「おっぱい展」の中心的役割を担った武藤良子さんの「自画像」

8月1日から13日まで、池袋にある「ブックギャラリーポポタム」にて、その名もズバリ「おっぱい展」が開催されている。約20人のジャンルの異なる作家が、それぞれおっぱいにまつわる作品を制作。ギャラリーには所狭しと、「アート」としてのさまざまな形のおっぱいが並んでいる。11日(日)には「おっぱい祭り」も開催されるという、ユニークな展示会を訪ねてみた。

目白の閑静な住宅街にひっそりとたたずむギャラリー

「おっぱい展」を開催している「ブックギャラリーポポタム」(以下、ポポタム)は、目白駅から徒歩7~8分の閑静な住宅街の中にある。お店の半分は、本と雑貨のセレクトショップで、もう半分はギャラリー用のスペースとなっており、2週間に一度のペースで、異なる展示会を開催しているという。

外観も、シンプルでかわいらしい

きっかけは「おっぺかぶし」

普段は絵本の原画展などを開いているというポポタム。では一体なぜ、突如として「おっぱい展」を開くことになったのか。店長の大林えり子さんは笑いながら話す。

「ある展示会の打ち上げで、作家さんたちと飲み会をしていた際に方言の話になりました。そこで、ブラジャーのことを「おっぺかぶし」ということが話題になったのですが、そこから発展していって『おっぱいの展示会をやりたいね』という感じになったのがきっかけです」

大林さんは単なる酒の席の話だと思っていたが、作家たちはそうは思っていなかった。その場に居合わせた山川あかねさんは言う。

「『おっぱい』というワードだけで、あれもこれもできる、と盛り上がっていきまして…。後日、作家さん同士で顔を合わせるたびに『おっぱい展』が話題になりました(笑)」

おっぱいクッションを抱く店長の大林さん(左)と山川さん

一丸となった作家の熱意にほだされた

作家たちの「おっぱいフィーバー」は冷めることなく、画家の武藤良子さんが中心となって、大林さんを説得。海外では乳房をモチーフにした作品が評価されていることや、ちょうど8月1日から計画していた展示会が、直前で頓挫したことも重なった。

「8月1日は、語呂で“パイの日”でもありますしね(笑) 作家さんたちの意思をくみとって、サポートしようということで決意しました」と大林さん。かくして、世にも珍しい「おっぱい展」が決まったというわけだ。

写真、版画、折り紙、編み物、ぬいぐるみ……さまざまな形のおっぱい

テーマは「おっぱい」だが、実に多種多様な作品が集まった。

早川純子さんは、版画でおっぱいを表現。「2つ山観光」(シート:1万2,600円)は木口(こぐち)木版と呼ばれ、作品には年輪の風合いが色濃く反映されている。また、「プリンパイ」(250円~)という小さな紙の作品も制作。こちらはしおりやお札として使えるという。

早川さんの木口版画(左)とプリンパイ

ookamigoccoさんは、「おっぱい」をテーマに動物のぬいぐるみやマフラー、クッションを制作した。「うさぎおっぱいマフラー」(1万8,100円)は、うさぎの親子の授乳姿を表している。おなかに付いている子供うさぎをイメージした「うさぎバッヂ」(2,000円~)は取り外しができ、バッヂのみの購入も可能だ。おっぱい型のクッションもかわいらしい。

ookamigoccoさん作のマフラー(左)とクッション

おっぱい型の多様な布人形を展示する山川あかねさんは、「私はおばあちゃんが好きなので、おばあちゃんのおっぱいを意識した作品を作っています。ババア推しです」と笑う。イチ押しの作品「三連ババア」(7,500円)をはじめ、一本、一本、布人形の線を自身の手で描く。細かな折り紙で裸の女性を作り上げたCOCHAEさんの作品も、どこか愛らしい。

他にも多数、作品が展示されている。作品は購入可能で、多くの作品は開催期間終了後に購入者に引き渡されるが、即売可能な作品もある。

COCHAEの折り紙アート(左)と山川さんの布人形作品

11日の「おっぱい祭り」で出し物やワークショップを堪能

また、11日には「おっぱい祭り」と称し、作品を展示している作家の出し物やワークショップが行われる。目玉の一つは、「6jumbopins」によるオリジナルTシャツ作り。ギャラリー内でおっぱいロゴを用いて、好きなサイズ、カラーのオリジナルTシャツをオーダーごとに作ってくれるという。

6jumbopinsによるTシャツ製作が目の前で見れる

おっぱいの偉大さをあらためて考える機会に

実際に鑑賞してみると、「おっぱい展」という呼び名とは裏腹に、その展示物は非常にアート性が高い。大林さんは、そのテーマゆえにセクシャリティが高い作品ばかりが集まることを懸念していたが、「作品の統一感があって良かった」と、今回集まった作品のクオリティーに満足している様子だ。

乳房は女性の象徴であり、女性を女性たらしめている、非常に神聖なもの。普段とは違った形でおっぱいに触れることで、その偉大さをあらためて考えるいい機会となりそうだ。

「おっぱい展」
開催日:8月1~13日(7、8日は休廊)
開館時間:14~21時(最終日は12~17時)
入場無料

ブックギャラリーポポタム
東京都豊島区西池袋2-15-17
営業は12~19時(金曜は20時まで)