データを渡す手段といえば、クラウド、USBメモリ……そしてリンクケーブル!

クラウドサービスが普及している昨今、データの受け渡しというのがスムーズに行えるようになった。例えば小生の場合、取材先や発表会などにノートパソコンを持ち込み、ざっくりとしたメモを残す。写真や配布されたPDFデータなどもある程度はノートパソコンで処理する。それをアップロードして、担当・その他と共有するわけだ。

しかし、メモ程度の仕事ではなく、ある程度長い原稿などは自宅のデスクトップパソコンで行う。その過程においてデータの受け渡し(ノートパソコンからデスクトップパソコンへ)が発生するのだ。この場合はクラウドサービスを利用せずに、USBフラッシュメモリなどに一度データを移し、そこからさらにコピー・移動する。

小生のような"ライター"を生業としている人だけでなく、パソコンという"ツール"を使うユーザーであれば、なんとなくこのデータの受け渡しについてイメージできるのではなかろうか……と、そんなことを担当編集に話したところ、「それならリンクケーブルのほうが楽じゃないですか」という返答が。

はて? リンクケーブルとな? これまた"懐かしい"製品名が出てきたもんだ。

そこで今回は、「ちょっと使ってみますか?」という言葉とともに渡されたサンワサプライのリンクケーブル「KB-USB-LINK3M」を紹介する。

サンワサプライ「KB-USB-LINK3M」

久々に使ってみたリンクケーブルは驚きの進化を遂げていた

本題に入る前に、ちょっとリンクケーブルについて説明しておこう。

「リンクケーブル」を簡単にいうと、"パソコンとパソコンを繋ぐケーブル"である。そして、繋ぐことにより"データの移動"ができるようになる。つまり、リンクケーブルとは、データリンク(移動)ケーブルなのである。

リンクケーブルの歴史は古い(といっても、小生の知るところではないのだが)。2000~2001年ぐらいから出回った製品で(12年前を古いといえてしまうぐらいパソコンの進化は早い。しみじみ)、当時は「USB」「シリアル」「パラレル」という3つの接続方式が採用されていた。そのうちの「シリアル」「パラレル」は今では淘汰され、「USB」の製品だけが残っているという具合。そしてその後、その時々のパソコン市場にマッチした進化を遂げることになる。

正直に言おう。小生が最後にリンクケーブルを利用したのは2003年ぐらいのこと。しかもそれは新製品ではなく安かったから買ったというもので、おそらく製品自体は2002年発売のものだったハズ。だから、「KB-USB-LINK3M」を手にした時、とても驚いた。

まず、"ドライバCDがない"。ケーブル自体にドライバのインストーラが組み込まれており、パソコンに接続するだけで自動インストールされる。小生が使っていたころの製品は利用前に下準備が必要であり、なんともまぁ簡単になったものだとしみじみ思う。

ケーブルをパソコンと繋ぐと、ドライバソフトの自動再生画面が表示される。「SmartDataLink.exe」をクリックしてインストールしよう

2台のパソコンを繋ぐと、接続完了のメッセージが表示される。これで利用準備は完了だ

Macの場合は「SmartDataLinkの使用にようこそ」が表示される

そして、"Windows-Windows"だけでなく"Mac-Mac"、さらには"Windows-Mac"という異なるOS間での通信にも対応しているという点。最近の製品を調べてみると、すでに当たり前のように対応しているようだが、衝撃だった。そこまで進化したのかと。でも考えてみれば、2000年以降、Macというものが手軽に手に入る時代だし、デザイナーズパソコンという感覚でもないのだから、当然なんだろうねぇ(小生は、Macはデザイナー/イラストレーターや編集者のような職業の人が使うものという前時代的な感覚が未だに……)。

MacとWindowsという構成で利用可能

WindowsとWindowsでももちろん利用できる

MacとMacでもOK

スレートPCと合わせて使うとスッゴク便利なのでは?

さらに本製品は、スレートPC(タブレットPC)にも対応するという。これはWindows OS搭載機に限るようだが、考えようによってはもの凄く便利そうだ。というのも、スレートPCというのはタッチパネル操作が基本の製品であり、ゴチャゴチャと機器を接続して利用するのはナンセンス。クラウド時代だからこそ真価を発揮する製品群といってもいいわけだ。しかし、ケーブル一本の転送で、アップロード/ダウンロードの時間を短縮できるなら、それはそれでアリだ。デスクトップパソコンを母艦とし、機動性に優れたスレートPCを運用する……。美しい運用の形ではなかろうか。

そして、もうひとつ嬉しいポイントがある。それが"マウス操作"だ。「KB-USB-LINK3M」を使って、例えばWindows PCとスレートPCを接続した場合、画面表示はそれぞれのPCがそれぞれ行なうのにも関わらず、マウスポインタがその間を行き来して、シェアできるのである。いわば"デュアルディスプレイ"状態。手軽に"パソコン環境"を持ち歩きくためのスレートPCにはマウスなど使わないだろうから、これはとても便利に使えるというもの。普段はスレートPCならではの機動性を活かしつつ、ちょっとマウスとキーボードを使いたい……という時に「KB-USB-LINK3M」は役立ちそうだ。

設定を変更するには、画面右下のアイコンを右クリックして表示されるメニューから行う

設定では、キーボード&マウスほか、イベント通知などの設定が可能だ

Macの場合もドックに表示されたアイコンから設定を変更できる

Mac同士で接続する場合、キーボードの再設定が必要となる場合がある。必要に応じて設定しよう

数あるデータ移動手段の、選択肢のひとつとしては十分にアリ!

改めて確認すると、本製品には、

  1. Windows-Mac間のデータ移動が可能
  2. マウスやキーボードのシェアリングに対応
  3. 新規環境下でのドライバインストールが簡単

という3つの大きなメリットがある。しかも、簡単に"データ移動"といったが、データの移動はドラッグ&ドロップでOKだし、クリップボードを介してWindows PC側でコピーしたテキストをMac側にペーストするといった使い方も可能である。

現在のパソコンを取り巻く環境は劇的だ。安価に手に入るUSBフラッシュメモリや数GBのオンラインストレージなどデータの移動手段は多数あり、パソコンは一家に一台ではなく一人一台が当たり前。むしろ複数利用しているという人もいるはず。ケーブルで繋ぐという行為は確かに面倒なのかもしれないが、そこには安心感がある。しかも昨今のパソコンは、フロントUSB装備が当たり前なので、接続にもそんなに手間はかからない。温故知新……というのとはちょっと違うが、昔からある製品も、今の時代背景に合ったものに進化している。そんな今だからこそ、「KB-USB-LINK3M」のようなリンクケーブルに注目したい。