11月17日、東京都・秋葉原のベルサール秋葉原にて、マウスコンピューターとユニットコムが主催する「ゲームパソコン&PC-DIY EXPO」が開催された。昨年までは単に「AKIBA PC-DIY EXPO」として自作PC関連の展示が多かったイベントだが、今年はイベントの名称に「ゲームパソコン」と入っているだけに、ゲーミング関連のアイテムが所せましと数多く展示されていた。
NVIDIAが「G-SYNC」のデモを国内初お披露目
会場の中でもひときわ大きなブースで注目を集めていたのはNVIDIAだ。大型の4Kディスプレイを使った「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のデモに加えて、2013年10月に発表したディスプレイ表示技術「G-SYNC」を日本国内で初めて紹介するとあって、多くのユーザーが集まった。
「G-SYNC」は、NVIDIA製GPU搭載のグラフィックスカードと、対応モジュールを搭載した液晶ディスプレイを組み合わせて使うことで、ゲームプレイ時におきるラグやティアリングと呼ばれる画面表示の崩れを軽減し、なめらかに表示させるという技術。
ラグやティアリングはGPUが画面をレンダリングするタイミングと、ディスプレイが画面を走査するタイミングが合わないため起きる現象で、これはGPU側とディスプレイ側の制御がばらばらであることが原因となっている。G-SYNCでは発想を変えて、GPU側がディスプレイの走査するタイミングを制御するという考え方で開発された技術だ。
通常のディスプレイで搭載していた走査制御、そしてタイミング用のクロック制御を行っている部分を、G-SYNC対応ディスプレイではNVIDIA製のモジュールに置き換え、GPU側との連携を可能とする。GPUがレンダリングを終わったタイミングで画面の走査を行うことで、ゲーム中にフレームレートが変動する場合でも最適なタイミングで走査し、ラグやティアリングの発生を防ぐという。
G-SYNCのオンオフによる比較も行われた。特に40fps辺りの低いFPSで差が顕著で、G-SYNCをオフにした場合はアクションゲームのプレイはストレスを感じそうなのが、G-SYNCオンの状態ではかなりなめらかに動作していた |
緑色の縦線を左右に動かすデモ。G-SYNCオフの場合ははっきりとティアリングが発生している |
会場で説明を行ったNVIDIA テクニカルマーケティングエンジニアの矢戸知得氏によれば、G-SYNCが利用可能なのはKepler世代のGPUで、「GeForce GTX 650 Ti Boost」以上であれば利用可能という。製品的なハードルは低めだが、画面出力は現在のところDisplayPortのみの対応ということだった。画面解像度もパネルが4Kに対応していれば4KでG-SYNCを利用できるはずとのことだった。
現行のドライバにはすでにG-SYNCの機能が入っており、「あとはG-SYNC対応ディスプレイと接続するだけ」(矢戸氏)という状況になっている。
では、その対応ディスプレイはいつ頃発売かというとASUSやBenQ、Philips、ViewSonicから2014年第1四半期の投入が予定されている。このほかにもNVIDIA広報担当者からは「日本国内の企業からも高い関心を持っていただいている」とのことで日本国内でも早い時期に対応製品が登場することを期待したい。
240Hz駆動に多画面とディスプレイの展示も盛りだくさん
ディスプレイ関連としては、EIZOがリフレッシュレート240Hz駆動に対応したゲーミングモニタ「FORIS FG2421」をデモ。新機能「Turbo 240」によって、入力信号のフレーム数をFORIS FG2421内部で2倍に増やし、バックライトの明滅と組み合わせているという。
ゲーム用に設計された独自の回路で、240Hz駆動時でも1.5フレーム未満という少ない遅延を実現したとしている。マイナビニュース編集部でも、「FORIS FG2421」のレビューをお届けする予定なので、期待してお待ちいただきたい。
このほか、ELSAがGeForce GTX 780 Tiを3way-SLI構成で搭載したPCによるマルチディスプレイ環境を展示。シャープの4Kディスプレイ「PN-K321」3台を使った驚きの6,480×3,840ドットでの画面表示を体験できた。また、マウスコンピューターはNVIDIA NVS 510とIntel HD Graphicsによる6画面環境を紹介していた。
本格的ゲームコントローラに、未来を感じるHMD
次は特徴的なゲーミングデバイスをピックアップしたい。まずはOculus VRが開発するヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Rift」を使ったデモ。「Rift」については、すでにマイナビニュースでも何回か紹介しているのだが、今回もなかなかの人気ぶり。
中でも手の形をした装置と組み合わせてHMD内のVR空間にいるキャラと握手ができる展示が印象的だった。これまでのイベントでは"初音ミク"をキャラクターとして使っていたが、「ゲームパソコン&PC-DIY EXPO」ではすーぱーそに子と握手ができるようになっていた。
握手をして腕を振ると、ちゃんと中のキャラクターもそれに合わせて動くし、手を強く引っ張るといやがるしぐさもみせる。かなり没入感が高く、「しばらくこのまま握手してようかしら」などと不思議な気持ちになってしまった。
会場では本格的なゲーミングコントローラの体験コーナーも用意されていた。Saitekのフライトシミュレーター用のコントローラとthrustmasterのレースゲーム用コントローラを使ってそれぞれゲームプレイが可能だ。
ゲーマーといえどもここまでのコントローラを購入している層はあまりいないはず。加えて、国内でもフルセットそろった環境が体験できる場はそれほどないとあって、どちらにも行列ができていた。
このほか気になったブースを写真でピックアップ
AMDはRadeon R9 290XのCrossfire構成によるBF4の4Kデモを紹介。12月にMantle対応版のBF4をリリースする予定だが、パフォーマンスがどのくらい変わるのか。非常に気になるところだ |