商店街なのである。

大分の唐揚げは、もも肉、胸肉、手羽先などのいろいろな部位を、注文を受けてから揚げるのが特徴。しっかりと下味のしみたおいしさはもちろん、アツアツをテイクアウトして気軽に味わうというスタイルも受けて、東京などでも支持を得ている。ちなみに、現在の全国区におよぶ唐揚げ人気は、実は大分県の専門店が都市に進出したことにあるのだとか。

その名店がバトルしている戸越銀座商店街は、東京で一番長い商店街として有名。買い物客だけでなく食べ歩きの楽しさを求めるたくさんの人が訪れる人気の町だが、この商店街の東西に、宇佐唐揚げの「戸越銀座とりあん」と「中津唐揚げ 渓」の2店がある。

戸越銀座は東西1.3キロメートルに及ぶ都内最長の商店街

“聖地”の味は大ぶり唐揚げ!

戸越銀座の最寄り駅は、東急池上線の「戸越銀座駅」と都営地下鉄浅草線の「戸越駅」。池上線の線路をはさんで商店街西側「商栄会」ゾーンに、「中津唐揚げ 渓」がある。ちなみに、中津市には60店を超える唐揚げ店があるそうで、“唐揚げの聖地”と言われている。

唐揚げの聖地、中津の唐揚げなら「中津唐揚げ 渓」

小さな店だが、店前に掲げられた派手な宣伝ボードが印象的。人気タレントがこの店の唐揚げを頬張る写真がずらりと並んでいる。「第4回からあげグランプリ東日本しょうゆダレ部門金賞受賞!!」とのことで、目の前で唐揚げをあげてくれた店員さんは、「遠くからわざわざ食べに来てくれるお客さんもいます」と誇らしげだった。

テレビ番組で人気タレントも絶賛!?

骨なしもも肉、手羽先、砂肝串、タルタル唐揚げとメニューは多彩だが、一番人気だというもも肉を注文する。100g250円の量り売りで、少量でも買えるのがうれしい。「3個くらい」と注文すると、5分後に大ぶり3個ができあがり。317円だった。

店内と店前に小さいベンチがあるが、この店はテイクアウトが基本、歩きながらアツアツを頬張る。ニンニク醤油の下味がばっちりと効いていておいしい! 3個食べると満腹感でいっぱいになった。

100g250円の量り売り。こちら3個で317円

宇佐唐揚げを立ち飲みしながら

新垣由衣、三浦春馬主演の『恋空』という映画があった。この映画のラスト近くで「今晩は唐揚げね」というセリフが語られ、大皿に盛られた唐揚げが登場するシーンがある。映画の撮影地は宇佐市、昭和39年(1964)に日本初の唐揚げ専門店がオープンした“発祥の地”ならではのシーンといえる。

その宇佐市の唐揚げ専門店の東京店が「戸越銀座とりあん」。訪れたのは土曜の昼前だったが、列ができるほどの人気ぶり。若い男女の姿が目立ち、もも、むね、すなずり、なんこつ、ぶつぎり、手羽先などのメニューを楽しそうに品定めしていた。こちらは「渓」と逆に、池上線、第二京浜(国道1号線)を越えた商店街の東側にある。

「とりあん」は“大分唐揚げ専門店&立呑処”と銘打っており、テイクアウトだけでなく店内で唐揚げを食べたり、お酒を飲んだりすることができる。夜ともなれば唐揚げをつまみにちょいと一杯を楽しむ客も多い。大分らしく「かぼす」系のサワーや飲料も充実していて、本場気分も満喫できるのもうれしい。

店内のテーブル席の屋台感覚がグッド

こちらでも一番人気という「もも」を注文してみた。100g260円の最小単位を注文して待つこと5分。「渓」の唐揚げに比べるとやや小ぶりで100gで6個もあった。味はやはりニンニクの香りが香ばしくてジューシー。半分を残して冷たくなってから食べてみたが、それでも十分おいしかった。

いかにも大分の「かぼす」系ドリンク

これで260円!!

中津、宇佐―――本場大分の“聖地”と“発祥の地”のジューシー唐揚げを戸越銀座で食べ比べてみたらいかがだろう。