大阪のグルメがひしめき合う道頓堀。蟹で食い倒れることができたら食通も本望!?

食い倒れの街と呼ばれる大阪。「食い倒れ=飲食に対してぜいたくに金を使い、財産をなくすこと」をいう意味らしい。俗に、「京都の着倒れ、大阪の食い倒れ、江戸の飲み倒れ」と言われている。財産を失うほど食べるという大阪人は、一体どれほど食にどん欲なのだろうか。

大阪名物お好み焼き! 1食で何枚くらい食べるもの?

それを調べるとしたら、行くべき場所はおのずと決まっている。華やかなネオンとにぎやかな声で365日、街が彩られている道頓堀しかないだろう。ここはカニ料理で有名な「かに道楽」、串カツで有名な「だるま」などの有名店がひしめき合う街だ。

この街でひときわ大きなたぬきが目を引くお店といえば「道とん堀 大阪本店」。この店は「ぽんぽこぽん」の掛け声で有名な、日本一の店舗数を誇るお好み焼きチェーン店。大阪本店では食べ放題を実施している太っ腹だ。

粉もんの代表格お好み焼き。いろいろな具が楽しめるのがうれしい

コースは全部で4タイプ。一番人気の「元祖食べ放題コース」は、大人1,500円でお好み焼きハーフサイズ16品、もんじゃ焼きハーフサイズ12品が食べ放題になっている。そして、店内へ入って驚いたが、なんとソフトドリンクも飲み放題なのだ! 食べ放題利用者の平均枚数は、一般的食欲の人でお好み焼き3枚ともんじゃ3セット以上。大食いの人でお好み焼き10枚以上で、いずれも余裕で食べているという。

人気のデラックスやもち明太もんじゃなどの定番メニューから、固形マヨネーズを練りこんだマヨダク、キムチのアクセントがおいしいソウルなども。変わり種メニューも豊富で飽きないことが、たくさんの種類を食べられる秘訣(ひけつ)のようだ。しかし、コースはいずれもハーフサイズなので、普通サイズに換算すると平均1枚半ともんじゃ1.5セット。これでは「食い倒れ」とは言いがたい。そこそこの量を安上がりに食べられるメニューでしかない。

●information
お好み焼き 道頓堀
創業:1990年4月
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-5-5 道とん堀大阪本店ビル
アクセス:道頓堀商店街内
営業時間:11:00~24:00(Last order23:00)
定休日:無休

ちょっとずつ、いろんなものを食べるのが楽しい!

お店を後にして次に向かったのは、大阪人なら知らない人はいない老舗タコ焼き店の「本家大たこ」。屋号の通り大きなタコが入っているのが特徴で、たこ焼きは6個300円。海外からの旅行者にも大人気で、常に行列ができている。

店の前に立ち、しばしお客さんを観察することにした。やってきたのはひと組の男女で、20個入りを2つ注文している。「おっ、40個も食べる? 来たか、食い倒れ!」と追跡して話を聞いてみると、2人からは「これから行くお店への差し入れやねん」という返事。なんだ2人で40個食べるわけではないのか…。「食い倒れゆうても、大阪人は同じもんばっかり攻めて食べへんで。いろんなもん食べるねん」と笑う。いろいろ食べるとは一体どういうこと?

たこ焼きって…たまに無性に食べたくなりますよね!!

●information
大たこ
創業:昭和47年
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-4-16
アクセス:日本橋駅から300m
営業時間:9:00~23:00(売り切れ次第終了)
定休日:無休

1食2店舗以上を回ることは当たり前!?

そこで、次に50代と30代の母娘に声をかけてみた。すると、「基本的にちょこちょこ食べる」と言う。ちょこちょこ? あ、少しずつってことだな。この日、2人が食べたメニューを聞くと、回転寿司で5皿ずつを食べた後に、モダン焼き(お好み焼きの上にそばを乗せて焼いたもの)を1枚ずつ。さらには有名ドーナツ店のドーナツを少しつまみ、最後はラーメンでしめたそうだ。見事な大食いではないか。これこそ食い倒れというのか!? それともこの母娘だけか? 普通はここまで食べないか? 疑問が沸々湧いてくる。

そこで、手当たり次第に話を聞くことにした。大阪の人は気さくだから、呼び止めても誰もイヤな顔をしない。結果分かったことは、大阪人はやはり「ちょこちょこ食い」をやる人が多いのだ。串カツやイカ焼き、豚まんなどをおなかいっぱいになるまで食べるというより、ちょこちょこっとつまむ程度が一般的。1食2店舗以上を回ることも珍しくない様子。

なぜなら大阪のご当地グルメは安くて、スナック感覚で食べられるものが多いからだ。お好み焼き、たこ焼きに代表される大阪人の大好物“粉もん”はその典型だ。お好み焼きの材料でも分かる。小麦粉にキャベツ、ネギ、少しの豚肉や魚介類、紅ショウガ、青のり、カツオなど。ボリューミーなガッツリ系メニューではないので、少したってから他のものを食べても重くなりすぎない。これこそが食い倒れの街といわれる秘密だったのだ。

調査結果。大阪人は財産こそ失わないものの、量よりもバリエーションを重視するため、数回に分けていろいろなものを食べ歩く。そのため、食い倒れするくらい食べるように見えるようだ。そして、一品一品はリーズナブルだが、そこそこ食にお金はかけている。

大阪の道頓堀に足を運んだら、ぜひ、いろいろな物をちょこちょこ食べてほしい。

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