既報の通り、米AMDは5日(現地時間)、同社製GPU「Radeon R9」シリーズの最新モデルとして「Radeon R9 290」を正式発表した。最上位モデル「Radeon R9 290X」の発表からから遅れること約2週間、そもそも「Radeon R9/R7」シリーズのラインナップが発表されてから1カ月立って、ようやくすべての製品が出そろった。

マイナビニュース編集部では性能評価のための評価機も入手できたので、早速ベンチマークの結果を紹介したい。

「Radeon R9/R7」シリーズそのものについては、すでに大原雄介氏によるGPU 14レポートやRadeon R9 290Xレビューをはじめとした解説記事を掲載しているので、詳細は下記記事を参照してほしい。

■「GPU14」のレビュー記事はこちら
【レポート】AMD GPU14レポート - AMDが語る2014年のGPU戦略、「Project MANTLE」の概要を初公開
■先行して公開された「Radeon R9 280X」など5製品の解説記事はこちら
【レポート】AMD、Radeon R9 280XなどRadeon R9/Radeon R7シリーズ5製品の仕様を公開 - 各製品の詳細を解説」
■「Radeon R9 280X」などのベンチマーク結果はこちら
【レビュー】米AMD、Radeon R9/R7シリーズの第1弾として5製品のスペックを発表【ベンチマークを追加】
■「Radeon R9 290X」のベンチマーク結果はこちら
【特集】「AMD Radeon R9 290X」徹底検証!! 新世代ハイエンドRadeonの実力を探る

Radeon R9 290はRadeon R9 290Xと同様に、GCN(Graphics Core Next)アーキテクチャをベースに開発された最新のGPUコアを用いた製品だ。ただし、下記のスペック表を見ると分かるが、Radeon R9 290Xと比べて、動作周波数が最大1GHzから947Mhzへ引き下げられたほか、ストリームプロセッサの数が2,816基から2,560基と256基減少している。

既存モデルとのスペック比較

ちなみに「Radeon R9/R7」シリーズの記者説明会の際に、AMD本社より来日したプロダクトマネージャー Simon Ng氏とPRマネージャー Robert Hallock氏に対して、型番に"X"が付く製品と付かない製品の差を聞いてみたところ、「同じコアを使った製品でパフォーマンスが高い方に"X"を付ける」というシンプルな答えが返ってきた。

今後Radeon R9 280あるいはRadeon R9 270といった製品が出てきた場合、Radeon R9 290XとRadeon R9 290のように、ストリームプロセッサの数や動作周波数を変えてくるのか、Radeon HD 7970 GHz Editionのように周波数だけを変えるのか、それともメモリ周りに手を入れるのかは不明だが、X型番が付いた製品をベースにスペックが調整されるのだろう。

外観を見てみるとRadeon R9 290の見かけは、Radeon R9 290Xとほぼ変わらない。ボードの側面には静音性を重視した「Quiet Mode」とパフォーマンスを重視した「Uber Mode」の切り替えスイッチが設けられている。

Radeon R9 290

背面の様子

インタフェースはDVI×2、HDMI×1、DisplayPort×1

電源は8ピン×1、6ピン×1

本体サイドにモードの切り替えスイッチを備える

GPU-Zでの表示は以下のようになった。

GPU-Zでの表示。AMDはR9 290シリーズの開発コード名を明らかにしていないが、Hawaiiコアだと思われる

さて、それでは早速ベンチマーク結果をお届けしたいのだが、その前に今回のテスト環境を紹介したい。Radeon R9 280X含む5製品のレビューを行った際は、「GeForce GTX 760」のレビュー環境をそのまま使ったのだが、今回はHaswell+Z87プラットフォームに環境を新たにしている。また、Radeon R9 290のモードはRadeon R9 290Xのレビューと同様にQuiet Modeでの検証となっている。

■今回のテスト環境
GPU R9 290X R9 290 R9 280X HD 7970 GTX 780 GTX 770
グラフィックスカード リファレンス MSI R9 280X GAMING 3G ASUS HD7970-3GD5 INNO3D N780-1DDN-L5H5 ZOTAC ZTGTX770-2GD5R01
GPUドライバ Catalyst 13.11 BetaV8 GeForce Driver 331.65W HQL
CPU Intel Core i7-4770K
M/B GIGABYTE GA-Z87X-D3H(Intel Z87 Express)
RAM Kingston KHX14400D3K2 4GB×2枚
Storage Samsung SSD 840 250GB
Power ANTEC TruePower Quattro 1000W 80 PLUS
OS Windows 8 Pro 64bit(Build 9200)

GPUドライバのバージョンが、Radeon R9 290Xのレビュー時のCatalyst 13.11 βV5から13.11 βV8にバージョンアップしている。AMDではRadeon R9 290XがGTX 780、Radeon R9 280XがGTX 760をターゲットとしており、その間に入るRadeon R9 290はGTX 770をターゲットにすると目されていたが、新しいドライバにより上位のGTX 780をターゲットにできるほど、パフォーマンスが向上したという。

ターゲットはGTX 780

特に4Kといった高解像度でのパフォーマンスにアドバンテージがあるとしている

Battlefield 4以外のゲームでの比較

Radeon R9 290のパフォーマンスはもちろんだが、Radeon R9 290Xも新ドライバにより、どの程度性能が向上しているのかという点も気になるところだ。

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