「Mathematica」を世に送り出したWolfram Research

Stephen Wolfram(スティーブン・ウルフラム)氏は1988年にリリースされた数学ソフト「Mathematica」の開発者でもあり、Wolfram Research社のCEOでもある。「Mathematica」は数式や組み込み関数を駆使して、様々な分野における処理の解やグラフを導き出す。日本においても解説書が発行されており、20年を超える歴史の中で学校から企業でと数百万ユーザーを得ているソフトだ。

現行バージョン「Mathematica 9」も健在で、SNSの分析や3Dデータセットへの対応など、新たな進化を見せている。Stephen Wolfram氏の名を冠した、Webサイト「Wolfram|Alpha」では、同じくWolfram Research社が提供するWebサービスだが、「Mathematica」とは、ひと味違った体験をユーザーに与えてくれる。「Wolfram_Alpha」は、Webサイトにアクセスして利用することもできるし、アドオンや拡張機能などをブラウザにインストールして利用することも可能だ。

「Wolfram|Alpha」の右下にあるResource&Toolsをクリックする

Toolbars,Gadget&Add-Onsをクリックすると各ブラウザごとにインストールへのリンクが表示される。Internet ExprorerからFirefox、Google Chrome、SafariからOperaと各種ブラウザ、WigetやGadgetにも対応している

アドオンをインストールすると、検索窓のような領域が表示される。だが、これはサーチエンジンではない。Wolfram|AlphaのWebサイト内の言葉を借りれば、「Wolfram|Alpha introduces a fundamentally new way to get knowledge and answers—not by searching the web, but by doing dynamic computations based on a vast collection of built-in data, algorithms, and methods.(Wolfram_Alphaは、Webで検索して答えを得るものではなく、データやアルゴリズム、メソッドなどに備わる広大なコレクションを基礎にした計算を使って知識や答えを得るものだ)」ということになる。

手っ取り早く入力してみたほうが理解しやすい。"20 inches"と打ち込むと50.8センチ、1.667フィートなどの換算のほか、comparison as width=の後には、9.4 x typical credit card width(53.98mm)とある。典型的なクレジットカードの約9.4倍の大きさですよと教えてくれる。様々な数学や物理の単位で自分が探し出した数値を表現してくれるのだ。

もちろん数式の計算も完備している。"1/5 * (2 - 1/2)"とすると、分数での表記や少数点での表記、直線のラインで表現した位置と複数の方法で答えを教えてくれる。piやrootといった記号も当然利用できるし、"100 to binary"では二進法で示す。「Mathematica」を開発した会社だけに、筆者ごときが思いつくものは、すべて網羅。"1,2,3,5,8,13"とカンマ区切りで入力すると、集合の合計や中間の値、グラフ、パイチャート、その後に続く継続する数も表示する。

数式での入力はもちろん

"100 to binary"で100の二進法も即座に返答

1,2,3,5,8,13とカンマ区切りで数の集合としてのデータを表示。グラフで様々な角度から分析できる