Windows 8.1プレビューからのアップデートは可能か

現在Windows 8.1プレビューを利用しているユーザーが、もっとも気になるのは、Windows 8.1へそのままアップグレードインストールできるか、という点ではないだろうか。「Windows 8.1 Previewに関するFAQ」を読むと「プレビュー版のアンインストールはサポートされていません。ただし、システム全体を出荷時の状態に戻すことができる場合があります」と記載されているように、"すべてを削除してWindowsを再インストール"で初期化した後に、Windows 8.1へアップグレードするよう求められている。実際にどのような状態になるのか、Windows 8.1プレビューからWindows 8.1へアップグレードインストールすることにしてみた。

Windows 7からWindows 8へアップグレードインストールした際は、"引き継ぐ項目"として、「Windowsの設定、個人用ファイル、アプリを引き継ぐ」「個人用ファイルのみを引き継ぐ」「何も引き継がない」の3項目からアクションを選択可能だった。しかし、今回のアップグレードインストールで提示されたのは後者2つのみ。以前Microsoftが説明したように、ユーザーアカウントおよびユーザーファイル(ドキュメントフォルダーなどに格納したファイル群)のみ残されていた(図05)。

図05 Windows 8.1プレビューからWindows 8.1へのアップグレードインストール中。<Windowsの設定、個人用ファイル、アプリを引き継ぐ>は用意されていない

仮想マシン上で実験した限りでは解像度は1,024×768ピクセルに戻され、事前にインストールしたWindowsストアアプリやデスクトップアプリは一切削除されていた。気になったのがアプリビューに並ぶ未インストールのWindowsストアアプリ群である。某書籍を執筆するため、多数のWindowsストアアプリをインストールしていたが、それがすべてインストール候補として並んでいるのだ。これは、Microsoftアカウントの同期情報を元に環境を復元するため、自動的に動作する仕組みのようだ。少なくともWindows 8では確認できなかった現象のため、Windows 8.1から加わった機能の1つなのだろう。

もっともインストールは遅々として進まないため、アプリビューから対象となるWindowsストアアプリを選択し、アプリバーの<アンインストール>ボタンをクリック。確認をうながすメッセージにある<同期しているすべてのPCからアンインストールする>を選択することで、同じMicrosoftアカウントを利用しても再びこのような症状は起きなくなるはずだ(図06)。

図06 多数のWindowsストアアプリがインストール準備中として並んでいる。これはMicrosoftアカウントの同期設定によるものだ

なお、Windows 8.1プレビューから登場した新Windowsストアアプリだが、当時気にかけた懸念は一掃され、ほぼすべて日本語化されていた。例えば「フード&レシピ」は、料理レシピの提供元をBingからAllrecipesに変更し、材料や調理方法、写真を入れ替えている。「ヘルスケア&フィットネス」はBingの情報をそのまま利用しているが、代表的な部分を日本語化したものの、エクササイズ時の筋肉などは英語のままだった。また、Windows 8.1の使い方を図解説明する「ヘルプ+使い方」はすべて日本語化されている。ユーザーの使用スタイルがマウス操作/タッチ操作どちらを選択しているかによって、コンテンツを切り替えられるのは便利だ(図07~09)。

図07 情報提供元を変更して日本語化した「フード&レシピ」。英語版にあったシェフ情報などはカットされている

図08 「ヘルスケア&フィットネス」は単純に日本語化を行ったらしく、未翻訳の部分が残っていた

図09 新たに加わった「ヘルプ+使い方」も日本語化されている

Windows 8.1を数日間触れた感想だが、予想どおり"Windows 8の使い勝手をよくした、ほぼ同じOS"というものだった。Windows 8.1でサポートされる新デバイスを用意できれば違った感想を持てたのかもしれないが、特に大きなトラブルは発生せず、Windows 8と同じ環境のまま使い続けることができたからだろう。1つだけ気になるのがデスクトップの右下に「SecureBootが正しく構成されていません」というメッセージが出る点だ。そのコンピューターはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)を有効にしてWindows 8をインストールしたが、確かにSecureBoot(セキュアブート)は無効のままである(図10)。

図10 UEFI環境でSecureBootを無効にすると、デスクトップの右下に警告メッセージが現れる

しかし、現在使用中のビデオカードはGOP(Graphics Output Protocol)に対応していないらしく、SecureBootを有効にするとGOP未対応である旨を示すエラーメッセージが出て、Windows 8.1を起動できなくなるのだ。どこかのFAQによると、一度ビデオカードを抜いてからSecureBootを有効にし、内蔵GPUでWindows 8.1を起動。その後ビデオカードを再接続すれば同エラーを回避できるという話もあるので、時間があるときにでも検証し、何らかの形でご報告したい。

阿久津良和(Cactus