Windowsストアアプリの情報を発信しているWebサイト「WinAppUpdate.com」によると、2012年11月23日の時点で登録数が20,000本を超えたという。順調に成長しつつあるWindowsストアは、Windows 8を支える重要な存在であることは改めて述べるまでもない。今週はWindowsストアアプリに登録されたアプリ数を精査しつつ、Windows 8の動向をレポートする。

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順調に増加したWindowsストアアプリ

iOSを基盤に有償無償のアプリケーションを配布する「App Store」や、Android系デバイス上で動作するアプリケーションや電子書籍など複数のコンテンツを配布する「Google Play」。これらが成功を収めていることからもわかるように、コンテンツの提供スタイルが大きく変化している。従来の小売店などで行われていたパッケージ販売からダウンロード販売に移行しつつあるのは以前から見られた流れだが、大きく異なるのはプラットフォームの提供側が自身でマーケットを作成している点だ(図01~02)。

図01 iOSに限らずOS X上で動作するアプリケーションもオンラインで提供/販売している

図02 Android系デバイスのアプリケーションなどを提供/販売する「Google Play」

最大のユーザーシェア(市場占有率)を誇るWindows OSだが、Microsoftがソフトウェアを開発提供するというビジネスモデルで成長してきた経緯から、自身でマーケットを提供し、独占的市場を形成するというスタイルへの着手は後手に回ってきた。この方向転換を図ったのがWindows 8であり、Windowsストアである。ここで提供されるWindowsストアアプリは、Windows 8の使い勝手を大きく左右するだけに以前から注目してきたが、早い時期からWindowsストアアプリの登録数を調査している「WinAppUpdate.com」によると、2012年11月23日の時点でアプリ数が20,000本を超えたと自身のTwitterアカウントで発表した(図03~04)。

図03 少しずつ有料アプリケーションも増えてきた「Windowsストア

図04 WinAppUpdate.comの公式アカウントで、Windowsストアアプリが20,000本を超えたことを発表している

この発表結果に対して興味深いのが、Windowsストアアプリの増加率である。同Webサイトによると2012年8月16日の時点で登録されたWindowsストアアプリは530本。同年10月10日の時点は4,326本だが、同年10月24日時点で7,873本、Windows 8の発売日である同年10月26日は9,029本と大幅に増えている。

同年11月3日は15,968本。そして同年11月23日で20,000本オーバーの20,610本だそうだ。これを増加率として計算すると、9月16日は147パーセント、10月10日は109パーセントと大幅に増えているが、10月26日は77パーセント、11月23日は29パーセントと落ち着きを見せている(図05)。

図05 「WinAppUpdate.com」のデータを元に作成したWindowsストアアプリの増加数

Windowsストアも公開前に同社の事前確認が行われるのは、各種オンラインストアと同じ。その内容は同社のWebページで確認できるが、多岐にわたる注意点が示されている。筆者も開発者アカウントを所有していないため、詳細を確認していないが、こちらのWebページで確認すると図06のようなプロセスでWindowsストアアプリはWindowsストアに公開されるようだ。もちろん大幅に簡略化したものであり、「Windows 8 app developer blog」によると、公開までに時間を要する理由が理解できる(図06)。

図06 Windowsストアアプリの提出プロセス

Windowsストアアプリの増加を推進させるため、同社もさまざまなアクションを打ち出しており、最近ではWindowsストアアプリ開発者のための「Windows Store App Labs」を用意した。プラットフォームエバンジェリズム担当シニアディレクターのNeil Hutson(ニール・ハトスン)氏によると、同ラボでは最新のWindows 8デバイスをそろえ、Microsoft SurfaceによるWindowsストアアプリの動作検証を行えるという。また、技術面やデザイン面のアドバイスを受けることも可能と述べているが、残念ながら日本国内にラボは設置されていない(図07)。

図07 「Windows Store App Lab」の設置箇所。米国や欧州には多いが、執筆時点で日本国内には設立されていない

このことがWindowsストアアプリ増加のブレーキになるというよりも、日本国内にWindowsストアアプリの開発者が少ないと見るべきだろう。さまざまWindowsストアアプリを試してみると、確かに日本語向けコンテンツも点在するが、大半は国外産アプリばかりだ(図08)。

図08 「グルメ」の人気トップを見ると、国産アプリよりも海外産アプリが多いことが確認できる

本レポートでは何度も述べているとおり、Windows 8の成功はWindowsストアアプリの普及が欠かせないが、Steven Sinofsky(スティーブン・シノフスキー)氏の退社など、Windows 8は暗中模索に入りつつある。Windowsストアアプリの増加率は世界各国の開発陣やMicrosoftの担当者の努力による結果と同じように、Windows 8の普及を期待したい。

阿久津良和(Cactus