NECパーソナルコンピュータ(以下、NEC PC)および、レノボ・ジャパン(以下、レノボ)は4日、"NEC レノボ・ジャパン グループ"発足1周年を記念した共同記者会見を開催した。グループ発足後の状況や今後に向けた取り組みなどを報告した。

NECレノボ・ジャパングループ 会長 ロードリック・ラピン氏

最初にNECレノボ・ジャパングループ 会長 ロードリック・ラピン氏が、グループ発足から1年を迎えて、グループ全体のこれまでの成果と今後の方向性について話した。

ラピン氏はまず、グループとして初めての四半期に26.4%と高いシェアを獲得したこと、さらに2011年度のPC出荷台数が前年比6%の増加、年間売上高が前年比11%の増加を達成したことを報告。「日本市場は大変厳しかったにもかかわらず、これだけの成果を出すことができた」と合併の成果を強調する。

グローバルに関しても、レノボはこの1年間でシェアを4位から2位へと成長させているが、これに関しても日本での合弁事業が貢献しているという。

ラピン氏が説明する1年間の成果

また、「これまでのPC業界では、買収や合弁によってシェアの下落などを招き、「1+1」が1.5程度になってしまっていたが、今回の合弁では初めて『1+1』が2以上の結果を出すことができた」とし、「両社が1つになることで、強い企業になることができたし、日本市場に特化した企業になった」と話した。

「より革新的な製品の開発と、顧客満足度の向上への投資をしていくというこれまでの戦略は変わらない」と話し、スケールメリットを活かした資材調達をはじめとする、2社の間におけるシナジーによって生まれた余力を、さらに日本市場に投資し、「今後3年で30%のシェアを獲得」という目標に向かっていく考えを示した。

法人向けPCでもサポートサービスを強化

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 渡辺朱美氏

続いて、レノボ・ジャパン 代表取締役社長 渡辺朱美氏がレノボの取り組みについて説明。

レノボは、2011年10月にレノボのコンシューマ向けPCの電話サポート受付窓口業務をNEC PCへ委託(発表時の記事)。レノボ自身もサポートサービスの強化に取り組んできたが、窓口業務の委託後から「飛躍的」に顧客満足度が向上したという。

レノボの取り組み

コンシューマ向けPCの電話サポート受付窓口業務をNEC PCへ委託

この実績から2012年7月からレノボの法人向けPCのサポート窓口もNEC PCへ委託。すべてのレノボ製品のサポート窓口をNEC PCへ委託することになる(詳細記事)。

法人向けPCのサポート窓口もNEC PCへ委託

「日本のユーザー要求レベルが高い分、きめの細かい対応が必要になる。NEC PCは日本市場で豊富な経験と実績を持っている。丁寧な対応、問題解決までの時間短縮など質の高いサポートが提供できる。法人向けPCでもコンシューマPC同様に、顧客満足度が向上すると考えている」と期待をのぞかせた。

製品開発についても、レノボのコンシューマ向けデスクトップPC「IdeaCentre B540p」に、NEC PCの動画視聴・録画ソフト「SmartVision」の一部を搭載したモデルを販売すると発表した(詳細記事)。

レノボのコンシューマ向けデスクトップPC「IdeaCentre B540p」に、NEC PCの動画視聴・録画ソフト「SmartVision」の一部を搭載

渡辺氏は「今後もユーザーの声を聞きながら、ユーザーがほしいと思う機能をレノボ製品に投入し、外資系PCベンダーで顧客満足度No.1を獲得したい」と話した。

「不安は払拭できた」

NECパーソナルコンピュータ 代表取締役社長 高塚栄氏

「レノボとのコラボの中で調達力や技術力、会社そのものが世界第2位に躍進していく勢いを感じながら業務に取り組んできた。1年前は『NECはこれからどうなるの?』という不安の声もいただいたが、この1年でそういた不安を払拭できたのではないか」と、NECパーソナルコンピュータ 代表取締役社長 高塚栄氏も自信をみせる。

NEC PCでも引き続き「革新的な製品の開発と顧客満足度の向上」に取り組むという。

顧客満足度の向上について、これまでNEC PCでは同社内で「AKK」と呼ぶ「安心・簡単・快適」をコンセプトに取り組んできた。

今後は「PC単独で使う時代から、スマートフォンやタブレット、クラウドサービスなど組み合わせて使うPC+の時代になっている」(高塚氏)とし、ユーザーにデバイス間の連携や、クラウドサービスについて「難しい」と感じさせないようにサポート面に注力していく方針だという。

PCを中核としたデバイス間連携

製品開発の面では、「もっとイノベーティブな製品を出せないかという声ももらっていたが、そうした声にきちんと応えて、ユーザーに感動や驚きを与える製品を出していきたい」と意気込みをみせる。

その第1弾として、7月3日にUltrabook「LaVie Z」を発表。「LaVie Z」は、2社間のシナジーから生まれたリソースを製品開発に投入できた結果だという。「LaVie Z」は、本体重量約875gの世界最軽量を実現したUltrabook。本体底面に新素材のマグネシウムリチウム合金を採用している(製品レビュー)。

Ultrabook「LaVie Z」

ラピン氏は「このような革新的な製品ができて私もうれしいです」とコメント

同じ体積のアルミニウムとマグネシウムリチウム合金の重さを計測。マグネシウムリチウム合金はアルミニウムの約半分の重さ

今後はさらにレノボの技術と深いところで融合した製品開発に取り組む。「具体的にはいえないが、両社の技術者が一緒になって日本向けに最適化した製品を開発している。もちろん、レノボ製品を日本向けにアレンジしてNECが販売する、あるいは『SmartVision』のような機能をレノボ製品に搭載するといった相互協力によって魅力的なラインナップを提供したい」と、今後さらに両社間でのシナジーを加速させていく考えを示した。

「ThinkPad」を試験的にNEC PCで生産

また、会見ではラピン氏からレノボの「ThinkPad」の一部を試験的にNEC PCの米沢工場で生産することも発表された。

「ThinkPad」を日本で生産する狙いとしてラピン氏は、「日本市場ではスピードが重要なので、ユーザーに短い納期で製品を提供できるようにしたい。ただプロジェクトが本格始動するかどうかは、パートナーやユーザーの声を聞いてから判断したい」と話した。

「ThinkPad」の一部を試験的にNEC PCの米沢工場で生産することも明かされた

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