パイオニアが2013年9月に発売したワイヤレスBDドライブ「BDR-WFS05J」は、切り株状のワイヤレスドックにスロットイン式の光学ドライブが載った、「世界初」をうたうワイヤレス対応のBD/DVD/CDライターだ。PCからIEEE802.11n無線LAN経由で、BDなどのメディアを再生したり書き込んだりできる無線BDドライブとなる。

そして、今から約2週間前の2013年11月20日、セット品であるワイヤレスドックが「APS-WF01J」として単体発表された。「APS-WF01J」はBDドライブだけでなく、つないだUSB機器をもワイヤレス化できる面白い製品である。合わせて、専用のMac対応ドライバも提供が開始された。

世界初の無線BDドライブ、そしてUSBデバイスを無線化するワイヤレスドックは同じチームでの開発となる。これら製品の開発コンセプトを探るべく、神奈川県・新川崎にあるパイオニア本社を訪ね、企画/開発担当チームを直撃した。

「BDR-WFS05J」。BDドライブは既存の製品(BDR-XS05J)で、仮想USB機能は下部のワイヤレスドック側の機能

側面から見た「BDR-WFS05J」。メディアはスロットイン式

光学ドライブを排したPCで徹底したワイヤレス

本題に入る前に、まずは無線BDドライブ「BDR-WFS05J」、そしてワイヤレスドック「APS-WF01J」について改めて理解しておきたい。

UltrabookやMacBook Airなど、光学ドライブを排したPCが増加中だが、音楽CDや映画のDVD/BDを再生したいというニーズは今も高い。音楽/映像ともに今後ネット配信のシェアが高まることは確実だが、手持ちの音楽CDを取り込みたい、映画は高画質のBDで楽しみたいという層は当面存在し続けるだろう。手っ取り早い対策は光学ドライブをUSB接続することだが、それではUltrabookやMacBook Airの「徹底したワイヤレス化」が崩れてしまう。

9月に発表したWi-Fi接続BDドライブ「BDR-WFS05J」

Wi-Fi接続のワイヤレスドック「APS-WF01J」

そんな中、9月に同社から発売された無線BDドライブ「BDR-WFS05J」は、ワイヤレス接続ながら同社調べで約70Mbpsという高い実効速度を実現、映画などのBDソフトをワイヤレスで再生できる製品として話題を集めた。特別な再生ソフトがなくてもUSB接続したBDドライブと同じ感覚で利用でき、ビットレートの高いBDソフトを滑らかにワイヤレス再生できるというその機能は、まさに「ありそうでなかった」ものだった。

「BDR-WFS05J」のワイヤレスドック部にはUSB 2.0ポートが1基装備されており、ここに接続されたUSB機器の信号は無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n、2.4GHz/5GHz対応)を通じてPCに転送される。そしてPC側の専用接続アプリがUSB機器を仮想デバイス化し、あたかもパソコンのUSBポートに直接つないだかのようなアクセスを可能にする、という仕組みだ。

だから、ワイヤレスドックに接続するのは付属のBDドライブ「BDR-XS05J」でなくてもかまわない。USBメモリやUSBハードディスク、メモリカードリーダ、USBスピーカーなど、多種多様な市販のUSBデバイスを接続するだけで、あっけなくワイヤレス化できてしまう。安定した動作は保証されないが、USBハブを使えば複数のUSB機器を同時動作させることも可能だ。

これを実現したのが、11月20日に発表したワイヤレスドック単体の「APS-WF01J」となる。

11月20日にはワイヤレスドックの単体販売(APS-WF01J)も発表した。発売は11月下旬予定

そして同じ20日にMac向け専用接続アプリの提供も開始した。BDソフト再生は公式サポートされない(そもそもMacはBlu-rayをサポートしない)ものの、光学DVDドライブを無線接続するなどの仮想USB機能はWindows同様に利用できるようになった。大量の音楽CDを抱えるMacBook Air/Proユーザにとっても待望の製品といえるだろう。

BDドライブは横置きしてもかまわない。このように、ワイヤレスドックの上に載せるスタイルも公認だ

電力(5V)はACアダプタから供給。中央にUSB 2.0ポート、その上にステーションモードとアクセスポイントモードを切り替えるスイッチが見える