富士通が発売したUltrabook「LIFEBOOK UH90/L」は、「刀」をコンセプトに開発された製品だ。

3,200×1,800ドットの高精細14型ワイド液晶IGZOバネルを搭載。さらにタッチパネルを備えながら、薄さは最大15.5mm、最薄部で9.2mmと、従来のタッチパネル非搭載の14型Ultrabbok「LIFEBOOK UH75/H」よりもさらに薄くなっている。HDDを搭載した14型Ultrabookとしては世界最薄だ。

果たして、富士通が目指した「刀」というコンセプトはなんなのか。そして、LIFEBOOK UH90/Lはどんなこだわりを持った製品なのか。

LIFEBOOK UH90/L


武士の「刀」が、ビジネスマンの「PC」

LIFEBOOK UH90/Lが、「刀」というコンセプトによって開発されたと聞いたときには、正直驚いた。

ひとつは富士通が、PCを擬態化するようなコンセプトを打ち出して開発することは珍しかったこと、そしてコンセプトの対象が、先端技術の塊であるPCとは乖離した、日本の伝統文化とされる「刀」をモチーフとしたからだ。

富士通ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部第一プロダクト部 江尻道彦部長は、「刀というコンセプトが決定したのは、昨年秋のこと。LIFEBOOK UH90/Lも、刀も、日本で生まれたMADE IN JAPANの製品であること、そして、使いやすく、シンプルなデザインを特徴とした製品を目指したことが共通項だ」と切り出す。

開発に携わったメンバーも、刀のコンセプトを補足するように、次のように語る。

デザインを担当した、富士通デザイン サービス&プロダクトデザイン事業部システムプロダクトデザイン部デザイナーの岡本浩平氏は、「UH90/Lでは、美しさ、堅牢性、薄さの3点を追求した。これらの要素を端的に体現しているのが刀であった。また、武士のステータスシンボルであり、武士にとっては命の次に大切なものが刀。現代のビジネスマンに不可欠なツールがPCであり、UH90/Lが、そうした役割を担う点でも、武士の刀に通じるものがあると考えた」とする。

富士通ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部第一プロダクト部 江尻道彦部長

富士通デザイン サービス&プロダクトデザイン事業部システムプロダクトデザイン部デザイナーの岡本浩平氏。「UH90/L はITに慣れ親しむユーザーとも親和性が高い」と語る

また、富士通 ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部第一プロダクト部の安藤賢一氏は、「UH90/Lが目指すキーワードを積み上げていくと、刀とシンクロする部分を多く感じた。ユーザーが身につけて、いつでも利用することができる製品に仕上げた」と付け加える。

開発チームが、「刀」という言葉に共通の認識を持って取り組んだのが、この製品ということになる。

富士通 ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部第一プロダクト部の安藤賢一氏

次のページ:「密度のある塊」を演出