日本マイクロソフトは、Windows 7のプレインストールPC向けの販売を、2014年10月30日で終了する。これは同社の「Windowsライフサイクルのファクト シート」から確認できるが、米Microsoftはこの販売終了日を「To be determined (未定)」に変更した。Mary Jo Foley氏の記事によると、同社広報は「(2014年10月30日は)誤った情報である」と説明したという。

ユーザーをWindows 8.1へ移行させていきたいものの、穿った見方をすれば、Windows XPからの乗り換えOSとして比較的好評なWindows 7の延命を画策しているように見える。そこで次の本命OSとなる"Threshold"(スレッショルド:開発コード名)に関する情報を先週に引き続きレポートする。

3つのSKUに分類される"Threshold"

本誌でも既報のとおり、次期Windows OSには、3つのSKUが用意される予定だという。そもそもSKUとは「Stock Keeping Unit」の略で洋服ならばS/M/L/XL、ビールなら小瓶/中瓶/大瓶といった、在庫管理のユニットを示す単位である。我々には長く親しんできた"エディション"という呼称がわかりやすいだろう。

いずれにせよ、次期Windows OSとなる「Threshold」は、「modern consumer」「traditional consumer」「Enterprise」と3つのSKUが用意される予定だと、Microsoftウォッチャーとして有名なMary Jo Foley氏が、米ZDNetの記事「Microsoft's Windows future: One core, many SKUs」で述べている。

各SKUに関する推測は後述し、過去のWindows OSのエディション構成を確認したい。Windows OSが複数のエディションを用意したのはWindows 2.1からである。用意されたのは、CPUが80286向けの「Windows/286」と、同じく80386向けの「Windows/386」。技術の進歩により、次のWindows OSであるWindows 3.0では、このような構成はなくなっている(図01)。

図01 CPUの構成によって複数のエディションを用意したWindows 2.1

Windows NTシリーズやWindows 2000も複数のエディションが用意されたが、主にサーバー向けの構成が異なり、クライアント向けOSは1種類なのでここでは割愛。Windows XPでは「Home Edition」と「Professional」、文字どおり家庭向けとビジネスシーン向けの2種類を用意した。前者は認識するCPUの数やネットワーク周り、グループポリシーエディターなど数多くの制限が設けられた(図02、図03)。

図02 家庭で利用することを前提にしたWindows XP Home Edition

図03 ドメイン参加やネットワーク機能などを充実させたWindows XP Professional

Windows XPにはこの他にも、マルチメディア機能に特化した「Media Center Edition」、タブレットで利用するために機能を追加した「Tablet PC Edition」、64ビット版となるItanium向けの「64-bit Itanium Edition」、64ビット拡張をサポートする「Professional x64 Edition」などもある。さらに日本以外では開発途上国向けの「Starter Edition」、欧州委員会の競争法違反に対応した「Edition N」、同じく韓国公正取引委員会の指摘に対応した「Edition K/KN」なども用意された。

2006年11月にリリースされたWindows Vistaとなると、そのエディション構成は「Starter」「Home Basic」「Home Premium」「Business」「Enterprise」「Ultimate」と、6種類に増加した。新興市場向けから全ての機能を備える"全部入り"まで、機能的な差を各エディションに設けたが、ユーザーの混乱を招く一因になったのは否めない。また、このエディション構成は続くWindows 7にも引き継がれる(図04)。

図04 エディション構成が6種類(日本国内は5種類)に増えたWindows Vista

エディション構成がシンプルになったのはWindows 8からだ。俗に"無印"と呼ばれる「Windows 8」、ビジネスユーザーおよび中上級者向けの「Pro」、企業向けの「Enterprise」、そしてARMアーキテクチャ向けの「Windows RT」。事実上のアップデート版であるWindows 8.1も同じ構成である。ざっと駆け足でカウントしてきたWindows OSのエディション数を視覚化したのが下図だ(図05)。

図05 Windows OSのエディション数

こうしてみると減るべくして減った感のある"Threshold"のSKUだが、過去の例とFoley氏の説明を踏まえると「modern consumer」は現在のWindows RT相当、「traditional consumer」は現在の"無印"およびPro相当、そして「Enterprise」は文字どおりEnterpriseエディションに相当する。興味深いのは記事のアップデートとして追記された部分だ。