2013年5月の経営方針説明会でテレビ事業の再建について説明するソニーの代表執行役兼取締役CEO・平井一夫社長

2011年7月の地上アナログ放送の停波・地上デジタル放送への完全移行(一部地域を除く)から、2年が経過した。テレビメーカーはこの2年間、国内需要の激減により業績悪化に苦しむ一方、「ポスト地デジ需要」と呼ばれる次世代テレビ像の模索に追われた。

その結果、導き出された復活のキーワードは「大画面」「4K」、そして「スマート」となりそうだ。果たしてテレビメーカー各社は、次世代テレビの方向性に光明を見出すことができたのだろうか。3回に渡って、その動向を追ってみる。

空前のテレビ需要の反動に苦しむテレビメーカー各社

2011年7月の地上デジタル放送への移行に合わせて、空前ともいえる需要を記録した国内薄型テレビ市場では、それ以降、大きな反動が見られていた。通常は年間900~1,000万台とされていた国内テレビ市場は、地デジ移行やエコポイント制度の影響によって、2010年度には年間2,568万台、2011年度には年間1,660万台ものテレビを出荷。だが、その反動によって2012年度には約575万台と、2010年度の5分の1という規模にまで縮小した。

2013年6月には50型以上の販売構成比は数量ベースで10.4%、金額ベースでは31.2%となり、過去最高を記録した(出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan」)

2012年夏にはロンドン五輪が開催され、本来ならば、五輪需要で盛り上がる1年であったはずなのだが、「先喰い」ともいわれる旺盛な需要の反動で、その効果は限定的なものとなった。

ジェットコースター的ともいえる、こうした劇的な需要動向の変化によって、テレビ市場はこの2年間、その出口が見えないままでいたといえよう。

しかし、そのテレビ市場は、わずかながら回復の動きを見せようとしている。業界筋では、2013年度のテレビ需要は620万台規模と、1,000万台の規模にまではまだまだ及ばないものの、それでも2012年度実績を上回るものと予想している。この2年に渡る長い需要低迷から、ようやく出口に向けた明るさが見え始めているのだ。


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