もはや朝食やランチ、夜食にと定番メニューとなったコンビニおにぎり。定番の具材を食べてホッとし、新しい具材に驚いたり感心したり。コンビニごはんはおにぎり! と決まっている人や、カップ麺を買う時についついおにぎりを足してしまう人も多いだろう。

日本人はコメを食べなくなったというけれど、コンビニのおにぎりコーナーはいつもにぎやか。ワンハンドで食べられるので、作業をしながらパクつくのにもぴったり。そんなコンビニおにぎりの歴史を「おにぎり屋」ブランドを展開するローソンに取材した。

毎月10種類以上の新作が並ぶそうです

「おにぎり屋」10周年、ローソンの取り組み

2002年、ローソンからおにぎりの特選ブランド「おにぎり屋」が誕生し、コンビニおにぎりに革命が起きた。コンビニ食品の定番で誰もが大好きなおにぎり。労せずに売れ続ける定番商品に、なぜ新ブランドが誕生したのか。その理由は「ほんとうにおいしいおにぎりを届けたい」だった。

実は当時、経済情勢はデフレ傾向が続いていた。牛丼チェーンの値下げ競争が激化し、ハンバーガーも史上最安値を更新。その流れはコンビニおにぎりも例外なく、売れ筋は1個80円の低価格帯商品が中心となっていた。

そんな中、ローソンでは目玉商品のおにぎりを刷新するプロジェクトが立ち上がる。日本のソウルフード「おにぎり」は、このままでいいのか。社員や加盟店オーナー、店員などから意見を聞き、「こんなおにぎりがあったらいいな」と思える商品を作る。その答えは、「もっと安く」ではなく「もっとおいしく」だった。

おにぎり屋のデビューを飾った「焼さけハラミ(145円)」と「生たらこ(145円)」

「おにぎり屋」のデビュー商品は「新潟コシヒカリシリーズ」の「焼さけハラミ」と「生たらこ」の2種類。これらは現在も定番商品として販売継続中だ。ローソンでは毎月12種類の新作おにぎりが登場し、かわりにひっそり消えていくおにぎりもある。そんな厳しい生存競争の中で、「焼さけハラミ」と「生たらこ」はいまでも大人気。「焼さけハラミ」は人気ランキング第2位だ。ちなみに第1位はおにぎり屋発足以前から定番「手巻おにぎりシーチキンマヨネーズ」で、1982年から不動の1位とのこと。

30年間もトップの座を守る「シーチキンマヨネーズ(105円)」

従来のおにぎりと「おにぎり屋」の違いは素材と握り方だ。まず素材。肝心の米は「新潟産コシヒカリ」シリーズと「郷土のうまい! シリーズ」に新潟産コシヒカリ。それ以外の手巻シリーズ、セットおにぎりシリーズなどの白米は2012年11月まで国産コシヒカリ米を使っていた。現在はローソンが厳選した「おにぎり用国産米」を使っている。なんとこのお米たち、ローソンの通販サイトロッピーで購入可能だ。

ごはんに使う塩は瀬戸備前のにがり塩、海苔は瀬戸内海産と有明産の焼き海苔を使っている。具材は全国から旬の旨いものを集めた。その集大成ともいえる具材が、10周年を記念して誕生した「郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ」だ。2012年11月6日に第1弾の「宮崎のうまい! 黒瀬ぶり照焼(売切終了)」を発売、続いて「山形のうまい! 牛すき煮(売切終了)」を投入。現在は「愛媛のうまい! 鯛めしおにぎり」を販売中だ。

おにぎり屋10周年企画第1弾「宮崎のうまい! 黒瀬ぶり照焼(240円)」

握り方にもこだわりがある。従来のおにぎり成形機ではどうしても米が密集し、具材がつぶれてしまう。そこで高級クラスの「新潟産コシヒカリ」シリーズと「郷土のうまい! シリーズ」では、平らに盛ったごはんに具材をのせてから、ごはん全体を包むように仕上げた。具材がつぶれにくく、ごはんの粒が崩れない。それでいてやわらかく、口の中にほんのりと甘みが広がっていく。

販売終了となった「鹿児島のうまい! 黒毛和牛のうんまか煮(230円)」と「北海道のうまい! 秋鮭昆布添え帆立醤油焼(210円)」。このようにごはんを平たく盛ってから包むように作っている

この「おにぎり屋」のこだわりは、現在のローソンのおにぎりすべてに浸透し、ローソンのおにぎり全体の水準が高くなった。

次回は1980年にさかのぼり、ローソンおにぎりの歴史を詳細に振り返っていく。