エプソンは29日、個人や家庭向けインクジェットプリンタ/複合機「カラリオ」の2012年秋冬モデルとして、A4対応で多機能な複合機を11モデル、およびコンパクトプリンタ「カラリオ ミー」を3モデル発表。同日には発表会も開催され、CMキャラクターの忽那汐里さんもゲストとして登場した。

今回発表された新モデル(写真左)。CMキャラクターの忽那汐里さんが手に持っているのが従来モデルの外側(写真右)。その下にあるのが、大幅に小型化された今回の新モデル

新モデルの概要やスペックなどは別記事を参照いただきたい。

2011年末商戦では54%のシェアを獲得。今年は…

セイコーエプソン常務取締役の羽片忠明氏

説明会の冒頭では、セイコーエプソン常務取締役の羽片忠明氏がオープニングスピーチ。昨年の年末商戦において、エプソンの製品が国内のインクジェットプリンタ市場におけるシェアの54%を獲得したことを報告した。昨年比では8ポイントの上昇となったという。今回の新商品カラリオについては「デザインを一新し、さらなる小型化を実現しました。スマートフォンやクラウドサービスとの連携も強化し、一段と利便性が増しています」とアピールした。

今回発表された次世代カラリオでは、従来機にも搭載されていた、スマートフォンやタブレット端末からの印刷を可能にする「Epson iPrint」や、メールアドレスを持つプリンタにメールでデータを送信することで印刷できる「メールプリント」に加え、新たに外出先からのプリント指示が可能な「リモートプリントドライバー」機能などを搭載。遠隔地のプリンタからリモート印刷する機能といった、ネットワーク機能が強力に拡充されている。

こうしたネットワーク機能、およびスマートフォン/タブレットとの連携機能をまとめて、「Epson Connect」という名称を設定。プリンタが1つの独立したネットワーク機器として、PCからの印刷やデジカメ写真の印刷といった従来の用途に加えて、スマートフォンやタブレットとの連携性がさらに高くなった印象だ。

また「EP-905F」など複数のモデルで、従来機に比べて約40%の小型化に成功したのも、大きなトピックだろう。

新モデルのコンセプトは6つのキーワード

続いてセイコーエプソン業務執行役員 プリンター事業部長の奥村資紀氏が登壇し、新商品の概要と販売戦略について説明した。まず「エプソンでは "暮らしの中で、無くてはならない存在へ" を進化すべく商品開発を行っております。日々、ライフスタイルが変わっていく中にあり、人と人とをつなぐ媒体として印刷物が担う役割は、まだまだ大きいと感じています。また、印刷物に期待される役割はより創造的なものへと変化してきています」と述べた。

セイコーエプソン プリンタ事業部の奥村氏(写真左)。同氏はエプソンのプリンタについて「人と人をつなげる存在でありたい」と語った

同社のカラリオシリーズは、従来機種と合わせて16機種20モデルの陣容となった。奥村氏は2012年新カラリオ商品のコンセプトを「未来、スタイリッシュ、簡単、快適、キレイ、環境」の6項目で説明。スマートフォンやクラウドとの連携、小型化などユーザーの要望が高かったものを最大限、商品開発に活かしたという。

2012年 新カラリオ商品のコンセプトを「未来、スタイリッシュ、簡単、快適、キレイ、環境」の6項目で説明

「未来」では、様々なデバイスから「いつでも」「どこへでも」「快適に」プリントができる点をアピール。ユーザーが購入を検討するとき、特に「設置サイズ」を気にしているという調査結果が興味深い

「スタイリッシュ」では、デザインの洗練化と小型化をアピール。プリンタの大きさに関する要望は特に多かったという。2011年モデルから大幅な小型化を達成

新モデルはカラーバリエーションも少し増え、デザインもスタイリッシュになった

操作パネルに、直感的に操作できるタッチパネルを採用したモデルも用意

自動両面印刷機構の内蔵で背面がすっきりした点や、自動両面ADFにも対応した点(最上位のEP-905シリーズ)などをアピール

「快適」では、オートオープンパネル / 排紙トレイのほか、無線ルーターがない環境でもWi-Fiで直接接続できる「Wi-Fi Direct」機能をアピール

PictBridge 無線LANにも対応する(写真左)。「キレイ」では、高画質6色染料インクをアピールした(写真右)

「環境」面では、CO2の大幅な低減化をアピール。新エンジンで省電力化も実現したという

シェア目標は50%以上

エプソン販売 代表取締役社長の平野精一氏は、販売戦略について説明した。同社の調べでは、スマートフォンユーザーの約7割が印刷の必要性を感じていることが分かったという。このことから、エプソンではスマートフォンから直接プリンタで印刷する機能を"プリンタを進化させるキー"ととらえ、今後開発する商品にも積極的に取り入れていく考えだ。

登壇するエプソン販売の平野氏(写真左)。同社の調査によると、スマートフォンユーザーの約7割が印刷の必要性を感じているという

今回の2012年秋モデルでは、市場予想価格が1万円未満のものから5万円台中盤のものまで、バリエーション豊かに取りそろえた。カラーやデザインにこだわった製品も多く、ユーザーはよりニーズに沿ったものを選びやすくなっている。エプソンではインクジェットプリンタ/複合機、およびキーボード付きプリンタそれぞれのジャンルにおいて、市場シェアの50%以上を目指す。今後1年間での目標販売台数は、製品全体で250万台強に設定しているという。

値段の幅も広く用意(写真左)。インクジェットプリンタ、キーボード付きプリンタそれぞれのジャンルで市場シェアの50%以上を目指す

交換インクの価格については、1,000円を越えると「高い」と感じるユーザーが多いという市場調査結果から、新機種の6色染料インクにおいては1,000円を切る価格設定にした

また、iOS端末/Android端末に対応する年賀状作成アプリ「スマホでカラリオ年賀」を提供する。これはスマートフォンからテンプレートを選んで写真を挿入するだけで、年賀状の文面作成と印刷が可能なアプリだ。

スマートフォン年賀状作成アプリ「スマホでカラリオ年賀」を提供する

コンパクトプリンタの「カラリオ ミー」に関しても、スマートフォンやケータイとの親和性を高めていく。これはカラリオミーユーザーに30~50代の女性が多く、彼女たちがよく使っているカメラはケータイ/スマートフォンであるという調査結果に基づいたものだ。そのほか、NTTドコモが提供する「らくらくホン」からの印刷にも対応させるという。

カラリオ ミーも、スマートフォンやケータイとの親和性を高めていく

便利に使えそうな「Epson Connect」

エプソン販売の中野氏は、iPadを片手にスタンディングでプレゼンテーション

エプソン販売 取締役販売推進本部長の中野修義氏からは、おもにEpson Connectについて詳しい説明があった。

「スキャン to クラウド」は、カラリオにセットした原稿をスキャンし、PCを経由せずに直接クラウドサービスにアップロードできる機能。「メールdeリモート印刷」では、カラリオからカラリオへ印刷指示が出せるようになる。

機能としてはFAXをイメージさせるが、中野氏は「インターネット回線で送信できるので、FAXのように通話料はかかりません」とアピール。もちろん、カラーで高画質な画像を送れるという点でも、FAXとは比べ物にならないくらい利便性が高い機能だ。「Epson iPrint」「リモートプリントドライバー」は、リモートプリント機能のひとつ。

Epson Connectの新機能は、大きく分けて3つ

スキャン to クラウド

メール de リモート印刷

Epson iPrint

リモートプリントドライバー

プレゼンテーションのスライドショーはこちらから →

忽那汐里さん出演の新CMも披露

最後に、CMキャラクターの忽那汐里さんが登場。新CMの撮影時のエピソードなどを披露した。

忽那さんは、カラリオの新商品について「ひとまわりコンパクトになったので、部屋にも置きやすいですよね。機能面では外出先から印刷できるのが、本当に便利だと思いました」とコメントした。タッチパネルのUIも気に入っているという。

新CMでは、外出中の忽那さんが子豚や河童に出会うシチュエーションが登場する。MCに撮影はうまくいったのか聞かれると、「収録当日は猛暑で大変でしたが、動物のみんなが頑張ってくれました」と秘話を明かしてくれた。

新CMのダイジェストフォトと忽那さんのフォトスライドショーはこちらから →