機内で食事をしようと思っておなかをすかせていたのに!

子連れトラベルライター岩佐史絵です。今回は、娘を連れてフランスに出掛けたときのこと。当時娘は4歳。機内のキッズプログラムも楽しめるようになり、この頃になると旅行はかなりラクになっていた。とはいえ、約12時間半のロングフライト。娘のお気に入りの絵本やぬり絵、お絵かき帳なども持って機内へと乗り込んだ。

すっかり聞き分けもよくなり、自分から進んでシートベルトを着用する娘。大きくなったなぁと感慨深い。何事もなく離陸し、安定飛行に入ってしばらくすると機内食タイム。先に娘の分が運ばれるも、かなり熱々。冷めるまで少々待ち、やっと食べられるかなと思ったあたりで私の分も運ばれてきた。ハンバーグを小さく切ったり、パンの袋を開けたりと娘の世話を先に済ませ、無事食べ終わるのを見届けてから自分の食事を始める。蓋を開け、カトラリーの入った袋を開けたところで娘が、「ママ~、おトイレ行きたい」と言い出した。

あとで機内食を……のハズが!!

ほこりが入らないよう開けた蓋をもとに戻し、娘を連れてトイレへ。先客がいたため少々待ったものの、その後自分たちの席に戻ってみると……ない! あるはずの場所に、ないっ!! 機内食がすっかり回収されており、娘の分ばかりか、まだ食べていない私のトレーも下げられてしまったのだった。しまったぁぁぁぁぁ!!!

乱気流などが予想されている場合、機内サービスをかなりの"巻き"で行うことは確かにある。今回もそういう事情だったのかはわからないが、とにかく席を立ってすぐのタイミングでサササ~ッと片づけが始まったようだ。

普段なら、食後にサッサと片づけてもらえるのはうれしいところだが、今回ばかりは……。「食事は機内で」と思っていたのでおなかは空いているし、お菓子も運悪く持っていない。あと3~4時間もすれば何かしらのスナックが配られるだろうけれど、それまでとても待てそうにない。仕方がないので、通りかかったCAさんをつかまえて事情を説明してみた。航空会社としては重量を少しでも軽くしたいので、機内食は通常人数分しか載せていない。余分なものはないはずなので、せめてピーナッツなどのおつまみでもいいからいくつかいただけまいか、とお願いした。

「少々お待ちを」と言って立ち去った彼女。しばらくして機内食トレーを持って戻ってきた。なんと「クルー用の食事から1品ずつ寄せ集めました」と、ビジネスクラス用の陶器の器に料理を盛って持ってきてくれたのだ。サラダ、メイン、付け合せ、パンやバター、デザートまで、実際のメニューとはちょっと組み合わせが違うそうだが、ちゃんと一通りそろっている。まさかそこまでしていただけるとは思っておらず、大感激。ありがたく空腹を満たすことができたのであった。

絵本だのお絵かき帳だのといろいろ準備をして「これだけあれば大丈夫! 」と思っていたが、まさかの食糧難に陥ったこの日以降、娘の機内食についているお菓子など、そのとき全部食べるわけではないものをすぐにカバンにしまっておくようになった。万が一、食べ損ねてしまったときの非常食となるように。まぁ、こんなことはめったにないだろうけれど。