NECパーソナルコンピュータは、2012年秋冬モデルで、デスクトップPCの主力機種である「VALUESTAR N」のデザインを一新。同機はWindows 8搭載の新モデルとして生まれ変わった。
21.5型の「VALUESTAR N」は、「デスクトップにはタッチパネルを搭載しない」という同社の製品コンセプトを具現化したものでもあり、その代わりにタッチパッドリモコンを用意。ゆったりと椅子に座った姿勢でも手元で操作できるようにしている。
NECパーソナルコンピュータでは、Windows 8時代において、どんな想いを込めて「VALUESTAR N」を進化させたのか。NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部プラットフォーム企画部・石井宏幸主任に話を聞いた。
タッチパネルは"むしろ不要" - VALUESTARがたどり着いた結論
「Windows 8というOSの機能を、いかんなく発揮し、利用してもらうためにはどうするか。そうした発想で取り組んだのが『VALUESTAR N』である」と、NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部プラットフォーム企画部・石井宏幸主任は切り出す。続けて、「その上で、『VALUESTAR N』が築き上げてきた価値を、武器としてどう組み合わせるか。そこに腐心した」と、製品開発の基本姿勢を語る。
「VALUESTAR N」は、NECパーソナルコンピュータの製品ラインアップのなかで、デスクトップPCの主力機種に位置づけられ、現在、日本で最も売れているデスクトップPCともなっている。そのポジションを維持し、正常進化をさせながら、Windows 8という新たなOSにどう対応していくかが大きな課題であったといえる。
そのなかで、最大のポイントは、Windows 8で採用されたタッチ機能への取り組みであった。
「『VALUESTAR N』では、テレビやBD、音楽を、家のなかでスタイリッシュに楽しむことを狙う一方で、PCとしての基本利用にもしっかりと対応することが求められる。そのなかで、タッチパネルは果たして本当に使いやすいのか、バネルをタッチしたいシーンはどのぐらいあるのか。その点を何度も議論した」という。
PCの基本利用であるWebの閲覧や、WordやExcelの使用といったシーンでは、キーボードによる入力が中心となり、タッチパネルはあまり使われない。また、椅子に寄りかかり、少し離れた位置からテレビなどを視聴する際にも、わざわざ体勢を起こして画面にタッチするというのもスマートではない。パネルにタッチした際に指紋が残るのもテレビ視聴などの際には気になるところだ。
そして、インテリア性を重視した「VALUESTAR N」の場合、リビングにも設置されるといった用途があり、これも離れた位置からリモコンで操作する使い方になる。この点でもわざわざ近くに行かなくてはならないタッチパネルは適していない。
こうしてみると、デスクトップPC「VALUESTAR」の利用シーンにおいて、タッチパネルは"むしろ不要である"という判断にたどり着いたのは、ごく自然のことだったともいえる。
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